AIが仮説を出し、人が確かめる。商品開発の新しい可能性

AIが仮説を出し、人が確かめる。商品開発の新しい可能性|こらぼたうん

AIが仮説を生み出し、人が実際に確かめる。その発見をまたAIに返す。そんな繰り返しから、これまでになかった商品が生まれるかもしれない。

最近、そんな商品開発の可能性を考えています。

AIの進化によって、商品アイデアやコンセプトの候補を短時間で数多く考えられるようになりました。

一方で、どれほどAIが進化しても、目の前のお菓子を食べて「もう少し酸味がほしい」と感じたり、家庭用品を手に取って「使いやすいけれど、少し重い」と感じたりするのは、実際に体験した人間です。

この二つを組み合わせたら、商品開発はもっと面白くなるのではないでしょうか。

AIはアイデアを出せる。でも、味見はできない。

例えば、新しいお菓子を開発するとします。

AIに味の組み合わせを尋ねれば、果物とスパイス、甘味と塩味、香りと食感など、さまざまな切り口から仮説を出せます。開発する企業が普段は考えない組み合わせも候補になるでしょう。

しかし、AIが「おいしそう」と提案した味が、本当においしいとは限りません。

実際に試作し、口に入れてみる。最初の香り、噛んだときの食感、後味、もう一つ食べたくなるかどうか。そこには、体験して初めて分かることがたくさんあります。

例えば、試食した生活者からこんな感想が出たら。

「おいしいけれど、最後に少し甘さが残るんですよね」

その感想をAIに返してみる。甘さを減らすだけでなく、酸味や香り、食感、食べる場面を変えるなど、次に試す仮説がいくつも考えられます。

そして、その中から実現できそうなものを選び、また試作して味わう。発見を次の仮説に変えていくわけです。

味覚だけではありません。使い勝手も、肌触りも。

この考え方は、食品だけに限りません。

例えばキッチン用品なら、持ったときの重さ、手にかかる力、洗いやすさ。衣料品なら、肌に触れたときの感覚、動きやすさ、長時間使ったときの違和感。生活雑貨なら、開けやすさ、置きやすさ、片づけやすさ。

生活者が実際に使ってみると、開発した企業が想定していなかった反応が出てくることがあります。

例えば、キッチンスポンジを使った人の一言。

「汚れは落ちるけれど、使っていると手が疲れるんです」

この一言から、握り方、形状、素材の反発力、洗剤との組み合わせ、洗い方そのものなど、いくつもの改善仮説が考えられます。

もちろん、AIが出した候補をそのまま採用するわけではありません。企業の技術、コスト、安全性などを考えながら、実際に試せるものを選んでいきます。

大切なのは、生活者の何気ない一言を、次の可能性へと広げていけることだと思います。

仮説を出して終わりにしない。何度も行き来する。

私が面白いと感じるのは、AIに一度アイデアを出してもらうことではありません。

AIが仮説を出す。企業が試作する。生活者が体験し、企業と一緒に感想や違和感を話し合う。その発見をAIに返して、また次の仮説を考える。

AIと人間が行き来する商品開発

AIが仮説を広げる 味・素材・形・使い方などの候補を考える
企業が選び、試作する 技術・コスト・実現性を踏まえて形にする
生活者と企業が実際に確かめる 味わう・触れる・使う・対話する
発見をAIに返し、次の仮説へ 気づきや違和感を新しい候補につなげる
新しい仮説から、もう一度試す

発見を次の試作につなぎ、必要な回数だけ繰り返します。

こうして行き来することで、最初には思いつかなかった方向に商品が育っていくかもしれません。

また、企業の担当者自身が生活者の反応を目の前で確かめることで、商品の見方や開発の判断が変わることもあるでしょう。

回数を増やせば、必ず良い商品になるわけではない。

ここは大切なところです。

AIなら、仮説をいくらでも増やせます。しかし、アイデアの数が多ければ良い商品が生まれるとは限りません。

同じ人たちだけで何度も試していると、その人たちの好みに偏る可能性もあります。試食で好評でも、店頭で価格を見たら買わないということもあるでしょう。

だからこそ、途中で新しい生活者に試してもらったり、購入する場面や価格、売り場での伝わり方を確かめたりする必要があります。

AIで発想を広げることと、実際に選ばれる可能性を確かめること。この両方が必要なのだと思います。

AIが進化するほど、人と人が向き合う場が面白くなる。

こらぼたうんでは、企業と生活者が直接話し、一緒に考え、試し、改善していくことを大切にしてきました。

以前は、こうした取り組みがネット上の調査サービスと比較されることもありました。しかし、私たちが大切にしているのは、意見を集めて集計することだけではありません。

実際に使ってみた人の言葉や表情、思いがけない反応から、企業と生活者が一緒に新しい見方を見つけること。そして、その発見を商品やサービスの改善につなげることです。

AIは、その過程を置き換えるものではなく、発想を広げる頼もしい道具になれるのではないでしょうか。

企業・生活者・AIがつくる共創の場

企業・生活者・AIの三者による共創 上に企業、左下に生活者、右下にAIを配置した三角形。中央に共創の場があり、企業は技術と事業性、生活者は体験と感覚、AIは仮説と発想を持ち寄る。 企業 生活者 AI 共創の場 技術・事業性 体験・感覚 仮説・発想
AIは意思決定者ではなく、企業と生活者の発想と検証を支える存在です。

大掛かりなシステムを導入しなくても、身近な商品と小さな試作から、こうした考え方を試すことはできそうです。

AIが仮説を生み出し、人が実際に確かめる。その発見をまたAIに返す。そんな繰り返しから、これまでになかった商品が生まれるかもしれない。

これは、これから試してみたい商品開発の可能性についての私たちの考えです。既に成果が実証された手法としてご紹介しているわけではありません。

それでも、AIによってアナログな体験や人と人との対話の価値が小さくなるどころか、むしろ新しい可能性が広がる。そう考えると、何だかワクワクしてきます。

商品開発の悩みを、一緒に整理してみませんか。

新商品のアイデア、試作品への反応、生活者の本音など、まだ課題が整理できていない段階でも構いません。今の状況から、何を確かめるとよいか一緒に考えます。

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