オンラインで顧客とつながれる時代に、なぜ直接会う必要があるのでしょうか

オンラインコミュニティやファンコミュニティなど、 企業が顧客と継続的につながる方法が増えています。

商品について意見を聞いたり、 新しいアイデアを一緒に考えたり、 投稿やコメントから顧客の声を集めたり。 以前に比べれば、企業と顧客の距離はずっと近くなりました。

場所を選ばず、多くの顧客と継続的につながることができる。 これはオンラインならではの大きな価値です。

では、オンラインでこれだけ顧客とつながれるようになった今、 わざわざ同じ場所に集まり、 顧客と直接会って話す必要はあるのでしょうか。

オンラインで顧客とつながる価値は、これからもっと大きくなる

オンラインでの顧客とのつながりには、多くの利点があります。

距離に関係なく参加してもらえる。 一度だけではなく継続的に声を聞くことができる。 日々の投稿やコメントから、商品やサービスに対する反応を知ることもできます。

特に、商品をよく知るファンや利用者と長く関係を築くうえで、 オンラインコミュニティはとても有効な方法の一つです。

だから、オンラインかリアルか、どちらが優れているかを比べることには、 あまり意味がないのかもしれません。

大切なのは、 それぞれの方法で何が分かるのかを知り、目的によって使い分けること ではないでしょうか。

オンラインだから分かること、直接会うから分かること

オンラインで見えやすいこと

継続的な意見や感想、商品への要望、利用者同士の会話など、 多くの顧客の「声」を時間をかけて蓄積していくことができます。

直接会うと見えやすいこと

商品を手に取るまでの迷い、使っているときの様子、 表情や間、他の人の話を聞いたときの反応など、 言葉になっていない部分まで含めて見ることができます。

人は、自分が感じていることや行動している理由を、 いつもすべて言葉にしているわけではありません。

「使いやすいです」 「気に入っています」 「こういう商品が欲しいです」

その言葉自体はもちろん大切です。 ただ、実際の商品を前にしたり、使っている様子を見たり、 他の生活者と一緒に話したりすることで、 その言葉の背景が初めて見えてくることがあります。

オンラインでは「声」が見える。
リアルでは、その声が生まれる「場面」が見える。

「欲しい」と言ったことと、実際に選ぶことは同じではありません

例えば、新しい商品のアイデアを見せたとき、 「これなら欲しい」と答えてくれた人がいたとします。

ところが、その人と実際に売場を歩いてみると、 その商品に近いものを手に取らないことがあります。

例えば、買い物の場面で

「この前は欲しいと言っていましたが、 今はなぜこちらを選ばなかったのでしょう?」

そう聞いてみると、 「家に置くことを考えると少し大きい」 「いつもの商品が目に入ると、やっぱりそちらを選んでしまう」 「実際に価格を見ると少し迷う」 といった話が出てくるかもしれません。

これは、オンラインでの回答が間違っていたということではありません。

商品について考えているときの気持ちと、 実際の暮らしや売場の中で判断するときの気持ちには、 違いが生まれることがあるということです。

意見を聞くことと、実際の行動を見ることは同じではありません。

買い物に同行する。 自宅で商品がどのように置かれ、使われているのかを見る。 実際の商品を一緒に使ってみる。

こうした場面に企業側も立ち会うことで、 アンケートや投稿だけでは気づかなかった 「なぜ?」が見えてくることがあります。

ファンの声を集めることと、「選ばれる理由」を見つけることは同じではありません

ファンコミュニティでは、 その企業や商品をよく知り、好意を持っている人たちと 継続的な関係を築くことができます。

ファンだからこそ気づく商品の魅力や、 長く使っているからこそ分かる改善点もあります。

こうした声は、企業にとって非常に大切です。

一方で、企業がこれから 「もっと多くの人に選ばれるにはどうすればよいのか」 を考えるときには、別の人たちの声も必要になることがあります。

まだ商品を買ったことがない人。
競合商品を選んでいる人。
一度買ったけれど、その後買わなくなった人。
売場で商品を見たけれど、手に取らなかった人。

商品を好きな理由だけでなく、 「なぜ選ばれなかったのか」 にも、これからの商品やサービスを考えるためのヒントがあります。

ファンの声を集めることと、
これから「選ばれる理由」を見つけることは、同じではありません。

直接会う価値は、「顧客を理解すること」だけではありません

顧客と直接会う意味を考えるとき、 どうしても「顧客について詳しく知ること」に目が向きます。

しかし、実際の場ではもう一つ大きなことが起こります。

顧客の話を聞いた企業側の見方が変わることです。

報告書に、 「○%の人が、この部分を使いにくいと感じています」 と書かれているのを読むことと、 目の前の生活者が実際に商品を使いながら、 「ここがちょっと使いにくいんですよね」 と話すのを見ることは、同じ情報であっても受け止め方が違います。

さらに、別の生活者が 「私も同じです」 と話し始める。

そこで企業担当者が、 「そこは、それほど重要だと思っていませんでした」 と気づく。

そして、その場で 「では、こう変えたらどうでしょう?」 と話が動き始める。

ここで起きているのは、単なる情報収集ではありません。

生活者を理解するだけではなく、
企業側の見方や判断が変わっていく。

企業と生活者が同じ場で考える意味は、 こうしたところにもあります。

オンラインか、リアルか、ではありません

オンラインコミュニティがあるから、 直接会う必要がなくなるわけではありません。

反対に、直接会うことを大切にするからといって、 すべてをリアルで行う必要もありません。

それぞれの特徴を生かせば、 顧客との関係はもっと豊かになります。

オンラインで継続的につながる

↓

声や気づきを蓄積する

↓

重要なテーマを見つける

↓

直接会って、一緒に確かめる

↓

商品やサービスを変える

↓

また顧客の反応を確かめる

オンラインは、広く、長くつながるために。
リアルは、深く確かめ、次の判断につなげるために。

顧客と直接会った方がいいのは、企業が「迷っているとき」かもしれません

すべての商品開発やマーケティングで、 顧客と直接会う必要があるわけではありません。

データを見れば判断できることもあります。 オンラインで意見を聞けば十分なこともあります。

では、どんなときに直接会う意味が大きくなるのでしょうか。

例えば、

新商品の方向性を決めきれない。
顧客の声は集まっているのに、何を変えればよいのか分からない。
社内で意見が割れている。
なぜ競合ではなく自社商品が選ばれるのか分からない。
オンラインにはたくさんの声があるのに、次の一手が決まらない。

そんなときは、 もう一度顧客と同じ場所に立ち、 商品やサービスを一緒に見ながら、 「なぜだろう?」を確かめてみる。

そこから、企業だけで考えていたときには見えなかった 選択肢が見つかることがあります。

オンラインで顧客とつながれる方法は、 これからさらに増えていくでしょう。

顧客の声を集めることも、 継続的な関係を築くことも、 以前よりずっとやりやすくなっています。

だからこそ、 「オンラインか、リアルか」と考えるのではなく、 何を知りたいのか、何を確かめたいのか から方法を選ぶことが大切です。

オンラインで顧客とつながれる時代だからこそ、
重要な判断の前では、顧客と直接会って一緒に確かめてみる。

直接会う意味は、 なくなっているのではなく、 むしろその役割がはっきりしてきているのかもしれません。

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