良い商品なのに選ばれないときに
商品の品質には自信がある。
売り場や接客も工夫している。
ブランドストーリーも発信している。
それでも、なぜか選ばれない。
このとき、「今はイミ消費の時代だから、もっと理念を語ろう」と考える企業もあります。
しかし、理念や物語を足すだけで、生活者にとっての意味が生まれるわけではありません。
大切なのは、商品が生活者の暮らしの中で、
どんな役割を果たしているのか
を確かめることです。
よくある質問
Q1. モノ・コト・イミの消費とは何ですか?
Q2. モノの価値はもう重要ではないのでしょうか?
Q3. イミをつくるには理念を発信すればよいですか?
1. 良い商品なのに、なぜ選ばれないのか
商品開発の現場では、売れない理由を商品そのものに求めがちです。
- 機能が足りないのではないか
- 価格が高いのではないか
- デザインが弱いのではないか
- もっと強いキャッチコピーが必要ではないか
- ブランドストーリーが伝わっていないのではないか
もちろん、これらが原因の場合もあります。
しかし実際には、商品を大きく変えなくても、選ばれ方が変わることがあります。
見落とされやすい問い
生活者は、その商品をどんな場面で使い、どんな気持ちになり、誰との時間に取り入れているのか。
ここを見ないまま機能や説明を足しても、企業が考える価値と生活者が感じる価値のズレは残ります。
モノ・コト・イミという考え方は、このズレを整理するために役立ちます。
2. モノ・コト・イミは、置き換わるものではない
「モノの時代が終わり、コトの時代を経て、今はイミの時代になった」と説明されることがあります。
ただ、実際の購買では、生活者はモノ・コト・イミを同時に見ています。
モノ|品質・機能
何ができるのか。使いやすいか。壊れにくいか。価格に納得できるか。
コト|体験・時間
使うと何が起きるのか。楽しいか。手間が減るか。家族や周囲との時間がどう変わるか。
イミ|暮らしの中の役割
自分にとってなぜ必要なのか。どんな気持ちを支えるのか。どんな自分でいられるのか。
↓
コトとして体験される
↓
その体験が、生活者にとってのイミになる
つまり、モノ・コト・イミは順番に古くなる概念ではありません。
品質や機能というモノがあり、使ったときの体験というコトがあり、 その体験が自分の暮らしでどんな価値を持つかというイミがあります。
3. イミは、理念や社会貢献だけではない
イミの消費というと、企業理念、社会貢献、エシカル、サステナブルといった大きなテーマを想像しやすいかもしれません。
しかし、生活者にとっての意味は、もっと日常的です。
- ✓ 朝の準備が少し楽になる
- ✓ 家族との会話が増える
- ✓ 失敗しにくくて安心できる
- ✓ 人に渡したときに気持ちが伝わる
- ✓ 自分を少し丁寧に扱える
- ✓ いつもの時間が少し楽しみになる
こうした意味は、企業が一方的に決めるものではありません。
商品が生活者の暮らしに入ったとき、使う人の状況、家族との関係、習慣、気分などと結びついて立ち上がります。
「意味をつける」のではなく、「すでにある意味を見つける」
イミをつくろうとして大きな物語を足すより、 生活者が商品をどのように使い、何を感じているかを見る方が、 選ばれる理由に近づけることがあります。
4. 企業が考える価値と、生活者が感じる価値は違う
企業が伝えたい価値と、生活者が実際に感じている価値は、同じとは限りません。
企業は「高機能」と考える
生活者は「使いこなせるか不安」と感じているかもしれません。
企業は「何にでも使える」と考える
生活者は「結局、何に使う商品なのか分からない」と感じるかもしれません。
企業は「おいしい」と考える
生活者は「家族が食べるか」「どの時間に食べるか」で判断しているかもしれません。
アンケートで「おいしい」「便利」「良い」と評価されても、購入や継続利用につながらないことがあります。
その言葉の先にある、使う場面、感情、周囲の人との関係まで見なければ、 生活者にとっての意味は分かりません。
5. 選ばれる理由を見つけるために確かめたいこと
自社の商品が何を理由に選ばれているのか分からないときは、 理念やキャッチコピーを考える前に、次のことを確かめてみてください。
-
1
生活者が商品を使う場面を見る
いつ、どこで、誰と、どのように使っているかを確かめます。 -
2
企業が考える価値と、生活者が感じる価値を比べる
強みとしている点が、本当に選ぶ理由になっているかを確認します。 -
3
「便利」「おいしい」「好き」で終わらせない
その言葉の先にある感情や生活の変化をたどります。 -
4
商品・体験・意味を切り分ける
品質の問題なのか、使い方の問題なのか、伝え方の問題なのかを混同しないようにします。 -
5
小さく試して、意味が伝わるか確かめる
商品を大きく変える前に、言葉、見せ方、売り場、体験の順番を試します。
データを見れば、何が売れたか、どこで離脱したかは分かります。
しかし、その行動が本人にとってどんな意味を持っていたのかは、 対話や観察を通じて確かめる必要があります。
目的は、イミを分類することではありません
自社の商品が、生活者の暮らしの中でどんな役割を果たしているのか。
商品・伝え方・売り場のどこを見直すべきなのか。
その判断材料を見つけることが、モノ・コト・イミを考える本当の目的です。
6. まとめ|価値は、暮らしの中で確かめる
この記事の要点
- モノ・コト・イミは、時代ごとに置き換わるものではない
- モノは品質や機能、コトは体験、イミは暮らしの中での役割を表す
- イミは、理念や社会貢献だけでなく、日常の小さな変化にも宿る
- 企業が考える価値と、生活者が感じる価値は一致しないことがある
- 生活者の行動、感情、使う場面を確かめることで、選ばれる理由が見えてくる
「今はイミの時代だから、意味をつくらなければ」と考える必要はありません。
まずは、自社の商品がすでに生活者の暮らしの中でどんな役割を持っているのかを見てください。
その中に、企業側がまだ気づいていない選ばれる理由が隠れているかもしれません。
自社の商品は、何を理由に選ばれているのかを一緒に確かめます
品質には自信がある。
体験や売り場も工夫している。
それでも、選ばれる理由がはっきりしない。
そのような場合は、商品の機能だけでなく、 生活者が使う場面や感じている価値を確かめることで、 商品・伝え方・売り場のどこを見直すべきかを整理できます。
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