「いい感じ」に宿る価値は、中小企業の商品開発の大きなヒントかもしれない

コラム

分かりやすい機能や価格だけでは語れない価値があります。
中小企業だからこそ育てやすい、“人が思わず惹かれてしまう商品”について考えてみました。

最近、ある商品のことを考えていて、ふと思ったことがあります。
人が「これ、なんかいい」と感じるとき、その理由は案外うまく説明できないものなのだな、ということです。

安いとか、便利とか、高機能とか。
そういう分かりやすい価値はもちろん大事です。
でも、それだけではない何かに惹かれてしまうことがあります。
見た瞬間にちょっと気になる。手に取ると妙にしっくりくる。使ってみると、なんだか嬉しい。
そういうものを、私たちは雑にまとめて「いい感じ」と呼んでいるのかもしれません。

この「いい感じ」という言葉、曖昧なようでいて、実はかなり大事なことを含んでいる気がします。
なぜなら、商品が選ばれる理由は、いつも理屈だけではないからです。

あとからヒット商品を分析すると、いろいろな説明はできます。
ターゲット設定がよかったとか、コンセプトが明確だったとか、パッケージが時代に合っていたとか。
たしかに、それはそれで間違ってはいないのでしょう。
でも、そういう説明を聞いても、ときどき「いや、そういうことだけじゃないんだよな」と感じることがあります。

たぶん本当に人を惹きつけているものは、もっとにじみ出るようなものです。
つくり手が何を面白いと思ったのか。何に違和感を持ったのか。どういう人に届けたいと思ったのか。
そういうものが少しずつ商品に混ざって、気がつくと、その商品らしい空気になっている。
人は、そういう空気に意外と敏感なのだと思います。

そして、ここが中小企業の商品開発にとって、すごく大事なところなのではないかと思うのです。

必要性がはっきりしている商品ほど、これからますます大手が強くなっていくはずです。
品質を安定させて、価格も抑えて、大量に流通させる。
その勝負は、どうしても規模のある企業に分があります。
中小企業がそこで真正面から勝負するのは、やはり簡単ではありません。

でも、中小企業には別の可能性があります。
万人に向けて“正しく”つくられた商品ではなく、ある人が思わず「これ、好きだな」と感じてしまう商品。
必要だから買うというより、なんだか気になる、持っていたい、誰かにすすめたくなる。
そういう商品です。

もちろん、奇をてらえばいいという話ではありません。
わざと変わったものをつくればいいわけでもない。
ただ、つくり手の感覚や姿勢やものの見方が、ちゃんと商品に宿っていると、人はそこに反応するのだと思います。
その感じは、スペック表には載りません。
競合比較の表にも出てきません。
でも、選ばれる理由としては、案外そこが大きかったりします。

こらぼたうんが価値共創を大事にしているのも、結局はそういうことなのだと思います。
生活者と対話をしていると、表面的な「こうしてほしい」だけではなくて、もっと曖昧で、もっと微妙な感覚が見えてくることがあります。
それは、会議室の中だけではなかなか出てこないものです。
暮らしの話をしたり、ちょっとした違和感を話したり、「なんとなく好き」「なんとなく気になる」を一緒にたどっていく中で、少しずつ輪郭が見えてきます。

商品開発というと、どうしても正解を探すような空気になりがちです。
市場を調べて、ニーズを整理して、競合を見て、コンセプトを固める。
もちろんそれは必要です。
でも、その過程で“まだ言葉になっていない魅力”まできれいに整理して消してしまったら、少しもったいない気がします。

「いい感じ」は、整理しきれないからこそ価値があるのかもしれません。
人が商品に惹かれるとき、そこには論理だけでは説明できないものがたしかにあります。
少し大げさに言えば、人は商品にも「落ちる」のだと思います。

そう考えると、中小企業の商品開発は、まだまだ面白い余地があるはずです。
規模が小さいからこそ、つくり手の感覚を宿しやすい。
意思決定が早いからこそ、違和感やひらめきを形にしやすい。
生活者との距離が近いからこそ、机上の理屈ではない手応えを持ちながら育てていける。

売れる理由を全部きれいに説明できなくてもいい。
むしろ、説明しきれない魅力があるほうが、これからは強いのかもしれません。
そんなことを、最近あらためて思います。

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