バリュープロポジションキャンバス

定義

バリュープロポジションキャンバス(Value Proposition Canvas)とは、
顧客の課題や欲求と、自社が提供する価値を対応させることで「選ばれる理由」を明確化するフレームワークです。
ビジネスモデルキャンバスを補完する形で、顧客理解と価値提案の適合性を高めるために活用されます。

ポイント: 顧客が抱える「仕事(ジョブ)・痛み・得たい成果」と、自社の「製品・解決方法・利益」を対応させることで、市場とのフィットを確認できます。

構成要素

  • 顧客セグメント(Customer Profile):
    • ジョブ(Jobs):顧客が成し遂げたいこと
    • ペイン(Pains):達成を妨げる障害や不満
    • ゲイン(Gains):顧客が得たいメリットや理想の状態
  • 価値マップ(Value Map):
    • 製品・サービス(Products & Services):提供する具体的なソリューション
    • ペインリリーバー(Pain Relievers):顧客の不満や課題を解消する要素
    • ゲインクリエイター(Gain Creators):顧客にプラスの価値をもたらす要素

役割

  • 顧客理解の深化: 表面的な属性ではなく「本当に解決したいこと」に着目できる。
  • 価値提案の明確化: 自社が顧客にどう役立つのかを具体的に示せる。
  • 新規事業や商品開発: 市場ニーズに適合したサービス設計を可能にする。
  • マーケティング施策への応用: 訴求メッセージや広告表現の根拠になる。

事例

  • フードデリバリーサービス: ジョブ=「自宅で手軽に食事を済ませたい」、ペイン=「料理や片付けが面倒」、ゲイン=「好きな時間に多様なメニューを楽しめる」。
  • 学習アプリ: ジョブ=「スキマ時間で効率的に学習したい」、ペイン=「まとまった時間が取れない」、ゲイン=「進捗管理やゲーミフィケーションで学びが継続できる」。

書き方のポイント

  • 具体的に顧客像を描く: ペルソナやインタビューを基に実在感のある顧客像を設定。
  • ジョブを中心に整理: 顧客の行動や目的を出発点にする。
  • 対応関係を明示: ペインに対してペインリリーバーを、ゲインに対してゲインクリエイターを対応させる。
  • 検証と改善を繰り返す: 仮説として設定し、実際の顧客検証を通じてブラッシュアップ。

FAQ

Q. ビジネスモデルキャンバスとの違いは?
A. ビジネスモデルキャンバスが全体像を描くのに対し、バリュープロポジションキャンバスは「顧客と価値のフィット」に特化しています。
Q. 既存事業にも使える?
A. はい。既存顧客の課題整理や、新しい価値訴求の発見にも活用できます。
Q. BtoBでも使える?
A. 有効です。法人顧客の「業務効率化」や「コスト削減」といったジョブを整理する際に役立ちます。

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