「顧客は、モノではなくコトを買っている」
マーケティングの世界では、よく使われる言葉です。
掃除機を買う人が本当に欲しいのは、掃除機そのものではなく、きれいな部屋かもしれません。 お掃除ロボットを買う人が欲しいのは、機械ではなく、家事に追われない時間かもしれません。
食品を買う人が求めているのは、味だけではなく、家族と過ごす楽しい時間や、 一日の終わりに気持ちを切り替えるひとときかもしれません。
商品やサービスの先にある、生活者の変化。 それが「コト」だと考えれば、「モノではなくコトを売る」という考え方は、とても分かりやすいものです。
本当に生活者の暮らしの中で実現しているでしょうか。
「便利」を届けたつもりでも、便利になっていないことがあります
たとえば、企業が「家事を楽にする商品」を開発したとします。
機能も充実しています。
性能にも自信があります。
社内でも「これなら忙しい人に喜ばれる」と評価されています。
ところが、実際に生活者に使ってもらうと、異なる声が出てくることがあります。
使い方を覚えるまでが、少し面倒でした。
出し入れが大変なので、だんだん使わなくなりました。
便利そうでしたが、自分の家では置く場所に困りました。
企業は「家事を楽にする」というコトを届けたつもりでも、 生活者の暮らしの中では、まだそのコトが実現していません。
商品が完成したことと、価値が実現したことは、同じではないのです。
「高品質」だけでは、生活者が得られる価値は分かりません
企業の商品説明では、次のような言葉がよく使われます。
「高品質です」
「多機能です」
「こだわりの素材を使用しています」
「独自技術で開発しました」
「さまざまな用途に使えます」
どれも、商品の良さを伝える大切な情報です。
しかし、生活者が知りたいのは、その先です。
その商品を使うことで、自分の暮らしがどう変わるのか。
どんな場面で役立つのか。
今抱えている不便や迷いが、どのように解消されるのか。
機能や品質が優れていても、生活者が自分の暮らしと結びつけられなければ、 選ぶ理由にはなりません。
企業が説明している価値と、生活者が感じる価値の間には、 思っている以上に距離があります。
「なんでも使える」が、選べない理由になっていました
私たちが関わったある商品は、幅広い用途に使えることが強みでした。
企業側も、その多用途性に大きな価値があると考えていました。
さまざまな場面で使える。
多くの人に役立つ。
一つあれば何通りにも使える。
ところが、生活者と話してみると、異なる反応が返ってきました。
結局、何に使えばいいのか分かりません。
自分に必要な商品なのか判断できません。
便利そうですが、使う場面が浮かびません。
企業が強みだと考えていた「なんでも使える」が、 生活者にとっては「選びにくい理由」になっていたのです。
そこで、すべての用途を伝えるのではなく、 生活者にとって分かりやすい特定の場面に焦点を当てました。
誰の、どのような困りごとに役立つ商品なのか。
使った後、暮らしがどう変わるのか。
それが伝わるように、商品の見せ方や説明を見直しました。
見方を変えると、伝える内容も変わります
多くの用途に使える、多機能な商品
自分のどんな困りごとが、どう変わるのか
商品そのものを変えたのではありません。
企業が伝えたい機能から、生活者が実現したいコトへ、視点を移したのです。
結果として、生活者が商品を自分の暮らしと結びつけやすくなり、 選ばれ方も変わっていきました。
Field Story
「なんでも使える」が、選べない理由になっていました。
幅広く使えることを強みとしていた商品が、生活者には 「自分に必要か分からない商品」と受け取られていた事例です。 生活者との対話から、選ばれない理由を見直しました。
現場ストーリー CASE006を見る企業が考えた「コト」が、正しいとは限りません
「モノではなくコトを売ろう」
この考え方が広がったことで、多くの企業が、 商品によって提供できる体験や価値を考えるようになりました。
しかし、ここにも注意が必要です。
企業の会議室で考えた「コト」が、 生活者の求めているものと一致しているとは限らないからです。
企業は「時短になる」と考えていても、 生活者は別の作業が増えたと感じているかもしれません。
企業は「家族の時間を豊かにする」と考えていても、 生活者は一人で気持ちを休める時間を求めているかもしれません。
企業は「特別感のある商品」と考えていても、 生活者は日常で気軽に使えることに価値を感じているかもしれません。
企業が提供したい価値を決めるだけでは、十分ではありません。
その価値が本当に暮らしの中で生まれているか。
企業が想定した場面で使われているか。
生活者は、企業が考えたものとは違う価値を見つけていないか。
実際の生活者に確かめる必要があります。
会議の中心に、生活者はいますか
顧客第一を掲げている企業は少なくありません。
しかし、実際の会議ではどうでしょうか。
売上はいくらだったのか。
競合他社は何をしているのか。
原価をどこまで下げられるのか。
今期の目標をどう達成するのか。
もちろん、どれも重要な議題です。 企業である以上、数字を無視することはできません。
ただ、数字だけを追い続けていると、 いつの間にか生活者が会議からいなくなってしまいます。
本来、売上は、生活者に価値を届けられた結果として生まれるものです。
数字は目的ではなく、 自分たちの活動が生活者に届いたかを確かめるための通知表ともいえます。
だからこそ、ときどき立ち止まって問い直す必要があります。
その変化は、本当に起きているのか。
完成させることより、使われた後を確かめる
Webサイトの制作でも、同じことがあります。
デザインが完成した。
必要な情報も掲載した。
ボタンも設置した。
スマートフォンにも対応した。
企業側から見れば、これで完成です。
しかし、実際に利用者に使ってもらうと、 次のようなことが起こります。
どこを押せばよいか迷う。
大切な情報が見つからない。
説明を読んでも意味が伝わらない。
企業が見てほしい場所とは、別の場所を見ている。
そこで、実際に使ってもらい、迷った場所や見落とされた情報を確認し、 理由を聞き、また作り直します。
一度作って終わりではありません。
利用者が目的を達成できたところまで確かめる。
これが、「コトに責任を持つ」ということではないでしょうか。
Field Story
作って、使ってもらって、また作り直しました。
制作途中のWebサイトを実際に操作してもらい、 迷う場所や押されないボタン、伝わらない言葉を確認。 利用者が目的を達成できるところまで、修正と再確認を繰り返した事例です。
現場ストーリー CASE016を見る生活者との対話は、答えを聞くためだけのものではありません
生活者に「どんな商品が欲しいですか」と尋ねても、 すぐに新しい答えが出てくるとは限りません。
生活者自身も、自分が何を求めているのか、 はっきりと言葉にできないことがあるからです。
だから私たちは、商品の評価だけを聞くのではなく、 実際の暮らしについて話してもらいます。
- どんな場面で使ったのか
- 使う前に何を考えたのか
- どこで迷ったのか
- 誰と一緒に使ったのか
- 使わなくなったとすれば、何があったのか
そうした対話の中から、企業が想定していなかった使い方や、 生活者が本当に求めている変化が見えてきます。
生活者との対話は、企業の仮説を肯定してもらう場ではありません。
企業が届けているつもりの価値を、もう一度見直す場です。
自社が届けている「コト」を、確かめてみませんか
商品やサービスの良さは、社内でも説明できます。
機能、技術、品質、実績、価格。
しかし、それらが生活者の暮らしの中で、 どのような価値になっているかは、企業の中だけでは分からないことがあります。
次のような迷いがあるときは、 一度、生活者との間にあるズレを確かめてみる価値があります。
- 商品の良さを説明しているのに、選ばれない
- 多機能なのに、生活者に必要性が伝わらない
- 「便利」「高品質」「おいしい」以上の価値を言葉にできない
- 提供したい体験は決めたが、本当に実現しているか分からない
- 商品企画や会議が、社内視点に偏っていると感じる
答えを最初から用意する必要はありません。
企業が持っている仮説を生活者との対話の中で確かめ、 違っていれば修正し、もう一度試す。
その繰り返しから、生活者にとって本当に意味のある価値が見えてきます。
モノではなく、コトを考える。
そして、そのコトが本当に実現したかを確かめる。
私たちは、企業と生活者が同じテーブルを囲み、 その価値を一緒に見つけ直すところからお手伝いしています。
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自社が届けている価値を、
生活者の視点から確かめてみませんか
商品やサービスの良さはあるのに、選ばれる理由をうまく言葉にできない。 生活者に届けたい価値と、実際の使われ方にズレがある気がする。 そのような段階からご相談いただけます。
ご相談内容がまとまっていない段階でも構いません。
まずは、今感じている迷いをお聞かせください。
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