企業担当者と生活者がキッチン用品の使い方について対話している様子

Field Stories|CASE 006

「なんでも使える」が、
選べない理由になっていました。

企業が商品の強みだと考えていたのは、 さまざまな用途に使えることでした。 しかし、生活者から返ってきたのは、 「何に使えばよいのか分からない」という反応。 対話を重ね、使う場面をひとつに絞ったことで、 商品の価値が初めて、暮らしの中で見える形になりました。

テーマ:用途の絞り込みと価値の伝え方 形式:生活者との継続的な共創セッション 企業名・商品名は非公開

Prologue

用途が広いことは、商品の強みだと考えていました。

その商品は、すでに販売されているキッチン用品でした。

企業が強みとして考えていたのは、 一つの使い方に限らず、 さまざまな場面で使えることです。

料理にも使える。 調理の下ごしらえにも使える。 別の作業にも応用できる。

用途が広ければ、それだけ多くの人に使ってもらえる。 企業側には、そんな考えがありました。

「なんでも使える」ことが、商品の一番の強みだと思っていました。

ところが、生活者との対話から見えてきたのは、 企業の想定とは反対の反応でした。

Scene 01

生活者から返ってきたのは、「何に使えばよいのか分からない」でした。

セッションでは、普段から家庭で料理をしている方々に、 商品を実際に見てもらいました。

企業担当者からは、 商品が持つさまざまな機能や、 幅広い使い方について説明しました。

しかし、生活者の反応は、 企業が期待していたものとは少し違いました。

いろいろ使えるのは分かるけれど、私は何に使えばいいのでしょう。

便利そうですが、使う場面がすぐに思い浮かびません。

結局、いつもの道具を使ってしまいそうです。

企業が「用途の広さ」として伝えていたものが、 生活者には「使い方の分かりにくさ」として受け取られていました。

Scene 02

使える場面を増やすほど、選ぶ理由がぼやけていました。

商品に多くの用途があること自体は、 決して悪いことではありません。

ただし、売り場や商品説明の中で、 あれにも使える、これにも使えると伝えるほど、 生活者が最初に使う場面は見えにくくなっていました。

商品を目の前にした生活者が知りたいのは、 機能の数だけではありません。

この商品が、自分の暮らしのどの場面で役に立つのか。

使う場面を具体的に想像できなければ、 便利そうだと思っても、 買う理由にはなりません。

生活者がキッチン用品の用途について意見を交わしている様子

Scene 03

一度のセッションでは、答えは決まりませんでした。

そこで、生活者とのセッションを何度か重ねました。

どのような料理をつくるときに使えそうか。 今使っている道具と何が違うのか。 どの場面なら、わざわざこの商品を手に取るのか。

用途を企業側から説明するだけでなく、 生活者自身の暮らしや調理の流れを聞きながら、 使う場面を一つずつ探していきました。

すぐに結論を出すのではなく、 出てきた意見をもとに仮説をつくり、 次の対話で確かめます。

この場面なら、今使っている道具より便利かもしれません。

この使い方なら、置いておく理由が分かります。

それなら、私も使ってみたいです。

対話を重ねるうちに、 生活者が価値を感じる特定の用途が、 少しずつ見えてきました。

Scene 04

たどり着いたのは、あまりにも狭く見える用途でした。

最終的に見つかったのは、 数ある使い方の中の、ある特定の用途でした。

その使い方は、企業側から見ると、 商品の可能性の一部にすぎませんでした。

もっと多くのことに使える商品なのに、 一つの用途だけを強く伝えてよいのか。

対象となる人や場面を狭めることで、 売上まで小さくなってしまうのではないか。

用途をそこまで絞ったら、売れる範囲まで狭くなりませんか。

商品の良さを、十分に伝えられなくなる気がします。

企業担当者が心配するのは、当然のことでした。

しかし、生活者の反応を振り返ると、 商品の用途を広く伝えていたときよりも、 特定の使い方を示したときの方が、 商品を使う場面を明確に想像できていました。

Scene 05

用途を狭めたのではなく、選ぶ理由を明確にしました。

企業が最初に伝えていたのは、 商品が持っている可能性でした。

しかし生活者が必要としていたのは、 可能性の一覧ではなく、 自分が商品を使う具体的な場面でした。

Before

なんでも使えることを伝える

用途の多さや機能の幅広さを示すことで、 多くの人に魅力が伝わると考えていました。

After

最初に使う場面を明確にする

生活者が価値を感じた特定用途を中心に、 商品を選ぶ理由が伝わる見せ方へ変わりました。

商品そのものから、 ほかの用途がなくなったわけではありません。

まず一つの使い方を明確に伝え、 生活者に「これは自分のための商品かもしれない」と 思ってもらえる入口をつくったのです。

使い始める理由ができれば、 その後に別の使い方を発見してもらうこともできます。

企業担当者と生活者がキッチン用品の具体的な使用場面について検討している様子

What We Found

選ばれるために必要だったのは、用途の多さではなく、使う場面の明確さでした。

用途の広さは、迷いにもなる

さまざまな使い方を伝えるほど、 生活者には最初に何へ使う商品なのかが 分かりにくくなることがありました。

選ぶ理由には、具体的な場面が必要

自分の暮らしの中で使う場面を想像できたとき、 商品は初めて「便利そうなもの」から 「自分に必要なもの」へ変わりました。

絞ることは、可能性を捨てることではない

最初に伝える価値を明確にすることで、 商品を手に取る入口が生まれ、 その後の多様な使い方にもつながりました。

After the Project

企業側には、用途を絞ることで売上が落ちるのではないかという心配がありました。 しかし、生活者が価値を感じた特定用途を明確に伝えるようにした結果、 売上は従来の数倍へと伸びました。

企業は、商品の可能性を広く伝えようとしていました。
生活者が必要としていたのは、最初に使う一つの理由でした。

Free Consultation

商品の強みが、生活者の迷いになっていませんか。

機能や用途を増やすほど、 商品の価値が伝わりにくくなることがあります。 こらぼたうんでは、生活者との対話を重ねながら、 どの価値を、どの場面で、どのように伝えるべきかを一緒に探します。