実務の位置づけは 価値共創マーケの基本と導入ガイド をご参照ください。
購入者と使用者が違う商品の企画で
子どもは「これがいい」と言いました。
親は「でも、少し高いね」と答えました。
子どもは色や見た目を見ている。
親は価格や安全性を見ている。
同じ商品を前にしていても、二人が見ている価値は違います。
このとき、商品企画ではどちらの声を優先すればよいのでしょうか。
答えは、どちらか一方を選ぶことではありません。
親と子どものやり取りの中で、購入の判断がどう決まるかを見ること
です。
この記事で考えること
- 購入者と使用者が違う商品で、片方だけを見る危うさ
- 子どもが選びたくなる理由と、親が購入を決められる条件
- 親子両方の声を聞く順番と見方
- 異なる意見を商品企画へつなげる方法
1. 親と子ども、どちらの声を見ればよいのか
子ども向け商品の企画では、 「使うのは子どもだから、子どもの意見を重視したい」 と考えることがあります。
一方で、 「お金を払うのは親だから、親の意見を優先すべきだ」 という考え方もあります。
どちらも間違いではありません。 しかし、片方だけを見ると、実際に商品が選ばれる場面を捉えきれません。
商品が選ばれるときに起きていること
子どもの「欲しい」という反応だけで購入が決まるとは限りません。
親の「安心して買える」という判断だけでも、
子どもが気に入らなければ選ばれないことがあります。
親と子どもの意見が違うとき、 どちらが正しいかを決めるのではなく、 二人の判断がどのように影響し合っているかを見る必要があります。
2. 購入者と使用者が違う商品は、片方だけでは分からない
学用品、おもちゃ、自転車、子ども服、食品、教育サービスなど、 購入者と使用者が異なる商品は少なくありません。
こうした商品では、 一人の顧客だけを想定しても、 購入までの判断を十分に説明できません。
使用者が見ていること
- 使っていて楽しいか
- 自分らしいと感じるか
- 友達に見せたくなるか
- 使いやすい、持ちやすいか
購入者が見ていること
- 価格に納得できるか
- 安全に使えるか
- 長く使えるか
- 保管や手入れがしやすいか
これは親子に限りません。
- 高齢の親が使い、子ども世代が購入する商品
- 従業員が使い、管理部門が導入を決めるサービス
- 現場担当者が利用し、経営者が契約を判断する仕組み
購入者と使用者が違う場合、 片方だけに聞くと、 選ばれる理由も、選ばれない理由も取り違える可能性があります。
3. 子どもが選びたくなる理由
子どもは、商品を論理的な機能だけで見ているわけではありません。
色、形、触った感じ、使ったときの楽しさ、 友達に見せたときの気持ちなど、 自分の生活の中でどう感じるかを見ています。
子どもの言葉から見つけたいこと
- どの瞬間に表情が変わったか
- 何を手に取り、何を選ばなかったか
- 誰に見せたい、どこで使いたいと言ったか
- 使いにくさや違和感を、どのような言葉で表したか
大切なのは、 「青が好き」 「丸い形が好き」 という好みだけを拾うことではありません。
その色や形によって、 子どもがどのような気持ちになり、 どのように使いたいと思ったのかを見ます。
つまり、子どもの声から探すのは、 子どもがその商品を選びたくなる理由です。
4. 親が購入を決められる条件
親は、子どもの反応を無視して商品を選んでいるわけではありません。
子どもが気に入っていることを見ながら、 価格、安全性、耐久性、手入れ、保管場所などを確認しています。
親が購入をためらう主な理由
- 価格に対して、長く使えるか分からない
- 安全性や素材に不安がある
- 家で保管しにくい
- 洗いにくい、手入れが面倒そう
- 子どもがすぐに飽きるかもしれない
親の声から探すのは、 親自身の好みだけではありません。
子どもの「欲しい」という気持ちを受け止めたうえで、 親が購入を決められる条件を見つけることです。
どちらか一方ではなく、両方が成立する接点が必要です。
5. 見るべきなのは、親子それぞれの声ではなく、やり取り
親と子どもへ別々にアンケートを行えば、 それぞれの意見は集められます。
しかし、実際の購入場面では、 親と子どもは互いの反応を見ながら判断しています。
同じ場だから見えること
- 子どもの一言で、親の表情や判断がどう変わったか
- 親の不安を聞いた子どもが、何を言い直したか
- 親が「いいよ」と言える条件は何だったか
- どちらの言葉が、最終的な選択を動かしたか
例えば、子どもが「これがいい」と言った後、 親が価格を確認し、 「長く使うならいいか」と判断することがあります。
反対に、親が安全性や機能を評価しても、 子どもが全く興味を示さなければ、 購入を見送ることもあります。
重要なのは、 親と子どもの意見を並べることではありません。
二人の会話や反応の中で、 購入の方向がどのように決まっていくかを見ること です。
6. 親子両方の声を聞く3つの手順
最初に子どもの反応を見る
親が先に話すと、 子どもがその意見に合わせることがあります。 まず本人の反応、選び方、言葉を確認します。
次に親の判断条件を聞く
子どもの反応を見たうえで、 何が気になり、 何が解消されれば購入できるかを聞きます。
親子のやり取りを見る
子どもの言葉が親へどう影響し、 親の説明を子どもがどう受け止めるかを観察します。
聞き方の例
子どもへ: 「どれが一番気になる?」 「どこで使いたい?」 「持っていたら誰に見せたい?」
親へ: 「お子さんの反応を見て、どう感じましたか?」 「購入を迷うとしたら、どこですか?」 「何が分かれば安心して選べますか?」
親子へ: 「二人で選ぶとしたら、どこを相談しますか?」
7. 異なる意見を商品企画へつなげる方法
親と子どもの意見が違ったとき、 多数決で決めても商品企画にはつながりません。
「親は落ち着いた色がよい」 「子どもは鮮やかな色がよい」 という違いがあったとします。
ここで、 どちらの色が人気かを決めるだけではなく、 なぜその色を選びたいのかを掘ります。
- 子どもは、友達に見せたくなる色を求めている
- 親は、家の中に置いても違和感がない色を求めている
その背景が分かれば、 色の濃さや組み合わせ、 本体と付属品の配色、 選べるバリエーションなど、 別の解決策が考えられます。
意見の違いを企画へ変える3つの問い
- それぞれは、何を得たいのか
- それぞれは、何を避けたいのか
- 両方が成立する条件は何か
親と子どもの意見が違うことは、 企画がまとまらない原因ではありません。
むしろ、その違いの中に、 商品仕様、伝え方、売り場、選び方を見直すヒントがあります。
8. まとめ|選択が決まる関係を見る
この記事の要点
- 購入者と使用者が違う商品は、片方の声だけでは分からない
- 子どもからは、選びたくなる理由を見つける
- 親からは、購入を決められる条件を見つける
- 親子の意見を並べるだけでなく、二人のやり取りを見る
- どちらかを優先するのではなく、両方が成立する接点を探す
親と子どもの意見が違うとき、 商品企画で見るべきなのは、 どちらの意見が正しいかではありません。
子どもが商品を欲しいと思う理由。
親が購入してもよいと思える条件。
そして、その二つが会話の中でどのようにつながったのか。
そこまで見ることで、 商品の機能だけでなく、 価格、デザイン、伝え方、売り場の提案まで見直せるようになります。
購入者と使用者が違う商品では、 どちらか一方の声を選ぶのではなく、 選択が決まる関係を見ることが重要です。
購入者と使用者の声が食い違い、商品企画の判断に迷っている企業さまへ
親と子ども、購入者と利用者、 導入担当者と現場利用者など、 複数の立場が関わる商品・サービスでは、 片方の声だけでは選ばれる理由を捉えきれません。
こらぼたうんでは、 異なる立場の人の声を別々に集めるだけでなく、 同じ商品をめぐる会話や選び方を見ながら、 商品・伝え方・体験のどこを見直すか を一緒に整理します。
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