共創の土壌を育てるには
「共創しましょう」「お客様と一緒に価値をつくりましょう」──そう投げかけると、 「アンケートを取っています」「ユーザー会を開催しています」と返ってくることがよくあります。 もちろん大切な取り組みです。けれど、共創の核心は“情報収集”の先にあります。
📚 目次
1. 「対話」の定義がズレると、共創は始まらない
アンケートやユーザー会は、確かに価値ある取り組みです。けれどそれは多くの場合、 「すでに決めた方向性を確認する」ための情報収集になりがちです。
私たちが価値共創の現場で大切にしている「対話」は、もう少し深いところにあります。 表面的な意見交換ではなく、参加者が自分の体験・感情・価値観まで持ち出し、 ときに揺さぶられながら「本質」を見つめ直す時間。 そこからしか生まれない新しい意味や関係性こそが、共創の源泉になります。
浅い:情報交換(事実・要望) → 改善案(小さな最適化) 深い:意味の再編集(体験・感情)→ 新しい価値(選ばれる理由)
共創が“創造”になるのは、後者の「意味の再編集」が起きたときです。
2. 形式的な対話と、創造的な対話の違い
企業内の「対話」は、いつの間にか形式的な枠に収まりがちです。 月次の共有会、部門横断の報告ミーティング……。 論理的で整った発言が飛び交い、どれも正しいように聞こえます。
でも、そこに参加者自身の「想い」や「信念」はあるでしょうか? 「このままではまずいかもしれない」「この仕事が好きだから、もっとこうしたい」—— 少し青臭くても生々しい声こそが、共創の場に必要です。
形式的な対話(止まりやすい)
- 正解っぽい発言が優先される
- 失敗や弱さが出せない
- 結論が“合意っぽく”終わる
- 次の行動が曖昧なまま散会する
創造的な対話(動き出す)
- 体験・感情・葛藤が言葉になる
- 「なぜ?」が深掘りされる
- 仮説が生まれ、試したくなる
- 小さく実践して次の材料を作る
3. 創造的対話を阻む“三つの壁”
壁① 危機感の欠如:変化の必要性が“腹落ち”していない
「今のやり方でうまくいっている」「変わる必要は感じない」。 こうした空気があると、創造的対話は始まりません。 人は“変わる必然”が見えないと、面倒な対話を避けたくなるからです。
出発点に必要なのは、恐怖ではなく切実さです。 「このままでいいのか?」という内なる問いが、共創の第一歩になります。
壁② 主体性の欠如:「上司に言われたから」では、言葉が深くならない
形式上参加してくれる人は多い。でも、受け身の姿勢で集まった場は、 言葉も感情も表層をなぞりがちです。 共創は戦略であると同時に、人の感情とつながりが基盤です。
「自分の仕事として、どこが痛いのか/どこを良くしたいのか」。 それが言語化された瞬間、対話の温度が上がります。
壁③ 主観の軽視:「正しく話す」空気が、創造性の芽を摘む
ビジネスでは客観性が重視されます。「数字で語れ」「根拠を示せ」。 もちろん大切です。けれど共創の対話では、もう一つの要素——主観が欠かせません。
お客様の気持ちに寄り添うには、自分の経験や価値観を通じて“感じる力”が必要です。 データだけでは手に入らない、人間の解像度が対話を動かします。
💬 現場の小技「雑談」や「無駄話」を“意図して”入れると、主観が出やすくなります。
そこから、組織が忘れていた人間らしさがにじみ、創造的対話が立ち上がることがあります。
4. 壁を越えるための“土壌づくり”5つの手当て
共創が回る会社には、必ず「場の設計」があります。才能ではなく、仕組みで作れます。
1)危機感を“共通言語”にする
いきなり熱い議論を求める前に、現状の“事実”を共有します。 売上や市場だけでなく、問い合わせの質、離脱理由、現場の違和感など、 違和感の棚卸しをするだけで対話の土台が整います。
2)「役割」より「問い」を先に置く
縦割りが強いほど「それはうちの仕事じゃない」が起きます。 先に「この顧客体験のどこが詰まっている?」など、 共通の問いを置くと、部門の壁を越えやすくなります。
3)“安心して本音が出る”ルールを作る
- 否定しない(評価・採点を持ち込まない)
- 正しさより「なぜそう感じたか」を聞く
- 一人の発言を奪わない(遮らない)
- 沈黙を急いで埋めない(考える時間を尊重)
4)主観を引き出す“質問”を用意する
- 最近、仕事で「引っかかった」瞬間は?
- お客様の反応で、嬉しかった/悔しかったのは?
- 「本当はこうしたい」を一つ挙げるなら?
- その背景にある“自分の原体験”は?
5)対話を“実装”に接続する(最小の次の一歩を決める)
対話が良くても、行動が決まらないと熱は冷めます。 「来週までに小さく試すこと」を一つ決め、結果を持ち寄る。 この小さな循環が、土壌を育てます。
5. 「実践」こそが、対話を次に進める
創造的対話が進み、「新たな解」が見え始めると、しばしば現れるのが実行へのブレーキです。 「本当にうまくいくのか」「失敗したらどうする」——不安が、アイデアを棚上げにします。
ただ、未来に絶対の正解がない以上、実践を通してしか次の対話の材料は育ちません。 大きく賭けるのではなく、小さく試す。結果から学ぶ。だからまた深く話せる。 共創とは、「対話」と「実践」を交互に回すことで動き出します。
対話(気づき) → 仮説(こうすれば良い) → 小さく実践(試す)
↑ ↓
学び(何が起きた?) ← ふり返り(言語化)
6. 共創の文化を育てるために(問いかけ集)
もし社内で創造的な対話がうまくいっていないと感じるなら、まずは次の問いから始めてみてください。
- 「今のまま」で失うものは何か?(顧客・信頼・人材など)
- 現場の違和感を、見ないことにしていないか?
- 数字に出る前の“兆し”を拾えているか?
- この活動は「誰のため」ではなく「何のため」か?
- 一人ひとりが“自分の言葉”で語れているか?
- 受け身にさせる仕組み(評価・役割固定)はないか?
- 「正しさ」より「なぜそう感じたか」を聞けているか?
- 弱さや失敗を出せる空気があるか?
- お客様の気持ちを“想像”ではなく“具体”で語れているか?
- 次回までに試す「最小の一歩」は決まっているか?
- 学びを共有し、改善が回る仕組みはあるか?
- 小さな成功体験を、組織に“蓄積”できているか?
7. まとめ|創造的対話は“技術”であり“姿勢”
共創とは、一部の特別な人だけがやることではありません。 どんな組織にも可能性は眠っています。けれど、それが芽吹くには「土壌」が必要です。
危機感(切実さ)・主体性(自分ごと)・主観(人間の解像度)。 この3つが揃うと、対話は“情報交換”から“意味の再編集”へ変わります。 そして、対話と実践を小さく回すことで、共創は文化として根づいていきます。
要点まとめ(3行)
創造的対話が始まらない原因は「危機感」「主体性」「主観」の欠けにある。
土壌は才能ではなく、場の設計(問い・ルール・質問・最小実装)で育てられる。
共創は「対話」と「実践」の小さな循環を回した瞬間に動き出す。
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