「支援メニューが刺さらない…」を解決する:中小企業支援機関のための“共創”型メニュー設計術
商工会・商工会議所、金融機関、自治体、支援センターなどの現場で起きがちな「参加が集まらない」「相談が増えない」「成果が見えにくい」を、“共創”の考え方で、実務に落ちる形で整理します。
なぜ「良いメニュー」ほど刺さらないのか
支援メニューが刺さらない原因は、内容の良し悪しよりも“入口のズレ”で起きることが多いです。 事業者側の悩みは、表に出ている言葉(例:販路拡大、資金繰り、人材不足)より、もう少し奥にあることがよくあります。
🧩 支援側が出しがちな入口
- 補助金の説明会
- 販路・マーケのセミナー
- 事業計画の作り方
「正しい」「役に立つ」は満たしている。
🎯 事業者の“本当の入口”になりやすいもの
- 何を優先すべきかが分からない
- やりたいが社内が動かない
- 顧客の反応が読めず怖い
“不安”や“迷い”が入口になる。
✅ ポイント
メニューの中身が素晴らしくても、入口が「事業者の言葉」になっていないと参加率・相談率が伸びません。
そこで役立つのが、支援機関が“答えを渡す”より前に、事業者の本音を一緒に掘り起こす「共創」の設計です。
※「刺さらない=価値がない」ではなく、入口の設計を少し変えるだけで届き方が変わる、という話です。
共創型メニューの核:「本音が出る設計」
共創型メニューで最も大事なのは、「参加者が安心して話せる」→「自分ごと化できる」順番を守ることです。 いきなり講義・ノウハウ提供に入ると、事業者は“良い話”として聞いて終わりになりがちです。
🧠 本音が出る順番(最短ルート)
- 安心:否定されない/評価されない空気(心理的安全性)
- 可視化:悩み・現状・迷いが言語化される
- 小さな一歩:今日から試せる行動に落ちる
この順番を守るほど、支援が「知識」から「行動」に変わります。
💡 「共創」は大げさな取り組みでなくてOKです
共創=大規模ワークショップ、というイメージがあるかもしれませんが、実務では“会話の設計”から始められます。
たとえば、個別相談の冒頭5分を「課題ヒアリング」ではなく、「状況を一緒に整理する時間」に変えるだけでも、相談の質は変わります。
すぐ使える:共創型メニューの3ステップ
支援メニューを「共創型」に寄せるための最短ルートは、次の3ステップです。
1入口を“事業者の言葉”に置き換える
- 「販路拡大」→「このまま続けて売れるのか不安」
- 「人材確保」→「人が入っても定着しない」
- 「DX」→「何から手を付けたらいいか分からない」
募集チラシやWeb告知の“最初の3行”に効きます。
2場を「講義」→「対話」へ1段だけ寄せる
- 冒頭10分:参加者が「今の状況」を短く共有(ペア/小グループ)
- 中盤:事例は“成功談”より「つまずき→工夫→変化」
- 終盤:次の一歩を“宣言”ではなく「やってみる実験」にする
“議論”ではなく“確認”の対話が安全です。
3「持ち帰り」を小さく具体にする
- 1週間でできることに限定(例:お客様に1つ質問する)
- チェックシートはA4 1枚(項目は10個以内)
- 次回相談につながる“観察ポイント”を渡す
成果は「大きな計画」より「小さな実行」から見えます。
現場で詰まりやすいポイントと対処
🧷 詰まり①:事業者が話してくれない
いきなり課題を聞くのではなく、「最近、気になっていること」から入ると自然です。
さらに「答えを出す会」ではなく「整理する会」と伝えると、心理的ハードルが下がります。
🧷 詰まり②:支援側が“正解”を言いたくなる
正解は大事ですが、順番があります。“今の状況を一緒に見立てる”前に正解を渡すと、事業者は動きづらくなります。
「どう感じますか?」「どこが一番引っかかりますか?」の一言を挟むだけで、共創のスイッチが入ります。
🧷 詰まり③:成果が見えにくい
KPIを売上だけに置くと、支援機関のメニュー改善は進みにくくなります。
まずは行動KPI(例:相談の再来率、次回アクション設定率、紹介発生数)も一緒に見ていくと、手応えが掴めます。
支援メニュー改善のチェックリスト
最後に、メニューを見直すときの簡易チェックです。
🧾 チェック(そのまま使えます)
- 告知文の冒頭は「事業者の不安・迷い」の言葉になっているか
- 講義より前に、参加者が話せる時間があるか(5分でもOK)
- 持ち帰りが「1週間でできる小さな実験」になっているか
- 次回の相談につながる“観察ポイント”を渡しているか
- 成果指標が、売上以外(行動KPI)も含んでいるか
🔎 この記事の要点まとめ
- 刺さらない原因は「中身」より「入口のズレ」
- 本音が出る順番(安心→可視化→小さな一歩)が成果を作る
- 告知文/場づくり/持ち帰りを3ステップで整えると改善が早い
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