企業担当者が用途の決まっていない新素材のサンプルを生活者へ見せ、どのような商品や使い方が考えられるか意見を交わしている様子

Field Stories|CASE 015

社内では出なかった使い道が、
家族との会話から生まれました。

あるメーカーが、新しい素材を開発しました。 技術的な特徴や性能は分かっていましたが、 どのような商品にすれば生活者の役に立つのかは、 まだ見えていませんでした。 そこで参加者に素材の特徴を持ち帰ってもらい、 家族や友人・知人との会話の中で、 「何に使えそうか」を話題にしてもらいました。 次のセッションで持ち寄られたのは、 社内だけでは想像できなかった使い道の数々でした。

テーマ:新素材の用途探索 形式:継続型のアイデア共創 企業名・素材名は非公開

Prologue

素材はできていました。でも、商品はまだありませんでした。

メーカーが開発したのは、 これまでにない特徴を持つ新しい素材でした。

技術担当者は、 素材の性能や加工方法についてよく理解していました。

しかし、その素材を使って何をつくるのかは、 まだ決まっていませんでした。

この素材は、生活者にとって何になるのだろう。

素材の優れた点を説明することはできても、 それが暮らしのどんな場面で価値になるのかは、 社内だけでは十分に見えていませんでした。

Scene 01

最初から商品案を決めず、素材そのものを見てもらいました。

セッションで生活者へ見せたのは、 完成した商品やパッケージではありません。

新素材のサンプルと、 その特徴についての簡単な説明でした。

柔らかいのか、硬いのか。 水や熱に強いのか。 軽いのか、加工しやすいのか。

まずは実際に触れながら、 自由に感じたことを話してもらいました。

この触り心地なら、別の場所でも使えそうです。

家の中より、外で使うものにも向いていそうです。

子どもや高齢者向けに考えると、違う使い方がありそうです。

その場でもさまざまな意見は出ました。

しかし、可能性をもう少し広げるために、 セッションだけで終わらせないことにしました。

Scene 02

「家族や友人にも、何に使えそうか聞いてみてください」

参加者には、素材の特徴やサンプルを持ち帰ってもらいました。

そして次のセッションまでに、 家族や友人、知人との日常会話の中で、 新素材について話題にしてもらうことにしました。

専門的な調査をお願いしたわけではありません。

食卓での会話や、 友人との雑談の中で、 気軽に問いかけてもらいました。

こんな素材があるとしたら、何に使えそうだと思う?

生活者一人の発想だけではなく、 その周囲にいるさまざまな年代や立場の人の視点まで、 次のセッションへ持ち寄ってもらうためです。

Step 01 素材を知る

新素材に触れながら、 特徴や可能性について対話しました。

Step 02 暮らしへ持ち帰る

素材の特徴やサンプルを、 参加者が自宅へ持ち帰りました。

Step 03 周囲と話してみる

家族や友人・知人との会話で、 使い道を話題にしてもらいました。

Step 04 アイデアを持ち寄る

次のセッションで、 会話から生まれた発想を共有しました。

Scene 03

次のセッションには、参加者以外の視点も集まっていました。

次のセッションで、 参加者は家族や友人との会話から出たアイデアを持ち寄りました。

子どもが思いついた使い方。 高齢の家族が必要だと感じたもの。 仕事をしている友人が職場で使えそうだと考えたもの。

一人の参加者の後ろに、 さまざまな暮らしや経験がつながっていました。

子どもは、こんな遊び方ができそうだと言っていました。

母は、力を入れずに使えるものに向いているのではと話していました。

友人は、家庭用品ではなく仕事の現場で使えそうだと言っていました。

企業が当初想定していた分野とは、 まったく異なる方向のアイデアも出てきました。

参加者が家族や友人との会話から生まれた新素材の使い道を、カードやスケッチを使いながら企業担当者へ共有している様子

Scene 04

実現できるかどうかを、最初から判断しませんでした。

持ち寄られたアイデアの中には、 現在の技術や設備では難しいものもありました。

コストが合わないもの。 素材の加工方法を大きく変える必要があるもの。 企業の事業領域から遠いもの。

すべてをそのまま製品化できるわけではありません。

しかし、実現できるかどうかだけで早く絞ってしまうと、 そのアイデアが示している可能性まで失われてしまいます。

Expand Before Selecting

すぐに作れる案を探す前に、素材が持つ可能性を広げる。

一つひとつの案を採用するかどうかだけで判断せず、 なぜその使い方が思い浮かんだのか、 どの特徴に価値を感じたのかを確かめました。 そこから、素材が活かされる新しい方向を探しました。

Scene 05

アイデアの奥に、共通する期待が見えてきました。

一見すると、持ち寄られたアイデアはばらばらでした。

家庭用品、子ども向けの商品、 高齢者を支える道具、仕事で使うもの。

しかし、なぜその案が出たのかをたどると、 共通する期待が見えてきました。

Possibility 01 扱いやすさを活かす

軽さや柔らかさを、 力の弱い人や子どもの使いやすさへつなげる発想がありました。

Possibility 02 今まで使えなかった場所で使う

水や熱、屋外など、 従来品が使いにくかった環境への期待がありました。

Possibility 03 別のものを置き換える

今ある商品をそのまま作るのではなく、 暮らしの不便を別の形で解決する提案が出ました。

Possibility 04 異なる分野へ広げる

家庭用品に限らず、 仕事や教育、介護など別の領域へ広げる視点が生まれました。

Scene 06

企業が持ち帰ったのは、商品案よりも新しい問いでした。

セッションの目的は、 その場で製品化する案を一つに決めることではありませんでした。

企業は、多くのアイデアをそのまま採用したわけでもありません。

持ち帰ったのは、 新素材の特徴がどんな人や場面で価値になるのかという、 新しい問いでした。

この素材は、便利さより安心を求める場面に向いているのではないか。

家庭用品だけでなく、別の分野でも価値が生まれるのではないか。

素材の性能ではなく、使う人の負担を減らすことを中心に考えられないか。

すぐに答えを決めなかったことで、 社内にはなかった新しい検討の方向が生まれました。

新素材の使い道を決めたのではありません。
どこに可能性があるのかを、暮らしの会話から広げました。

What We Found

新素材の可能性は、社内の会議室だけでは見つかりませんでした。

商品案がなくても、生活者との対話は始められる

完成した商品を評価してもらうのではなく、 素材の段階から暮らしの可能性を一緒に考えました。

参加者の周囲にも、多様な視点がある

家族や友人・知人との会話を通じて、 年代や仕事、生活環境の異なる発想が集まりました。

実現性で絞る前に、可能性を広げる時間が必要

すぐに製品化できない案にも、 素材の新しい価値や方向性を示すヒントがありました。

Continuous Dialogue

新素材を見せ、その場でアイデアを聞いて終わったのではありません。 参加者が素材の特徴を暮らしへ持ち帰り、 家族や友人との会話の中で可能性を広げました。 次のセッションでは、その会話から生まれたアイデアを持ち寄り、 企業と生活者が新素材の価値をもう一度考えました。

すぐに作れる商品を決める前に、何に役立つ素材なのかを広げました。
社内では出なかった使い道は、暮らしの中の会話から生まれました。

Free Consultation

新しい技術や素材の使い道を、生活者と一緒に広げてみませんか。

技術や素材は完成していても、 どのような商品やサービスへつなげればよいか分からない段階があります。 完成品を評価してもらうだけでなく、 暮らしの中でどんな価値になる可能性があるのかを、 継続的な対話から一緒に探します。