生活者に話を聞いているのに、なぜか当たり障りのない答えしか返ってこない。 会議を重ねても、「これなら選ばれる」と言える理由が見えてこない。 そんなとき、足りないのは質問の数ではなく、本音が生まれる場なのかもしれません。
企業と生活者が同じテーブルを囲み、立場を越えて言葉を交わすと、 アンケートや通常の会議だけでは見えなかった小さな違和感や気づきが現れます。 そこから企業側の「見え方」が変わり、商品の“選ばれる理由”が少しずつ輪郭を持ち始めます。
生活者の声を聞こうとすると、私たちはつい「何を質問するか」を考えます。
「この商品の良いところはどこですか」
「どこを改善したら買いたいと思いますか」
「AとBならどちらを選びますか」
もちろん、こうした質問が必要な場面もあります。 ただ、質問に答えてもらうだけでは、その人が普段の暮らしの中で感じていることや、 まだ本人自身もうまく言葉にできていない感覚までは、なかなか見えてきません。
むしろ大切なのは、 「なんとなく、こちらが好き」「理由は分からないけれど、これは選ばない」 といった曖昧な言葉が、そのまま出てくることです。
こらぼたうんでは、企業担当者と生活者が同じ場で語り合う機会を長年つくってきました。 私たちはこれを「価値共創セッション」と呼んでいますが、 少しくだけて言えば、企業と生活者が一緒になって行う“ワイガヤ”に近いのかもしれません。
本音が生まれる場から、選ばれる理由は育っていく。 その出発点は、企業と生活者が「質問する側・答える側」を少し離れ、 同じテーブルで一緒に考えることです。
なぜ、普通の会議では本音が出にくいのでしょうか
会議やヒアリングでは、多くの人が無意識のうちに「ちゃんと答えよう」とします。
企業担当者から質問されれば、生活者も質問の意図を考えます。 「こう答えた方が役に立つのではないか」 「こんなことを言ったら失礼ではないか」 と考えることもあるでしょう。
企業側も同じです。 限られた時間の中で何かを持ち帰ろうとすると、 どうしても質問、回答、確認、結論という順番で進めたくなります。
しかし、その進め方だけではこぼれてしまう言葉があります。
- 「うまく説明できないけれど、何となく気になる」
- 「普段は意識していなかったけれど、言われてみればそうかもしれない」
- 「私は違う使い方をしている」
- 「買わない理由までは考えたことがなかった」
- 「他の人の話を聞いて、今思い出した」
こうした言葉は、きれいに整理された「意見」ではありません。 けれども私たちの経験では、新しい価値の芽は、完成された意見より、 こうした小さな違和感やつぶやきの中に潜んでいることがあります。
“ワイガヤ”で大切なのは、にぎやかさではありません
「ワイガヤ」と聞くと、大勢で自由に意見を出し合う、 にぎやかな会議を想像するかもしれません。
しかし、こらぼたうんが大切にしているのは、 単にたくさん発言してもらうことではありません。
大切なのは、まだ整理されていない言葉でも出してよいと思える空気です。
こらぼたうんが大切にしてきたこと
丸いテーブルを囲み、肩書きではなく「さん付け」で呼び合う。 出てきた意見をすぐに否定しない。 誰かの言葉を正解・不正解で判断するのではなく、まず受け止めてみる。 そして、結論を急ぎすぎない。
一つひとつは、とても小さなことです。
しかし、こうした積み重ねによって、 「企業の人に意見を聞かれている」という空気が少しずつ変わり、 一人の生活者として感じていることを話しやすくなります。
「場づくり」は、特別な場所をつくることではありません
本音が生まれる「場」というと、 特別な会場や立派な共創スペース、凝ったワークショップを想像するかもしれません。
もちろん、空間や道具が対話を助けることはあります。 ただ、私たちが考える場づくりは、場所を整えることだけではありません。
場をつくるのは、人と人との関係です
誰かの発言をすぐに評価しない。
少し曖昧な言葉を、そのまま置いてみる。
「それはなぜですか」とすぐ答えを取りにいかず、別の人の経験と重ねてみる。
話が少し横道にそれても、そこに何かありそうなら追いかけてみる。
効率だけを考えれば、遠回りに見えることもあります。
けれど、その余白があるからこそ、 最初から用意した質問では出てこなかった言葉が生まれることがあります。
場とは「どこで話すか」だけではなく、「どんな関係で話せるか」。
こらぼたうんが考える「本音が生まれる場」は、 そうした関係性まで含めたものです。
生活者が加わると、企業の「当たり前」が揺さぶられる
社内で自由に意見を出し合うことにも、大きな意味があります。
ただ、同じ会社で仕事をしている人同士では、 知らないうちに同じ前提を共有していることがあります。
「この商品の強みはここだ」
「お客様はこう使うだろう」
「この機能なら喜ばれるはずだ」
それ自体が間違っているとは限りません。 しかし、実際の暮らしの中では違う意味で受け取られていることがあります。
そこに生活者が加わると、企業側には思いもよらなかった使い方や、 選ぶときの迷い、買わなかった理由、意外な評価が出てきます。
企業と生活者が「一緒に考える相手」になる
価値共創セッションでは、企業が質問し、生活者が回答するだけの関係から少し離れます。 商品をつくる側と使う側が、それぞれの経験や視点を持ち寄りながら、 「この商品には、どんな意味があるのだろう」と一緒に考えていきます。
その意味では、こらぼたうんの価値共創セッションは、 企業の外へ開かれた“ワイガヤ”とも言えるかもしれません。
一人の言葉に、別の人の経験が重なる
対話の面白さは、一人の意見だけで終わらないところにもあります。
現場ストーリー|実際の支援事例
生活者同士の会話から、新しいアイデアが生まれました
ある共創セッションでは、企業担当者が順番に質問し、 生活者が一人ずつ答えるだけの進め方にはしませんでした。
普段の使い方や困りごとを話してもらっていると、 一人の言葉に別の人が自然に反応し、会話が広がっていきました。
「私はこう使っています」という話に、 「それなら別の場面でも使えそう」 「家族と一緒なら、こんな使い方もできるかもしれない」 と別の人の経験が重なります。
企業側が最初から用意していた質問だけでは出てこなかった発想が、 生活者同士の会話の連鎖から生まれていきました。
大切なのは、意見の数を集めることではありません。 一人の言葉をきっかけに、別の人の経験や企業側の視点が重なり、 まだ形になっていない考えをみんなで育てていくことです。
現場ストーリー CASE004を見る →対話で起きる一番大きな変化は、「見え方」が変わること
共創セッションというと、 「新しいアイデアをたくさん出す場」と思われることがあります。
もちろん、新しいアイデアが生まれることもあります。
しかし私たちが現場で感じてきたのは、 それ以上に大きいのが企業担当者自身の見え方が変わることです。
- 何気ない生活者の言葉が、商品の見方を変える
- 「強み」だと思っていた部分が、実はそれほど重視されていなかったと気づく
- 企業側が気づいていなかったところに、生活者が価値を感じている
- 買う・買わないの背景に、機能とは別の理由が見えてくる
- 「売る側」の視点から、「使う側」の意味へ見る角度が変わる
この変化は、その場だけで終わるものではありません。
一度、生活者が実際にどう考え、どう迷い、どう選んでいるのかを目の前で知ると、 その後の商品企画や営業、情報発信を見る目も少しずつ変わってきます。
だから、価値共創セッションの成果は 「その日に何個のアイデアが出たか」だけでは測れません。
企業側のものの見方や、その後の判断の仕方まで変わっていく。
私たちは、そこにも生活者と直接対話する大きな意味があると考えています。
本音を「聞く」のではなく、本音が「生まれる」場をつくる
「お客様の本音を聞きたい」という相談をいただくことがあります。
ただ、本音は質問すれば必ず出てくるものではありません。
「本音を教えてください」と聞かれても、 人は自分の気持ちをすべて整理して話せるわけではないからです。
だからこそ必要なのは、 本音を取りにいくことより、本音が自然に生まれてくる関係と空気をつくることなのだと思います。
質問より前に、場を考えてみる
生活者から思ったような意見が出ないとき、 「質問の仕方が悪かったのでは」と考えることがあります。 もちろん質問も大切です。 しかし、その前に「この人は安心して話せているだろうか」 「企業が答えを急ぎすぎていないだろうか」と、 場そのものを見直すことも大切です。
そこで出てきた小さな違和感を急いで結論にせず、 別の人の言葉と重ね、企業側の経験とも重ねていく。
そうして対話を続けていると、 最初は曖昧だったものに少しずつ輪郭が現れてきます。
その先に、「選ばれる理由」が見えてくる
良い商品だから売れる。 機能が優れているから選ばれる。
必ずしも、それだけではありません。
生活者は、それぞれの暮らしや経験、価値観の中で商品やサービスを見ています。
企業が考えている商品の価値と、 生活者が実際に感じている価値が一致していることもあれば、 思いがけないところに違いがあることもあります。
その違いは、アンケートの数字だけでは見えにくいものです。
だからこそ、企業と生活者が直接言葉を交わし、 「なぜそう感じるのだろう」と一緒に考えてみる。
そこから、 企業だけでは気づかなかった価値の芽が見つかり、 やがて“選ばれる理由”へ育っていく。
こらぼたうんが長年、生活者との直接対話を大切にしてきた理由は、ここにあります。
まとめ|本音が生まれる場から、選ばれる理由は育っていく
企業と生活者の対話は、単なる意見収集ではありません。
質問する側と答える側という関係を少し離れ、 同じテーブルで一緒に考えてみる。 一人の何気ない言葉に別の人の経験が重なり、 企業側もそこに反応する。
そうした“ワイガヤ”のような対話の中で、 アンケートや会議だけでは見えなかった小さな違和感や、 まだ言葉になっていなかった価値が現れてきます。
大切なのは、たくさんの意見を集めることではありません。 本音が出やすい空気をつくり、その言葉を急いで評価せず、 みんなで少しずつ意味を深めていくことです。
すると、生活者のことが見えてくるだけではなく、 企業側の商品の見え方そのものが変わることがあります。
その変化の先に、 これまで気づかなかった価値の芽があり、 「なぜ、この商品が選ばれるのか」という理由が少しずつ見えてきます。
本音が生まれる場から、選ばれる理由は育っていく。
それが、こらぼたうんが考える企業と生活者の対話です。
生活者と話してみたい。でも、何から始めればいいかわからない。
課題や相談内容が、まだ整理されていなくても大丈夫です。 「生活者の声を聞いているのに、なかなか次につながらない」 「自社商品の強みが分からなくなってきた」 「一度、実際に使う人と直接話してみたい」など、 今感じていることからお聞かせください。
こらぼたうんが、生活者とどのように話せばよいか、 どんな場をつくればよいかを、貴社の状況に合わせて一緒に考えます。
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