「お客様の気持ちを考えて商品をつくっているのに、なぜか伝わらない」「顧客の声は集めているのに、改善に結びつかない」。そんな悩みはありませんか。
原因の一つは、顧客の声を聞いていても、 その人がなぜそう感じ、どう行動したのかという背景まで理解できていないこと かもしれません。
共感力とは、相手に賛成することではなく、相手の立場や生活の文脈を理解しようとする力です。本記事では、共感力を顧客理解や商品・サービスの改善にどう活かすか、共創マーケティングの視点から解説します。
- マーケティングにおける「共感力」の意味と、同意・迎合との違い
- 顧客の言葉の奥にある理由を見つける聞き方
- 対話で得た気づきを商品・売り場・伝え方につなぐ方法
- 担当者や組織に顧客視点を根づかせる進め方
マーケティングにおける共感力とは? 顧客に合わせることではない
共感力という言葉から、「相手の気持ちに寄り添うこと」「相手の意見を肯定すること」を想像するかもしれません。しかし、商品開発やマーケティングの現場では、それだけでは十分ではありません。
大切なのは、 相手の選択や感情が生まれた状況を理解すること です。たとえば「この商品は高い」という声があったとき、本当に価格そのものが問題なのか。それとも、使う場面が想像できないのか、ほかの商品との違いが伝わっていないのか。背景によって打ち手は変わります。
| 考え方 | 顧客の「高い」に対する対応例 |
|---|---|
| 同意・迎合 | 「高いと言われたので値下げしよう」 |
| 共感を伴う顧客理解 | 「どんな場面で高いと感じたのか。比較対象や期待していた価値を確かめよう」 |
共感は、顧客の言葉をそのまま採用することではありません。顧客にも企業にも、それぞれの事情や判断があります。その違いを理解し、よりよい選択肢を探すことが出発点です。
顧客の声を聞いているのに、なぜ理解がずれるのでしょうか
1.回答だけを集めて、行動の背景を聞いていない
アンケートで「使いやすい」「使いにくい」という評価を得られても、どの場面でそう感じたかまでは分からない場合があります。回答に加えて、使う前後の行動や状況を聞くことが重要です。
2.企業の常識で、顧客の言葉を解釈している
開発担当者にとって当たり前の機能でも、生活者には価値が分からないことがあります。逆に、企業が重視していなかった細かな工夫が、購入理由になっている場合もあります。
3.「分かったつもり」で対話を終えている
顧客の意見にうなずくだけでは、理解が深まったとは限りません。印象に残った発言ほど「それはどうしてですか」「実際にはどうしましたか」と確かめる必要があります。
共感力を育てる4つの実践方法
共感力は、特別な感性を持つ人だけのものではありません。日々の顧客対応や商品企画の中で、次の4つを意識することで理解を深められます。
①「なぜ」より先に場面を聞く
「最近それを使ったのはいつですか」「どこで、誰と使いましたか」。具体的な場面から話を聞くと、思い出しやすくなります。
② 言葉と行動を見比べる
「便利」と話していても実際は使われていないことがあります。可能なら試用や買い物同行などを通じて行動も確かめます。
③ 解釈を相手に確認する
「つまり、ここで迷ったということでしょうか」と自分たちの理解を確かめます。決めつけを避けるための大切な習慣です。
④ 気づきを社内で共有する
発言だけでなく、場面・感情・行動・企業側の気づきをセットで残します。別部門にも判断の理由が伝わりやすくなります。
対話で使いやすい質問例
- その商品を使おうと思ったのは、どんなときでしたか?
- 選ぶとき、何と迷いましたか?
- 実際に使って、予想と違ったことはありましたか?
- 使わなくなったとしたら、どんな理由がありましたか?
- もう一度選ぶとしたら、何が決め手になりますか?
質問を順番に読み上げるよりも、相手の話に合わせて掘り下げることが大切です。沈黙や雑談の中に、思いがけないヒントが見つかることもあります。
共感しただけで終わらせない。顧客理解を「選ばれる理由」に変える
対話で「なるほど」と感じたことがあっても、そのままでは商品やサービスは変わりません。得られた気づきを、次の意思決定に結びつける必要があります。
- 事実を整理する: 顧客が話したこと、実際にしたこと、使った場面を記録する。
- 解釈を分ける: 企業側が「こういう理由ではないか」と考えた仮説を、事実と混同しない。
- 改善案に変える: 機能、使い方、ネーミング、売り場、Webや営業資料のどこを変えるか決める。
- もう一度確かめる: 修正した案を生活者に見てもらい、伝わるか、使いやすくなったかを確認する。
たとえば、商品の便利さを伝えていたのに選ばれない場合、機能説明を増やすより、 「どんな生活場面で、何が楽になるのか」 を見せるほうが伝わる可能性があります。ただし、それも仮説です。実際の生活者と確かめながら磨きます。
共創で変わるのは商品だけではありません。担当者の見方も変わります
こらぼたうんが大切にしているのは、生活者との対話の中で、企業の担当者自身の見方や判断が変わっていくことです。
最初は「この機能の良さを理解してほしい」と考えていた担当者が、生活者の使い方や迷いを知り、「そもそも、この機能をどう伝えるべきだろう」と考え始める。こうした変化が、次の商品企画や日々の仕事にも活きてきます。
だからこそ、顧客理解を外部の調査結果だけで完結させず、 企画、開発、営業などの担当者が生活者と同じ場に参加すること には意味があります。部署を越えて同じ声を聞くことで、改善の方向も話し合いやすくなります。
一つの商品を良くするだけでなく、次も、その次も、顧客に向き合って商品を育てられる企業へ。それが共創を継続する価値の一つだと考えています。
まずは小さく始めても構いません
最初から大規模なプロジェクトにする必要はありません。一つの商品、一つの顧客の迷いから始めて、対話・試作・確認を重ねる。その体験自体が、社内に顧客視点を育てるきっかけになります。
共感力と共創マーケティングについて、よくある質問
共感力と、顧客の要望を何でも聞くことは違いますか?
違います。共感は、要望が生まれた背景を理解することです。実現すべきかどうかは企業の強みや実現可能性も踏まえて判断します。
アンケートでも顧客への共感は深められますか?
アンケートは傾向を把握するのに役立ちます。ただし、回答の背景や迷いを詳しく知りたい場合は、対話や観察を組み合わせると理解が深まります。
中小企業でも共創は取り入れられますか?
はい。まずは少人数の対話や試作品への意見交換など、小さく始められます。担当者や経営者が直接参加できることは、中小企業の強みになり得ます。
共感が深まったかどうかは、どう確かめますか?
「顧客の発言を覚えているか」だけでなく、理解した内容が具体的な改善案になったか、その案を再検証できたか、商品や伝え方の判断が変わったかを確認します。
まとめ|相手を理解する力が、商品と企業を変えていく
共感力とは、顧客と同じ気持ちになることでも、意見にすべて賛成することでもありません。暮らしの背景を聞き、行動を見て、自分たちの理解を確かめ続けることです。
その気づきが商品やサービスの改善に活かされ、担当者自身の考え方にも変化が生まれたとき、共感は企業の力になります。
「お客様を理解したつもり」で終わらず、選ばれる理由を一緒に確かめ、育てていく。 こらぼたうんは、そのような共創を大切にしています。
顧客の声を、商品や伝え方の改善につなげたい方へ
「声は集めているけれど、何を変えるべきか分からない」「担当者にもっと顧客視点を持ってほしい」。そんな段階でも構いません。現状を伺いながら、どこから確かめればよいかを一緒に整理します。
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