顧客が“話したくなる商品”の作り方|語られる時代の企画5つの視点

このような課題はありませんか?

  • 商品の特徴は説明できるのに、顧客が人に薦めてくれない
  • SNS投稿やレビューが思うように増えない
  • 良い商品なのに、価格や機能だけで比較されてしまう
  • 開発ストーリーはあるが、顧客の心に届いていない
  • 顧客の声を聞いても、「話したくなる理由」までつかめない

その原因は、商品の魅力がないことではなく、顧客が自分の言葉で語れる価値になっていないことかもしれません。

いまは「売れる商品」をつくるだけでは足りません。 人の心を動かし、思わず誰かに話したくなる商品は、機能や価格の外側にある 意味・物語・体験によって選ばれています。

ただし、企業が伝えたい物語を一方的に発信するだけでは、顧客は語り手にはなりません。 大切なのは、顧客が実際の暮らしの中で感じた価値を、自分の言葉で誰かに伝えられる状態をつくることです。

本記事では、顧客が話したくなる心理、良い商品なのに語られない理由、語られる商品をつくる5つの企画視点、顧客の言葉を見つける方法まで、実践的に整理します。

この記事でわかること

  • 顧客が商品について話したくなる3つの心理
  • 良い商品でも語られない理由
  • 口コミや紹介につながる商品企画5つの視点
  • 顧客が自然に使う言葉から、商品の価値を見つける方法
  • 語られる価値を商品・パッケージ・Web表現へ反映する進め方

1.人が「話したくなる」3つの心理的トリガー

なぜ人は、ある商品について誰かに話したくなるのでしょうか。 語りは偶然ではなく、いくつかの心理がスイッチになります。

① 自己表現

商品を語ることは、自分を語ることでもあります。

  • 選択やセンス、価値観を表現できる
  • 「私はこういう暮らしが好き」と伝えられる
  • 自分らしさにつながる商品ほど語られやすい

② 他者貢献

人の役に立ちたいという気持ちが、紹介の原動力になります。

  • 「これ良かったよ」は相手への小さな贈り物
  • 悩みが解決された体験ほど伝えたくなる
  • 相手との関係の中で価値を提供している

③ 感情の揺れ

驚き・感動・笑い・共感など、感情が動いた瞬間は記憶に残ります。

  • スペックより「感じたこと」が語られる
  • 予想を超えた体験は共有したくなる
  • 物語が感情を運び、記憶に残す

2.「話されること」が事業にもたらす価値

顧客が商品について話すことは、単なる口コミの発生ではありません。 顧客自身の言葉によって商品の価値が翻訳され、新しい顧客へ伝わっていくことです。

価値1

広告だけに頼らない認知が生まれる

企業発信では届きにくい相手にも、信頼関係を通じて商品の存在が伝わります。

価値2

価格以外の比較軸が育つ

機能や安さだけではなく、体験や意味、共感できる背景が選ばれる理由になります。

価値3

商品の本当の強みが見えてくる

顧客が何を、どのような言葉で語るかを見ることで、企業が気づかなかった価値を発見できます。

語られる商品は、顧客が価値の受け手で終わらず、価値を伝え、育てる存在になっています。 そのため「話されること」は、広告効果だけでなく、商品改善やブランド形成にもつながる事業資産になります。

3.良い商品なのに、なぜ顧客は話してくれないのか

品質が良く、機能も充実しているのに、なぜか顧客が人に薦めてくれない。 その理由は、商品の良し悪しではなく、顧客が語れる形に価値が整理されていないことにあります。

01

特徴はあるが、顧客にとっての意味になっていない

高性能、高品質、独自技術といった特徴だけでは、顧客の暮らしと結びつきません。 「それによって自分の生活がどう変わったのか」まで届いて初めて、話す理由になります。

02

説明が企業の言葉になっている

専門用語や社内で使われる表現は、正確でも顧客がそのまま人に伝えにくいことがあります。 顧客が日常で使う言葉への置き換えが必要です。

03

使用場面が具体的に描けていない

いつ、どこで、誰と、どのような気持ちで使うのかが見えないと、商品が自分ごとになりません。 語られるのは商品そのものより、商品が登場した場面です。

04

感情が動く体験が設計されていない

問題なく使えるだけでは満足されても、強く記憶されない場合があります。 驚き、安心、誇り、共感など、感情が動く瞬間が語りのきっかけになります。

05

顧客が関わる余白や、語るきっかけがない

完成品を購入するだけでは、商品との関係が深まりにくいことがあります。 意見を出す、試す、工夫を共有するなどの参加と、伝える導線が必要です。

大切な視点: 企業が「何を伝えたいか」だけでなく、顧客が「誰に、どのような場面で、何を話したくなるか」から商品を見直します。

4.話題になる商品と、話題にならない商品の違い

話したくなる商品と話したくならない商品の違いを比較したグラレコ。左側では、機能説明ばかり、安さや無難さが中心、使う場面が見えない、感情が動かない、自分の言葉にできない商品を示し、右側では、使用場面が浮かぶ、一言で魅力を伝えられる、共感できる物語がある、驚きや安心がある、誰かに薦めたくなる商品を示している。中央では、企業が伝えたい商品の特徴を、顧客にとっての意味へ翻訳し、語りたくなる理由へ変えていく流れを図解している。
語られる商品は、企業が説明し続ける商品ではなく、顧客が自分の言葉で伝えたくなる商品です。

語られる商品は、単に目立つ商品ではありません。 顧客が誰かに話す理由を、商品体験の中に持っていることが分かれ目になります。

話題になる商品

  • 人に話せる物語や驚き、共感ポイントがある
  • 使う場面と、使用前後の変化が想像できる
  • 顧客の価値観や暮らしと結びついている
  • 「誰に薦めたいか」が自然に思い浮かぶ
  • 魅力を一言で伝えられる

話題にならない商品

  • 機能や性能の説明だけで終わる
  • 強みが「安い」「無難」に偏っている
  • 代替が利き、どれを選んでも同じに見える
  • 使用後の変化や感情が伝わらない
  • 顧客が自分の言葉に置き換えられない

話したくなる商品には、個人的な意味と、誰かと共有したくなる価値が同居しています。 ここからは、その状態を意図的に育てるための5つの設計視点を整理します。

5.商品を「語りたくなる存在」にする5つの設計視点

① 顧客が価値を感じる「使用場面」から考える

最初に考えたいのは、商品の物語ではなく、顧客がどのような場面で価値を感じるかです。 人が語るのは商品だけではなく、「どんなときに、どう使い、何が変わったか」という体験のエピソードです。

確認すること

  • いつ、どこで、誰と使う商品なのか
  • 使用前に、どのような不安や不便があったのか
  • 使用後に、行動や気持ちがどう変わったのか
  • その変化を、誰に話したくなるのか

機能からベネフィットへで止めず、さらにその先の 生活の変化と感情の変化まで言語化することが重要です。

② 「一言で言える魅力」を明確にする

語られる商品には、顧客が短い言葉で説明できる芯があります。 「これ、〇〇なところが良いんだよ」と言えるポイントがなければ、紹介は続きません。

確認すること

  • 10秒程度で説明できる魅力があるか
  • 誰にとって、どのような場面で役立つかが具体的か
  • 比較表がなくても価値が伝わるか
  • 顧客が普段使う言葉になっているか

③ 顧客が共感できる「物語」を整える

原材料、作り手のこだわり、開発のきっかけ、試行錯誤などの背景は、商品を語る材料になります。 ただし、企業が語りたい物語を並べるだけでは不十分です。

大切なのは、その物語が顧客の暮らしや価値観と結びついていることです。 「なぜこの商品をつくったのか」と「なぜ私に必要なのか」がつながったとき、物語は選ばれる理由になります。

確認すること

  • 誰の、どのような困りごとから生まれたのか
  • 素材、形、工程を選んだ理由があるか
  • 失敗や遠回りから得た学びがあるか
  • 顧客が共感できる価値観につながっているか

④ 顧客を「参加者」にする

自分が関わった商品は、自然と誰かに話したくなります。 これは、商品に対して「自分たちのもの」という感覚が生まれるためです。

参加の余白をつくる例

  • 開発中の試作品を使ってもらい、感想と理由を対話で深掘りする
  • パッケージ案を選んでもらい、選択理由も聞く
  • ネーミングや紹介コピーの候補づくりに参加してもらう
  • 購入後の使い方や工夫を共有してもらう
  • 改善後の内容を参加者へ報告する

重要なのは、顧客を単なる投票者にしないことです。 選んだ理由、感じた違和感、使う場面を対話で掘り下げることで、商品企画に活かせる価値が見えてきます。

顧客が何を話したくなるのか、一緒に見つけませんか?

こらぼたうんでは、生活者との対話や共創セッションを通じて、商品の特徴を顧客にとっての意味へ変え、 一言で伝わる「選ばれる理由」を整理する支援を行っています。

⑤ 「語る場」と導線を設計する

語りは、気持ちだけでは発生しません。 商品について思い出し、誰かへ伝えるきっかけと、無理なく共有できる場所が必要です。

語るきっかけ

  • 購入後のメッセージやフォローメール
  • 店頭POPで紹介したくなるポイントを提示
  • 使用後の変化を振り返る問いかけ
  • 写真を撮りたくなる小さな体験設計

語れる場所

  • レビュー欄やSNSハッシュタグ
  • イベントやワークショップ
  • LINE、メルマガ、会員コミュニティ
  • 店頭でのコメント掲示や利用者事例

6.顧客が話したくなる言葉は、会議室だけでは見つからない

商品の「一言で言える魅力」を企業だけで考えると、正確ではあっても、顧客が実際には使わない言葉になりがちです。 顧客が話したくなる言葉は、顧客が商品を使った場面や、誰かへ説明するときの自然な会話の中にあります。

顧客の言葉を見つけるために聞きたいこと

  • この商品を使ったのは、どのような場面でしたか
  • 使う前と後で、何が変わりましたか
  • 一番うれしかったこと、安心したことは何ですか
  • 誰かに薦めるとしたら、どのような人ですか
  • その人に、どのような言葉で説明しますか
  • 「便利」「かわいい」「安心」と感じたのは、具体的にどこですか

たとえば顧客が「かわいい」と話したとき、その言葉をそのまま記録するだけでは十分ではありません。 形、色、サイズ、使う場面、誰と共有したいのかなどを掘り下げることで、 「かわいい」の奥にある選ばれる理由が見えてきます。

顧客の言葉から商品の選ばれる理由を見つけ、企画や表現へ反映する流れをまとめたグラレコ。商品を使う場面を知る、顧客の自然な言葉を聞く、言葉の奥にある感情や意味を掘り下げる、一言で伝わる価値に整理する、商品・パッケージ・Web表現へ反映する、顧客と再検証するというプロセスを図解している。

画像をクリックすると、拡大してご覧いただけます。

企業がつくる言葉ではなく、顧客が自然に話す言葉から価値を見つけ、商品や伝え方へ反映していきます。

また、対話だけでなく、買い物同行や使用場面の観察も有効です。 顧客が何を見て迷い、どこで手を止め、どのような工夫をして使っているかを見ると、 本人も意識していなかった価値が見つかることがあります。

ポイント: 企業がつくったコピーを顧客に評価してもらうだけでなく、 顧客が自然に使う言葉からコピーや商品企画の種を見つけます。

7.自社商品を「語られる存在」にする3ステップ

最初から大規模な調査や共創プロジェクトを行う必要はありません。 まずは小さく始め、顧客の反応を見ながら磨いていきます。

1語れる要素を棚卸しする

商品の特徴だけでなく、使用場面、使用前後の変化、顧客が共感できる背景を整理します。

  • なぜこの商品なのか
  • 生活のどの場面で役立つのか
  • どのような感情の変化があるのか
  • 10秒で伝えられる魅力があるか

2顧客の言葉で確かめる

少人数の顧客と対話し、企業が考えた言葉と顧客が自然に使う言葉の違いを確認します。

  • どの場面が最も印象に残ったか
  • 誰に薦めたいか
  • どのような言葉で説明するか
  • 違和感や伝わりにくさはどこか

3商品と伝え方へ反映する

見つかった価値を、商品仕様、パッケージ、Web、売り場、営業資料などへ反映します。

  • 一言で伝わる価値を見出しにする
  • 使用場面を写真や事例で見せる
  • 顧客の言葉を紹介文に活かす
  • 語るきっかけと導線を設計する

+小さく検証して磨く

表現や試作品を顧客に見てもらい、何が伝わり、何が伝わらないかを確認します。 対話、改善、再検証を繰り返しながら、語られ方を磨いていきます。

8.こらぼたうんが支援できること

こらぼたうんでは、コピーを考えるだけではなく、生活者との対話や観察から 「なぜその商品を人に話したくなるのか」を見つけ、商品企画や表現へ反映する支援を行っています。

顧客の言葉から「選ばれる理由」を育てる支援

商品の背景と強みの整理

開発意図、技術、素材、作り手の思いなど、語れる資源を整理します。

顧客との対話設計

使用場面、感情、選択理由を引き出す問いと、安心して話せる場を設計します。

生活者の言葉の収集

顧客が実際に使う言葉や、言葉の奥にある価値観を丁寧に読み解きます。

一言で伝わる価値の言語化

企業の強みと顧客にとっての意味をつなぎ、選ばれる理由を整理します。

商品・表現への反映

ネーミング、パッケージ、Web、売り場、営業資料などの改善案へ落とし込みます。

試作・検証・改善

表現案や試作品を顧客と検証し、伝わり方と体験を磨いていきます。

既存商品についても、顧客との対話を通じて語られる価値を見つけ直すことができます。 「商品の良さはあるが、伝わる言葉になっていない」という段階からご相談いただけます。

9.まとめ──「語られる」は、広告より強い資産になる

売上や反応率だけでは測れない価値が、語られる商品には宿っています。 それは、信頼、共感、応援といった人と人の関係性を生む力です。

広告で一方的に届けるのではなく、顧客が自ら届けたくなる状態をつくる。 そのためには、商品に物語を付け加えるだけではなく、顧客が価値を感じる場面を知り、 顧客自身の言葉で説明できる魅力を育てることが大切です。

商品を「売る」のではなく、語りたくなる体験を生活者と一緒に育てる。 その視点が、価格だけで比較されない商品と、長く応援される関係をつくります。

商品の魅力はあるのに、顧客の言葉になっていない方へ

語られる理由を整理したい、顧客の言葉を商品企画に活かしたい、 一言で伝わる価値を見つけたい、価格以外の選ばれる理由をつくりたい。 そのような段階から、状況を一緒に整理します。

ご相談は、現状の整理と最初の一手を一緒に考えることを目的としています。

10.FAQ:よくある質問

Q.自社商品の「話したくなる理由」が分かりません。何から始めればよいですか?

A.まずは、顧客が商品を使った具体的な場面を聞くことから始めます。 使用前後で何が変わったか、誰に薦めたいか、どのような言葉で説明するかを聞くと、語られる価値の種が見えてきます。

Q.顧客の声を聞くと、要望ばかりになりませんか?

A.要望をそのまま商品仕様にする必要はありません。 「なぜそう思うのか」「どのような場面で困るのか」を掘り下げ、発言の奥にある生活場面や感情を読み解くことが重要です。

Q.BtoBの商品やサービスでも「語られる設計」は可能ですか?

A.可能です。BtoBでは、導入後にどのような業務改善や安心、社内評価が生まれたかが語られる価値になります。 担当者が社内や同業者へ説明しやすい一言と事例を整えることが有効です。

Q.既存商品でも、話したくなる価値を見つけ直せますか?

A.見つけ直せます。既存顧客との対話や使用場面の観察から、企業が認識していなかった使われ方や選択理由が見つかることがあります。

Q.一度の共創セッションでも成果は得られますか?

A.テーマを絞れば、一度のセッションでも有効な気づきを得られます。 ただし、事前の問いづくりと、終了後に商品や表現へ反映する工程まで設計することが重要です。

まずは 価値共創マーケティングのフレームワーク を確認してから読み進めると理解が深まります。

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