共創ワークショップのアイスブレイクは、盛り上げるためだけの時間ではありません。企業担当者や生活者など、立場の異なる人が安心して話し始め、その後の対話につながる場をつくるための準備です。
この記事では、目的別に使える20の方法を、所要時間・人数・準備物・進め方とともに紹介します。特に使いやすい5つには、進行役の声かけ例も付けました。
※所要時間は少人数で実施する場合の目安です。人数や運営方法に応じて調整してください。
目的別の選び方・早見表
初対面の場であれば、まず答えやすさを優先します。アイデア出しの直前なら発想を広げるもの、立場の違いが大きい場なら不安やルールを確かめるものが向いています。
| 目的 | おすすめ番号 | 目安 |
|---|---|---|
| 緊張ほぐし | 1〜5 | 3〜7分 |
| 相互理解 | 6〜9 | 7〜12分 |
| 創造性スイッチ | 10〜13 | 8〜12分 |
| オンライン向け | 14〜16 | 5〜10分 |
| 大人数・時短 | 17〜18 | 3〜6分 |
| 合意形成前 | 19〜20 | 6〜10分 |
選定の基準:楽しいかどうかだけでなく、「全員が参加方法を選べるか」「その後の本編につながるか」で選びます。20種類を全部実施する必要はなく、目的に合わせて1〜2種類で十分です。
緊張ほぐし(1〜5)
1. 30秒自分クイズ
- 進め方:各自が「実は○○」をひとつ考え、希望者から紹介。オンラインではチャットで一斉投稿。
- 配慮:答えの正しさより、話し始めるきっかけをつくる。
「はじめに、話しやすくなる小さな時間をつくります。差し支えない範囲で『実は○○』をひとつ考えてみてください。思い浮かばなければパスで大丈夫です。」
「発表したい方から、30秒程度でどうぞ。正解を当てる時間ではありません。」
2. 共通点さがし
- 進め方:3分間で、グループ全員に共通することを3つ探して共有。
- 配慮:仕事以外の軽い話題から始める。
「3〜4人のチームで、皆さんに共通することを3つ探してください。仕事以外の話題でも構いません。3分後にひとつだけ紹介してもらいます。」
「見つからなかったら、共通していないところの発見でも大丈夫です。」
3. 手元スケッチ自己紹介
- 進め方:今の気分を簡単な絵や記号で描き、ひとり1分程度で説明。
- 配慮:絵の上手さは評価しない。言葉だけでもよい。
4. 好きな○○ベスト
- 進め方:最近好きな食べ物や休憩方法など、答えやすいテーマで一言ずつ共有。
- 配慮:参加人数が多いときはペア形式にする。
5. ポジティブ・リレー
- 進め方:前の人の話から印象に残ったことを一言受け止め、自分の前向きな話題を加える。
- 配慮:無理に褒めさせず、事実を受け止めるだけでもよい。
相互理解(6〜9)
6. 写真見せトーク
- 進め方:お気に入りの写真を任意で紹介し、背景を1分程度話して交代する。
- 配慮:写真の提示を必須にしない。
7. 2つの真実と1つの嘘
- 進め方:各自が軽い話題を3つ挙げ、どれが作り話か皆で予想する。
- 配慮:私生活や個人情報を問わず、参加を選べるようにする。
8. 価値観カード「もし○○なら」
- 進め方:「もし予算が半分なら?」などを問い、判断で大切にする基準を話す。
- 配慮:正解探しや多数決にしない。
9. ライフライン1分
- 進め方:自分の経験を線で表し、共有してよい転機をひとつ選んで話す。
- 配慮:個人的経験を強制せず、仕事上の経験だけでもよい。
創造性スイッチ(10〜13)
10. 無茶なお題連想
- 進め方:「冷蔵庫×幸福」など異なる言葉を組み合わせ、思いついた言葉を3つ共有。
- 配慮:評価や否定を後回しにする。
11. 逆転発想
- 進め方:「最悪の買い物体験をつくるなら?」を出し、逆にすると何が必要かを考える。
- 配慮:人物や個人の批判には向けない。
「今日は反対から考えます。『お客様にとって最悪の買い物体験をつくるには?』を自由に挙げてください。まずは否定せずに出しましょう。」
「では、それを反対にすると、どんな配慮や工夫が必要でしょうか。ひとつ選んで共有してください。」
12. 文脈絵しりとり
- 進め方:前の人の絵から連想した場面や意味を、次の絵につなぐ。
- 配慮:描画が苦手なら単語・記号を使ってもよい。
13. オズボーン1枚法
- 進め方:置換・結合・拡大・縮小・用途転用の5つの観点でアイデアを出す。
- 配慮:アイデアの評価は本編で行う。
オンライン向け(14〜16)
14. リアクション自己紹介
- 進め方:気分をリアクションや一言で示し、希望者のコメントを拾う。
- 配慮:カメラ・音声を強制しない。
15. チャット早書き
- 進め方:問いへの回答を一斉にチャット投稿し、進行役が共通点や違いを拾う。
- 配慮:投稿を読まれたくない場合のパスを認める。
16. Miro付箋花火
- 進め方:2分で各自3枚の付箋を書き、一斉に貼って類似点を見つける。
- 配慮:ツールに不慣れな人にはチャットなどの代替手段を用意。
大人数・時短(17〜18)
17. 手挙げグラデーション
- 進め方:朝型・夜型など答えやすいお題に、挙手やリアクションで意思表示。
- 配慮:個人的属性を推測させる質問は避ける。
18. スピード・ペアトーク
- 進め方:一人1分で話し、合図で相手を替えて2〜3回繰り返す。
- 配慮:移動が難しい人には座席固定やオンラインの代替を用意。
合意形成前(19〜20)
19. 期待と不安マッピング
- 進め方:今回の場への期待と気になることを別々の付箋に書き、全体で共有。
- 配慮:不安への回答をその場で強制しない。匿名投稿も可。
「今日の時間に期待していることと、少し気になることを一つずつ書いてください。名前を書かなくても構いません。」
「皆さんの声を見ながら、進め方で配慮したいことを確認します。無理に説明していただく必要はありません。」
20. ルール合意ミニワーク
- 進め方:話を遮らない、発言を強制しない等の案を提示し、必要なルールを参加者と確認する。
- 配慮:形式的な賛同より、異議や追加意見を言える余白をつくる。
「安心して話せるよう、今日は『途中で遮らない』『発言のパスができる』『立場より内容を見る』を基本案にしたいと思います。」
「追加したいことや、気になる表現はありますか。納得できる形に整えてから始めましょう。」
困ったときの対応と参加者への配慮
沈黙が続くとき
急いで指名せず、まず1〜2分間、各自で書く時間をつくります。次にペアで共有し、全体発言は希望者から募ります。
一部の人だけが話してしまうとき
発言時間を短く区切り、進行役が「ほかの見方も聞いてみましょう」と促します。役職者には最後に話してもらう方法もあります。
時間が押しているとき
アイスブレイクを無理に続けず、お題を一つだけにするなど短縮します。本編の目的を優先してください。
- 参加や発言を強制せず、パスや筆記・チャットでの参加も選べるようにする
- 家族構成・健康状態・個人的経験など、本人が話したくない話題を求めない
- 人物の評価、能力の比較、正解探しにしない
- 写真や録音を扱うときは、事前に目的を伝えて同意を得る
- オンラインと対面が混在する場合は、声を拾う順番や参加手段を工夫する
詳しくは共創ワークショップの心理的安全性を高める場づくりでも解説しています。
よくある質問
Q. どれくらいの時間をかければよいですか?
4時間程度のワークショップなら10〜15分が一つの目安です。ただし、参加者の関係性と本編の目的に合わせて調整してください。
Q. 何種類選べばよいですか?
通常は1〜2種類で十分です。アイスブレイク自体が目的にならないようにします。
Q. 初対面が多いときは?
「共通点さがし」「好きな○○ベスト」「リアクション自己紹介」など、答えやすく参加方法を選べるものから始めると進めやすくなります。
Q. 盛り上がらなかったら失敗ですか?
いいえ。大切なのは、本編で安心して話せることです。無理に笑いや発言量を増やす必要はありません。
共創ワークショップの設計や進行で迷っていませんか?
アイスブレイクは、参加者の関係性や目的、その後の対話と合わせて考えると効果的です。企業担当者と生活者が安心して話せる場づくりから、ワークショップ全体の設計までご相談いただけます。
🗒️ コラム・運営視点 一覧へ