かつて顧客は「市場を構成する対象」でした。
しかし今、顧客は価値を共に育てる“パートナー”として、企業との関係性が大きく変わり始めています。
本記事では、生活雑貨メーカーの共創セッションを題材に、「売る/買う」の壁を越える変化と、現場で再現するためのポイントを整理します。
先に結論「誰に売るか」より「誰と育てるか」
- ✓顧客を“ターゲット”として扱う限り、対話は「意見回収」で止まる
- ✓顧客を“パートナー”として迎えると、会話は「改善」から「共創」へ進む
- ✓結果として、商品だけでなく「ブランドの信頼」まで育つ
「売る人」と「買う人」の壁を越えて
商品開発やブランド設計において、従来のマーケティングは顧客を「ターゲット」として捉えるのが一般的でした。
ところが、ある生活雑貨メーカーが実施した共創セッションでは、関係性そのものが“別物”に変化しました。
会場に集まったのは、商品を日常で使っているユーザーたち。企業側は一方的に説明するのではなく、
同じ目線で「こうしたらもっと良くなる」を語り合う時間を共有しました。
この時点で、すでに空気が違います。ここは「調査会場」ではなく、“共同編集の場”になっていたのです。
従来の関係
企業:説明する/説得する
顧客:評価する/選ぶ
会話の目的:売るための情報収集
共創の関係
企業:聴く/一緒に考える
顧客:語る/提案する
会話の目的:価値を一緒に育てる
「売る側」が“聴く側”になった瞬間
セッションで飛び交ったのは、いわゆる「良い悪いの評価」だけではありませんでした。
暮らしの中の“使われ方”や、買う前後の“迷い”、そして
なぜ愛着が生まれるのかといった、現場にしかない情報が自然に出てきます。
現場の声「評価」ではなく「生活の物語」が出てくる
「この商品、もう少しこうだったら良かったのに…」
「実はこういう使い方してるんです(本来の用途じゃないけど)」
「うちも同じ!それ、SNSで話題になってましたよ」
こうした“何気ない会話”の中に、改善のヒントだけでなく、次の価値の芽が含まれていました。
「相手が顧客じゃなく、“仲間”に見えてきたんです。
このブランドを一緒に育ててくれる仲間として」 — 企業マーケティング担当者
ここで起きているのは、単なる“好意的な場”ではありません。
企業が「売る」より先に「聴く」に切り替えた瞬間、顧客側も
「買う人」から「関わる人」へと役割が変わっていきます。
一方的な“訴求”から、双方向の“関係性”へ
共創は「意見をもらう活動」ではなく、関係性を設計し直す活動です。
このメーカーが変えたのは、商品だけではなく、コミュニケーションの姿勢そのものでした。
変化ポイント企業側で起きた“姿勢の転換”
- 商品説明ではなく、背景・ストーリー・開発意図を共有する
- 意見募集ではなく、継続的な会話の場を設計する
- 販売促進より、一緒につくるプロセスを中心に置く
その結果、セッション参加者が「参加者」で終わらず、ブランドの“共創アンバサダー”として
自然にSNSや口コミで発信するようになりました。
ここが重要で、発信を“お願いした”のではなく、関係性が育った結果として起きたのです。
「ターゲット」から「パートナー」へ:実務で再現する3つのコツ
実務の型関係性が変わるときの共通点
- 場づくり:評価会ではなく「共同編集」の空気をつくる(対等な席・問い・進行)
- 聴き方:答えを引き出すより「生活の流れ」を聴く(いつ・どこで・なぜそうした)
- 返し方:お礼で終わらず「次のアクション」に接続(試作・改善・共有の循環)
▶ 要点:顧客はターゲットではない。価値を一緒に見つけ、育てていく「共創パートナー」である。
この視点があるだけで、商品開発はもちろん、長期的なブランド信頼と、 社内の意思決定の質(“現場のリアル”に基づく判断)まで変わっていきます。
問いの置き換え“誰に売るか”から“誰と創るか”へ
- × どう訴求すれば買ってもらえるか?
- ○ どんな場と対話があれば、価値が一緒に育つか?
共創は「施策」ではなく、企業姿勢がにじみ出る“関係性のデザイン”です。
「顧客=ターゲット」をやめた瞬間、関係性は育ち始めます。
貴社の商材や状況に合わせて、共創を“回る型”に落とし込みませんか?
まずは現状を伺い、どこから始めるのが最短かをご提案します。
※無理な営業はいたしません。状況整理だけでも大丈夫です。
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