「面白そう」から始まる共創。人が変わっていく瞬間が、私は好きです。

「なんだか面白そうだね」

新しい仕事を始めるとき、私はこの感覚をとても大切にしています。

自分自身はもちろん、一緒に取り組む企業の担当者も、参加してくださる生活者の皆さんも、「面白そう」「ちょっとやってみたい」と思えること。

そこから始まる仕事には、何かが生まれそうな予感があります。

もちろん、仕事ですから目的も成果も大切です。でも、最初から難しい理屈や成果ばかりを考えるより、まずは一緒にやってみたいと思えることが大事なのではないでしょうか。

最初から積極的な人ばかりではありません

共創の現場には、さまざまな企業担当者が参加します。

自分から希望して参加する方もいれば、会社の方針や上司の指示でチームに加わる方もいます。当然、最初から全員が積極的とは限りません。

あまり発言せず、どこか様子を見ているような方もいます。

でも、そんな方が途中から驚くほど変わっていくことがあります。

きっかけは、参加してくださる生活者の皆さんの姿です。

自分たちの商品やサービスについて、一生懸命に考えてくれる。率直な意見を伝えてくれる。時には、自分の時間を使ってまで、より良くするために協力してくれる。

そんな姿を目の前で見ているうちに、企業担当者の表情や態度が少しずつ変わっていきます。

発言が増え、自分から質問するようになり、次に向けた行動も変わっていく。

私は、これまで何度もそんな場面に立ち会ってきました。

次のセッションで、お菓子を持ってきてくれた

あるとき、最初はそれほど積極的ではなかった企業担当者が、次のセッションに地元のお菓子を買ってきてくれたことがありました。

会社の経費ではなく、自分のお金で。

誰かに頼まれたわけでもありません。参加してくださる皆さんに、何か喜んでもらいたかったのでしょう。

私は、こういう小さな出来事がとても嬉しいのです。

もちろん、お菓子を持ってくること自体が大切なのではありません。

最初は仕事として参加していた方が、いつの間にか自分の気持ちで動くようになっている。そこに、大きな変化を感じるからです。

そして、その気持ちは生活者の皆さんにも伝わります。

企業担当者が真剣に向き合ってくれるから、生活者ももっと協力したくなる。生活者が一生懸命に応えてくれるから、企業担当者もさらに頑張りたくなる。

お互いの気持ちが、お互いの行動を変えていくのです。

時には、こちらが少し難しいお願いをしても、喜んで引き受けてくださることがあります。

最初からそんな関係だったわけではありません。一緒に考え、話し、試していくうちに、少しずつ育ってきた関係です。

私は、そんなふうに場の空気が変わり、人と人との関係が深まっていく瞬間を見るのが大好きです。

だから、雰囲気づくりにはこだわります

共創の場では、何を話し合うか、どんな方法で進めるかも大切です。でも、それ以上に私が気を配っているのは、その場の雰囲気です。

立場や肩書を気にせず話せること。自分と違う意見が出ても、否定せずに受け止められること。わからないことを、わからないと言えること。そして、誰もが自分の言葉で話せること。

そんな雰囲気があって初めて、普段は口にしない思いや、思いがけない発想が生まれてくるのだと思います。

もちろん、最初からうまくいくとは限りません。緊張している方もいれば、なかなか発言できない方もいます。それはごく自然なことです。

大切なのは、そうした人たちも少しずつ安心して参加できる場をつくっていくことです。

ただ、どうしてもそのような雰囲気をつくることが難しいと感じる場合もあります。

そんなときは、企業側にいろいろな提案をして、できる限りの工夫をします。それでも難しいと判断したときには、仕事をお引き受けしないこともあります。

せっかく時間をつくって参加してくださる生活者の皆さんにも、企業の担当者にも、意味のある時間にしていただきたいからです。

人を変えようとしているわけではありません

私は、共創を通じて誰かを変えようとしているわけではありません。

企業担当者に意識改革を求めたいわけでも、生活者に特別な役割を期待しているわけでもありません。

ただ、お互いが一人の人間として向き合い、一緒に考えられる場をつくりたい。

そうしているうちに、自然と人の気持ちが動き、行動が変わっていくことがあります。

その変化は、すぐに数字で表せるものではありません。でも、そうした経験を重ねた企業担当者は、次に商品やサービスを考えるときにも、生活者の顔や言葉を思い浮かべるようになるかもしれません。

一つの商品を良くするだけでなく、その先にもつながっていく。私は、そこにも共創の大きな価値があると思っています。

やっぱり、人と人が向き合う仕事は面白い

最近は、AIやデジタル技術によって、さまざまなことが便利になりました。それは素晴らしいことですし、私自身もその恩恵を感じています。

それでも、目の前にいる人の熱意に触れ、心が動き、自分から何かをしたくなる。そんな経験には、人と人が直接向き合うからこその良さがあると思います。

「面白そうだね」

そんな気持ちで始まった取り組みが、いつの間にか「この人たちと一緒に、もっと良くしたい」という気持ちに変わっていく。

そして、企業担当者も生活者も、最初の頃とは少し違う表情になっている。

私は、そんな瞬間を見るのがすごく嬉しいのです。

だから、何年この仕事を続けていても、やっぱり共創の現場は面白い。

これからも、そんな時間を皆さんと一緒につくっていけたらと思っています。

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