まずは 価値共創マーケティングのフレームワーク を確認してから読み進めると理解が深まります。
企画が堂々巡りになったとき、必要なのは「もっと会議を増やすこと」ではなく、問い・視点・場のつくり方を変えることです。 生活者や顧客のリアルな声を取り入れることで、社内だけでは見えなかった突破口が見えてきます。
新商品企画やサービス改善、販促アイデアを考えていると、ある時点で急に前に進まなくなることがあります。 会議を重ねても新しい案が出ない。資料を増やしても判断が変わらない。競合比較をしても、結局は似たような方向に戻ってしまう。 そんな「煮詰まり」は、多くの企業で起こります。
ただし、企画が煮詰まること自体は悪いことではありません。 むしろそれは、これまでの情報、これまでの問い、これまでのメンバーだけでは見えない領域に差しかかっているサインです。 そこで必要になるのが、生活者や顧客と一緒に考える「共創」の視点です。
社内で考え尽くした先にこそ、外の視点が効きます。 生活者の何気ない言葉、買い物時の迷い、使う場面での違和感、担当者とは違う価値の見え方。 そこに、企画を動かすヒントが眠っています。
1. なぜ社内企画は煮詰まるのか
企画が煮詰まると、「アイデアが足りない」「担当者の発想力が弱い」と考えてしまいがちです。 しかし実際には、担当者個人の問題ではなく、組織の中で企画を考える以上、自然に起こりやすい構造的な問題です。
社内メンバーは、同じ市場データを見て、同じ競合を意識し、同じ社内事情を知っています。 そのため、会議の参加者が違っても、出てくるアイデアの前提が似てきます。 さらに、「実現できるか」「社内で通るか」「前例があるか」という判断が早く働くと、企画は広がる前に小さくまとまりがちです。
同じ情報を見続けている
市場データや競合資料は大切ですが、それだけでは生活者の実感や使う場面までは見えにくいものです。
社内常識がブレーキになる
「うちでは難しい」「以前も似た案があった」という判断が早く入り、新しい可能性が消えてしまうことがあります。
問いが固定されている
「どう売るか」だけを考え続けると、価格、機能、販促の話に偏り、生活者の体験に届きにくくなります。
失敗を避ける空気がある
無難な案ほど通りやすく、挑戦的な案ほど説明が難しくなるため、結果として企画が丸くなります。
企画が進まないときは、「もっと考える」だけではなく、「何を前提に考えているのか」を見直す必要があります。 煮詰まりは、考える量の不足ではなく、視点の偏りによって起こることが多いのです。
2. 社内だけで考えることの限界
社内で企画を考えることには、もちろん意味があります。 事業の強み、製造や提供の制約、販売チャネル、利益構造、ブランド方針。 これらは社内の人でなければ深く理解できません。
しかし、社内の視点だけで企画を完成させようとすると、どうしても「企業が伝えたい価値」が中心になります。 一方で、生活者が実際に感じる価値は、企業が想定しているものとズレることがあります。 作り手がこだわっている点が伝わっていなかったり、逆に企業が小さく見ていた部分が選ばれる理由になっていたりするのです。
社内だけで考え続けると
- 競合比較と価格の話に寄りやすい
- 社内事情が優先され、顧客の実感が弱くなる
- 「できる範囲」の案にまとまりやすい
- 生活者が感じる違和感に気づきにくい
外の視点を入れると
- 使う場面や買う場面から発想できる
- 企業が気づいていない魅力が見える
- 伝わっていない価値を修正できる
- 社内の判断に納得感が生まれやすい
こらぼたうんが大切にしているのは、生活者を単なる「意見を聞く相手」として扱うのではなく、 企画の可能性を一緒に広げるパートナーとして捉えることです。 社内の知見と生活者の実感が重なると、机上のアイデアが現実の価値に近づきます。
3. 突破口1:問いを変える
煮詰まった企画を動かす最初の鍵は、「問い」を変えることです。 同じメンバーで話していても、問いの立て方が変わるだけで、出てくるアイデアは大きく変わります。
たとえば、「どうすればこの商品をもっと売れるか」という問いは、悪い問いではありません。 しかし、この問いだけでは、広告、価格、販促、機能追加といった方向に発想が偏りやすくなります。 そこで、問いを生活者の体験に近づけてみます。
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「どう売るか」から「どんな場面で役に立つか」へ
商品の特徴ではなく、生活者の使用場面を起点に考えることで、訴求や改善の切り口が広がります。 -
「何が足りないか」から「何が伝わっていないか」へ
新機能を追加する前に、すでにある価値が生活者に届いているかを見直します。 -
「誰に売るか」から「誰のどんな困りごとに寄り添うか」へ
年齢や性別だけではなく、生活場面や気持ちの動きまで含めて顧客像を捉え直します。 -
「競合とどう違うか」から「選ばれた後に何が残るか」へ
一時的な差別化ではなく、購入後の満足や継続的な関係まで含めて価値を考えます。
企画が煮詰まったときは、答えを急ぐ前に問いを変える。 これだけで、社内会議の空気が変わり、生活者にとっての価値が見えやすくなります。
4. 突破口2:外の声を入れる
企画が進まないとき、社内では「もっとデータを見よう」「競合を調べよう」となりがちです。 もちろん、それも大切です。 しかし、煮詰まりを突破するためには、生活者のリアルな声や反応に触れることが非常に有効です。
ここで大切なのは、生活者に「正解」を聞くのではないということです。 生活者は、必ずしも新商品の答えを持っているわけではありません。 しかし、どこで迷うのか、何に反応するのか、どんな言葉なら自分ごとになるのか、どんな場面で使いたくなるのか。 そうした実感を持っています。
生活者の「そういえば」「なんとなく」「実は」という言葉に、企画のヒントが隠れていることがあります。
棚の前でどこを見るか、何と比較するか、何で手が止まるかを見ると、売り場の改善点が見えてきます。
実際に使うときの不便、置き場所、家族との関係、気分の変化などが価値づくりの起点になります。
共創セッションや生活者インタビューは、単なる意見収集ではありません。 生活者との対話を通じて、企業側が気づいていなかった価値の芽を見つける場です。 特に、社内では当たり前になっている商品特徴やサービスの説明を、生活者がどう受け止めるかを見ることは非常に重要です。
5. 突破口3:場と方法を変える
企画が煮詰まる原因は、内容だけではありません。 同じ会議室、同じ資料、同じメンバー、同じ進め方が続くことで、思考そのものが固定されてしまうことがあります。 そのため、場や方法を変えることは、単なる気分転換ではなく、企画を前に進めるための有効な手段です。
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会議室から生活の現場へ出る
商品が実際に選ばれる売り場、使われる家庭、利用される場面に近づくことで、資料では見えなかった発見が生まれます。 -
説明ではなく対話にする
企業側が一方的に説明するのではなく、生活者の反応を見ながら会話を重ねることで、価値の伝わり方が見えてきます。 -
発散と収束を分ける
最初から評価しながら話すと、アイデアは広がりません。 まず広げ、その後で整理する進め方が必要です。 -
参加者同士が安心して話せる空気をつくる
共創の場では、批判しない、まず受け止める、人の意見に相乗りする、といった約束事が重要になります。
場が変わると、出てくる言葉が変わります。 言葉が変わると、見える課題が変わります。 見える課題が変わると、企画の方向性も変わり始めます。
6. 共創で企画が動き出す瞬間
共創の価値は、単にアイデアの数が増えることではありません。 本当に大きいのは、社内の見方が変わることです。 生活者の言葉に触れることで、「これは伝わっていなかったのか」「そこに価値を感じるのか」「その使い方は想定していなかった」といった気づきが生まれます。
たとえば、企業側は商品の機能や素材を強みだと考えていたとしても、生活者は「置いておきやすい」「人に見られても恥ずかしくない」「家族と一緒に使いやすい」といった別の点に価値を感じていることがあります。 こうした発見は、商品コンセプト、パッケージ、売り場表現、Webページ、営業トークを見直すきっかけになります。
買い物同行でも同じです。 棚の前で実際に生活者がどの順番で商品を見ているか、どこで迷うか、どの言葉に反応するかを確認すると、社内会議では出てこなかった改善のヒントが見えてきます。 その場で起こる小さな迷いやつぶやきが、企画を動かす突破口になるのです。
7. 実務で進めるための5ステップ
共創を取り入れるといっても、いきなり大規模なプロジェクトにする必要はありません。 むしろ、最初は小さく始め、社内で使える気づきに変換し、企画に反映する流れをつくることが大切です。
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煮詰まっている論点を整理する
何が決まらないのか、どこで議論が止まっているのか、社内で迷っているポイントを明確にします。 -
問いを生活者視点に置き換える
「どう売るか」だけでなく、「どんな場面で価値になるか」「何が伝わっていないか」という問いに変えます。 -
生活者との対話や観察の場をつくる
共創セッション、インタビュー、買い物同行、簡易ワークショップなど、目的に合った方法を選びます。 -
気づきを商品・売り場・伝え方に翻訳する
出てきた声をそのまま受け取るのではなく、企画に使える仮説や改善案へ整理します。 -
小さく試し、反応を見て改善する
コンセプト、コピー、パッケージ、売り場表現などに反映し、反応を見ながら磨いていきます。
8. まとめ:煮詰まりは、価値が見えるサイン
社内企画が煮詰まったとき、それは単なる停滞ではありません。 既存の情報、既存の問い、既存の進め方では見えない領域に入ったサインです。 そこで無理に会議を増やすだけでは、同じ議論を繰り返してしまいます。
必要なのは、問いを変え、外の声を入れ、場と方法を変えることです。 生活者との対話や観察を通じて、社内だけでは見えなかった使われ方、選ばれ方、伝わりにくさを見つける。 その気づきを商品・売り場・伝え方に落とし込むことで、企画は再び動き出します。
企画が煮詰まったときこそ、共創の出番です。
生活者と一緒に考えることで、企業の中に眠っていた強みや、まだ言語化されていなかった価値が見えてきます。
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こらぼたうんでは、生活者との対話や観察を通じて、商品企画・売り場づくり・伝え方の見直しを支援しています。 「企画が堂々巡りになっている」「顧客の声を聞いても次の一手が見えない」「社内だけでは発想が広がらない」と感じている企業様に向けて、実務に落とし込める共創型の伴走支援を行っています。
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