Field Stories|CASE 023
「高い」の一言を、
価格の問題だと思っていました。
商品を見た生活者から出たのは、 「少し高いですね」という言葉でした。 企業側は、価格を下げるべきかもしれないと考えました。 ところが丸テーブルで話を続けるうちに、 素材を選んだ理由や、つくり手が当たり前に続けてきた工程へ、 生活者が思いがけない反応を示しました。 問題だったのは、価格そのものではなく、 その価格になる理由が届いていないことかもしれませんでした。
Prologue
「高い」と言われたとき、最初に見直そうとしたのは価格でした。
商品を生活者に見てもらうと、 価格を見た一人から率直な言葉が出ました。
企業側にも、 その価格になる理由はありました。
素材、工程、品質を守るための手間、 つくり手が積み重ねてきた工夫。
しかし、その場で生活者に見えていたのは、 商品の外側と表示された価格でした。
Scene 01
企業には理由がありました。でも、それは社内の中にありました。
企業側にとって、 素材や製造方法へのこだわりは特別な話ではありませんでした。
毎日続けていること。 品質を守るために必要なこと。 自分たちの商品なら当然のこと。
この素材でなければ、必要な品質を保てません。
手間はかかりますが、この工程だけは省いていません。
つくる人によって差が出ないよう、最後は人の目で確認しています。
長く使ってもらうために、見えない部分も変えていません。
企業の中では共有されている話でも、 商品を初めて見る生活者には伝わっていませんでした。
Scene 02
雑談の中で、つくり手が何気なく背景を話しました。
価格について答えを出そうとするのではなく、 丸テーブルを囲んだまま会話を続けました。
その中で、企業担当者が 素材を選んだ経緯や、昔から続けている工程について話しました。
企業側にとっては、 商品説明として強く打ち出すつもりのない話でした。
生活者の表情と声の調子が変わりました。
企業側からは、 「そんなことが気になるのですか」という驚きが返ってきました。
Scene 03
同じ価格でも、背景を知る前と後では見え方が違いました。
価格の数字は変わっていません。
それでも、素材を選んだ理由や、 つくり手が守ってきた工程を知ると、 生活者の受け止め方が変わりました。
見た目が近い商品や、 売り場にある安い商品と比較し、 高いか安いかを判断していました。
素材、工程、つくり手の姿勢を知り、 何に対してお金を払うのかが見え始めました。
Scene 04
「高い」は、買わないという意味だけではありませんでした。
会話を続けると、 生活者は価格だけを否定していたわけではないことが分かりました。
毎日使うものとしては迷いますが、特別な日なら選びたいです。
自分用には少し考えますが、贈り物なら良いと思います。
長く使えることが分かれば、見方が変わります。
この背景を知っていれば、最初の印象は違ったと思います。
同じ人でも、 自分用なのか、贈り物なのか、 日常なのか、特別な日なのかによって、 価格の受け止め方は変わります。
「高い」という一言だけでは、 その違いまでは見えませんでした。
Scene 05
生活者の琴線に触れたのは、企業が強調していなかった言葉でした。
企業側が価値として説明していたのは、 性能、品質、素材の名称などでした。
しかし生活者が強く反応したのは、 つくり手が何気なく話した小さな背景でした。
高価な素材であることよりも、 なぜその素材でなければならないのかに納得が生まれました。
手間の多さではなく、 品質を守るために何を省かなかったのかが響きました。
数字や機能だけでは見えない、 現場で大切にしている基準に関心が集まりました。
生活者の不便や声を受けて改善した背景が、 商品への共感につながりました。
Scene 06
値下げの前に、何を伝えていないのかを見直しました。
価格を下げれば、 買いやすくなることはあります。
しかし、価値が伝わっていないまま価格だけを下げても、 選ぶ理由まで生まれるとは限りません。
必要だったのは、価格の説明ではなく、その価格になる理由の翻訳でした。
企業の中で使われている専門的な説明を並べるのではなく、 生活者が心を動かした言葉を手がかりに、 素材、工程、つくり手の姿勢が暮らしにとって何を意味するのかを考え直しました。
パッケージ、商品紹介、売り場、提案資料。
どの接点で、どの背景を、 どの言葉で伝えるべきか。
価格を変える前に、 価値の見せ方を見直す問いが生まれました。
Scene 07
企業が伝えたいことではなく、生活者が反応したことから組み直しました。
生活者の反応をその場の感想で終わらせず、 どの言葉で表情が変わったのかを企業と振り返りました。
企業にとって大きな技術説明より、 何気なく続けてきた一つの工程の方が響くことがあります。
詳しい機能説明より、 なぜその商品をつくろうと思ったのかが残ることもあります。
生活者は、どの言葉に反応したのか。
その背景は、初めて見る人にも伝わっているか。
自分用、贈答用、特別な日で、伝える価値は変わるか。
価格を見せる前後で、どの情報が必要なのか。
まだ伝えていない価値がありました。
What We Found
「高い」という言葉だけでは、価格を下げるべきかは分かりませんでした。
何と比較しているのか、 どんな場面で使うのかによって、 同じ価格でも受け止め方が変わりました。
企業が強調していなかった素材の理由や工程が、 生活者には納得や共感の手がかりになりました。
用意した説明だけでなく、 会話の中で表情や声が変わった言葉に、 伝えるべき価値のヒントがありました。
価格への納得は、 商品の背景を長く説明すれば生まれるわけではありません。 生活者がどこに価値を感じたのかを確かめ、 企業にとって当たり前になっていた事実を、 選ぶ場面に合う言葉へ置き換える必要がありました。 こらぼたうんは、生活者の反応と企業の現場を行き来しながら、 価格の奥にある価値の伝え方を一緒に探します。
Free Consultation
価格を下げる前に、まだ伝わっていない価値を探してみませんか。
「高い」という反応だけでは、 価格そのものが問題なのか、価値の伝え方が不足しているのかは分かりません。 生活者との対話から、何に心が動いたのか、 どの場面なら選ばれるのかを確かめ、 商品の背景やつくり手の思いを、伝わる言葉へ一緒に整えます。