地方の果樹園で生活者が小さなつぼみのついた剪定枝を手に取り、生産者とその魅力について話している様子

Field Stories|CASE 017

捨てていた枝を、生活者は
「かわいい」と持ち帰りました。

地方のある果樹園を、生産者と生活者が一緒に歩きました。 畑の隅には、剪定で切り落とされた枝が積まれていました。 生産者にとっては、商品にはならず、処分にも手間がかかるものです。 ところが参加者は、その枝についていた小さなつぼみに気づきました。 「かわいい」「家に飾りたい」と話し、 大切そうに持ち帰ったのです。 生産者と生活者が同じ畑に立ったことで、 それまで見えていなかった価値が生まれました。

テーマ:生産現場に眠る価値 形式:農園見学・現場対話 生産者・作物名は非公開

Prologue

同じ畑に立っても、見えているものは同じではありませんでした。

地方のある生産現場を、 生活者と一緒に訪ねたことがありました。

生産者から、 栽培の工夫や日々の作業、 収穫までの流れについて話を聞きながら、 参加者と畑の中を歩きました。

生産者にとっては、 毎日見ている景色です。

しかし参加者にとっては、 初めて見るものばかりでした。

生産者には日常でも、生活者には新しい発見になることがあります。

Scene 01

畑の隅に、剪定で切り落とされた枝が積まれていました。

果樹を育てるためには、 枝を切って形を整える作業が必要です。

切り落とされた枝は、 商品として出荷されるものではありません。

生産者にとっては、 毎年大量に出るものであり、 片づけや処分にも手間がかかります。

これは剪定で切った枝です。

商品にはなりませんし、捨てるのも大変なんです。

こちらでは、特に価値のあるものとは考えていませんでした。

生産者の言葉からも、 その枝は「不要なもの」として見られていました。

Scene 02

参加者は、枝についていた小さなつぼみに気づきました。

畑を歩いていた参加者の一人が、 積まれていた枝を手に取りました。

枝には、 これから花を咲かせる小さなつぼみがついていました。

生産者には見慣れたものでも、 参加者にはとてもかわいらしく映りました。

この小さなつぼみ、かわいいですね。

家に飾ったら、少しずつ変化を楽しめそうです。

季節を持ち帰るような感じがします。

枝そのものではなく、 そこにある季節の変化や、 花が咲くまでの時間に価値を感じていました。

Scene 03

「こんなものを、本当に持って帰るんですか」

参加者は、 つぼみのついた枝を持ち帰りたいと話しました。

生産者は、 少し驚いた様子でした。

こんなものを、本当に持って帰るんですか。

生産者にとっては、 処分に困っていたものです。

生活者にとっては、 家に飾りたくなるもの、 季節を感じられるもの、 誰かに見せたくなるものでした。

生活者が小さなつぼみのついた剪定枝を大切そうに持ち、生産者や参加者と枝の魅力について話している様子

Scene 04

生産者と生活者では、同じ枝の見え方が違っていました。

枝そのものは、 何も変わっていません。

変わったのは、 その枝を見る立場でした。

Producer 処分に手間がかかるもの

毎年大量に出て、 商品にはならず、 片づける必要があるものとして見えていました。

Consumer 季節を暮らしへ持ち帰れるもの

小さなつぼみや花が咲くまでの変化に、 かわいらしさや楽しさを感じていました。

生産者には当たり前すぎて、 価値として意識されていなかったものが、 生活者には新鮮に見えていました。

Scene 05

商品として出荷するものだけが、畑の価値ではありませんでした。

生産現場では、 収穫された果実や農産物が中心になります。

しかし生活者との対話から、 畑にはそれ以外にも、 暮らしとつながる価値があるかもしれないと見えてきました。

Value 01 季節を感じる

小さなつぼみや枝の変化が、 暮らしの中で季節を感じるきっかけになります。

Value 02 育つ時間を楽しむ

完成した花ではなく、 つぼみから変化していく時間そのものに魅力がありました。

Value 03 生産現場を知る

枝を通じて、 剪定や栽培など、生産者の日々の仕事を知る機会になります。

Value 04 人に話したくなる

畑から持ち帰った枝には、 誰かに伝えたくなる背景や物語がありました。

Scene 06

すぐに商品化できるかどうかとは、別の話でした。

枝を実際に商品やサービスとして扱うには、 さまざまな検討が必要です。

品質のばらつき、 輸送や保管、 衛生面や安全性、 安定して提供できるかどうか。

生活者が価値を感じたからといって、 すぐに形にできるとは限りません。

Value Before Productization

製品化できるかを考える前に、誰にとって何が価値なのかが見えました。

大切だったのは、 枝を売るか、捨てるかをすぐに決めることではありません。 なぜ生活者がその枝をかわいいと感じたのか。 どんな時間や気持ちを持ち帰ろうとしたのか。 そこに、生産者だけでは気づきにくい価値がありました。

Scene 07

畑の中に、新しい商品案ではなく、新しい見方が生まれました。

この場で、 枝の商品化が決まったわけではありません。

それでも、 生産者にとって不要だったものを、 生活者が別の意味で見つけたことには価値がありました。

生産物だけを見るのではなく、 生産の途中で生まれるものや、 畑で過ごす時間、 季節の変化にも目を向ける。

商品にならないものにも、暮らしとつながる価値があるかもしれない。

生産者にとっての日常が、生活者には新しい体験になるかもしれない。

畑には、出荷するもの以外にも伝えられることがあるかもしれない。

捨てるものか、売るものか。
その二つだけでは見えない価値がありました。

What We Found

生産者には見えていなかった価値が、生活者の一言から見つかりました。

当たり前すぎるものほど、価値に気づきにくい

生産者が毎年見ている枝は、 価値のないものとして扱われていました。

立場が変わると、同じものの意味も変わる

生活者は小さなつぼみや季節の変化に、 暮らしへ持ち帰りたい魅力を感じました。

現場を一緒に見ることで、言葉だけでは出ない発見が生まれる

会議室ではなく畑を一緒に歩いたことで、 生産者と生活者の見え方の違いが表れました。

Different Points of View

生産者から生活者へ説明するだけでも、 生活者から感想を聞くだけでもありませんでした。 同じ畑を歩き、同じ枝を見ながら対話したことで、 生産者にとって不要だったものが、 生活者には季節を感じるものとして見えてきました。

生産者には、処分に困る枝でした。
生活者には、季節を感じる小さな贈り物でした。

Free Consultation

生産現場にある、まだ見えていない価値を生活者と探してみませんか。

生産者にとっては当たり前のことや、 商品にならないと思っているものの中にも、 生活者にとっての魅力が隠れていることがあります。 生産現場を一緒に訪ね、対話と観察を重ねながら、 これまでとは違う見方を見つけます。