JBPはメーカーと小売だけのものか? 卸が中核になるほうが実務で動きやすい理由

JBP × 卸 × 流通実務

メーカーと小売でJBPを立ち上げ、 売上目標や販促計画を決めた。 ところが実行段階になると、 対象店舗、棚替え、在庫、物流、複数メーカーの調整で止まってしまう。

計画はできても、 誰が売場まで動かすのかが決まっていない のです。

JBPは一般にメーカーと小売の共同計画として説明されます。 しかし日本の流通実務では、 二者だけで進めるよりも、 卸が中核に入った方が動きやすい場面 があります。

この記事の結論

卸の価値は、メーカーと小売の間にいることではありません。 両社の目標を、複数メーカー・売場・店舗運営・在庫・物流まで含めて、 実行可能な計画へ翻訳できること にあります。

JBPは、メーカーと小売だけで完結するのか

JBPは、 メーカーと小売が共通目標を持ち、 売上、利益、カテゴリー成長、売場価値を一緒につくる共同計画です。

そのため、 基本の主体がメーカーと小売であることに違いはありません。

ただし、 共同目標を決めることと、 店舗で実行することは別の仕事 です。

メーカーが見ているもの

自社ブランド、商品、配荷、販促投資、 売上や利益の回収。

小売が見ているもの

カテゴリー全体、棚効率、来店客、 店舗作業、チェーン全体の利益。

実行段階で必要になるもの

在庫、物流、対象店舗、棚替え、 欠品対応、販促物、店舗への伝達。

二者だけでは見落としやすいもの

複数メーカー間の調整、 店舗ごとの差、実施負荷、 計画を続けるための運用。

メーカーと小売の協議で方向性が決まっても、 この実行条件が整理されていなければ、 JBPは計画書の中で止まります。

JBPが実務で止まりやすい5つの場面

1.目標が「売上を上げる」だけになっている

何を改善するのかが曖昧なため、 各社が自社に都合のよい施策を持ち込み、 共同計画になりません。

2.メーカーの提案書をJBPと呼んでいる

小売の課題や売場全体の視点が弱く、 実質的には自社商品の採用提案にとどまります。

3.複数メーカーを誰が束ねるか決まっていない

カテゴリー全体を改善しようとしても、 各メーカーが自社SKUを優先すれば、 売場全体の設計が進みません。

4.店舗・在庫・物流の条件が後回しになっている

良い企画でも、 店舗作業が重い、供給が追いつかない、 欠品しやすいといった理由で実行できなくなります。

5.実行後の見直し役がいない

年初に計画を作って終わりになり、 売場の反応を見て修正する人や会議が設定されていません。

JBPが止まる原因は、 必ずしも両社の関係が悪いからではありません。 全体をつなぎ、実行条件へ翻訳する役割が空いている ことがあります。

卸が中核になると、なぜ動きやすいのか

卸は、 メーカーの商品を小売へ運ぶだけの存在ではありません。

複数メーカー、 複数カテゴリー、 小売本部、 店舗、 在庫、 物流を横断して見られる位置にいます。

卸が中核に入るJBP メーカー 商品・ブランド 小売 売場・店舗・顧客接点 横断・翻訳・調整 在庫・物流・店舗実装 共同目標を、実行可能な売場計画へ落とし込む 複数メーカー・店舗・在庫・物流までつなぐ

卸の役割は「間に入ること」ではなく、計画を実行条件へ翻訳することです。

1.カテゴリー全体で考えやすい

複数メーカーを横断して見られるため、 一社の商品採用ではなく、 棚全体やカテゴリー全体の課題として整理できます。

2.小売の負担をまとめやすい

複数メーカーが個別に提案するより、 卸が共通テーマに沿って提案を束ねた方が、 小売側も検討しやすくなります。

3.店舗で実行できる形へ直しやすい

棚替えの手間、 対象店舗、 在庫、 欠品、 納品条件などを踏まえて、 計画を現実的な形へ調整できます。

4.メーカーと小売の言葉を翻訳できる

メーカーのブランド戦略を小売の売場課題へ置き換え、 小売の要望をメーカーが実行できる条件へ戻します。

5.実施後の検証を続けやすい

店舗別の結果や供給状況を把握しながら、 メーカーと小売の間で改善を回す役割を担えます。

ただし、卸が入るだけではJBPにならない

卸が中核になる形は、 自動的に成功する仕組みではありません。

中継型の卸
メーカーの要望を小売へ伝え、 小売の依頼をメーカーへ戻すだけ。

中核型の卸
共通課題を定め、 複数提案を束ね、 実行条件を整え、 結果を検証して次の改善へつなぐ。

大切なのは、 卸が商流上の中心にいることではありません。

課題設定、企画、調整、実装、検証まで担えるか です。

卸を中核にしたJBPを始める前に決めたい5つのこと

1

共通課題を一つに絞る

「売上を上げる」ではなく、 カテゴリー停滞、若年層未獲得、 定番棚の選びにくさなどへ具体化します。

2

対象範囲を小さくする

全店舗・全商品から始めず、 地域、店舗、カテゴリー、顧客層を絞ります。

3

各社が出せるものを明確にする

メーカーは商品や知見、 小売は売場やデータ、 卸は横断調整や実装条件を持ち寄ります。

4

成果指標を複数で見る

売上だけでなく、 粗利、買上点数、カテゴリー購入率、 欠品、店舗作業負荷なども確認します。

5

誰が判断し、いつ見直すかを決める

実施後のレビュー日と、 修正を決める責任者を事前に設定します。

生活者視点は、計画の妥当性を確かめるために入れる

メーカー、小売、卸が計画を整えても、 供給側の論理だけで完結すると、 売場施策が生活者の実際の迷いとずれることがあります。

そこで生活者には、 計画づくりを任せるのではなく、 売場や提案が本当に選びやすいかを確かめてもらう 役割があります。

売場を一緒に歩く

どこで立ち止まり、 何と比較し、 どこで棚へ戻すのかを確認します。

棚割り案を見せる

分類や並び方が理解できるか、 欲しい商品へたどり着けるかを確かめます。

販促表現を確かめる

企業が伝えたい言葉ではなく、 生活者が判断に使える言葉になっているかを見ます。

購入後まで聞く

実際に使った後の評価や不満を、 次の売場・商品改善へ戻します。

現場ストーリー|企業担当者も生活者と一緒に売場を歩きました

売場で何を見て、 どこで迷い、 なぜ手に取らないのか。 会議室の説明ではなく、 実際の買い物に企業担当者が同席することで、 売場や提案の見え方が変わります。

現場ストーリー CASE028を見る

この記事で最も伝えたいこと

JBPの中心は、 メーカー・小売・卸のどこか一社ではありません。

共通課題を設定し、 各社の強みをつなぎ、 店舗で実行し、 結果を見て修正できる仕組み が中心です。

卸は、その仕組みを動かすハブになりやすい立場にあります。

まとめ|卸の役割は、商流の中継から実行のハブへ

JBPは、 メーカーと小売が共通目標を持つ共同計画です。

ただし、 目標を決めただけでは売場は動きません。

複数メーカーの提案を束ね、 小売の課題へ翻訳し、 店舗、在庫、物流まで含めて実行できる形に直す役割が必要です。

日本の流通実務では、 その役割を卸が担うことで、 JBPが動きやすくなる場面があります。

ただし重要なのは、 卸が間に入ることではなく、 共通課題の設定から検証までをつなげられること です。

メーカー、小売、卸がそれぞれの都合を持ち寄るだけでなく、 生活者が実際に選びやすい売場や提案へつなげる。

そこまで設計できたとき、 JBPは計画書ではなく、 現場で動く共同事業になります。

JBPを始めたいが、誰が全体を動かすのか決まっていない。

メーカー、小売、卸の役割が曖昧なまま、 計画だけが先に進んでいませんか。

こらぼたうんでは、 共通課題の整理、 参加部門と役割の設計、 生活者への確認方法、 実施後の検証 まで、実務で動く形に整理します。

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