企画×デザイン×営業が噛み合うと、価値は一気に跳ねる

部署横断がうまくいかない理由は、能力不足でも熱量不足でもありません。
たいていは、「同じ言葉を使っているのに見ている景色が違う」ことから始まります。

こらぼたうんでは、共創の場に企画・デザイン・営業・マーケをできるだけ同席させ、生活者のリアルな語りを媒介にして 前提・時間軸・評価指標を揃えます。
本稿は、営業巻き込みの話そのものではなく、「噛み合わせを設計して、価値が跳ねる状態を再現する」ための実務ガイドです。

1. なぜ「部署横断の噛み合わせ」が成果を決めるのか

企画・デザイン・営業・マーケは、同じ「成功」を目指しながらも、日々見ているものが違います。企画は事業性と運用、デザインは体験の摩擦と愛着、営業は導入障壁と現場の言葉、マーケは出会いと転換を見ています。 これは対立ではなく、価値を成立させるための“必要条件の分担”です。

噛み合わせが取れていないと、典型的にはこうなります。「良い価値なのに伝わらない」「売れるのに続かない」「続くのに出会えない」。 部門ごとの最適化が、全体最適を崩してしまう状態です。

要点:
・衝突の多くは価値観の対立ではなく「観測点の違い」。
・噛み合わせは“仲良くする”ではなく「受け渡しを設計する」こと。
・生活者の語りを媒介にすると、前提が揃い意思決定が速く・深くなる。

2. すれ違いの正体:視点と時間軸のズレ

すれ違いの根っこは、時間軸にあります。マーケは短期の反応(CTR/CVR/CPA)を追い、デザインは中長期の関係(継続率/LTV/ロイヤリティ)を守ります。営業は明日の商談で起きる障壁を見て、企画は半年後の運用と採算を見ます。

重要なのは、短期と長期を“対立”させないこと。短期の約束が体験で裏切られると離脱が増え、体験が良くても出会いが弱ければ利用開始に至りません。 こらぼたうんは、短期→中期→長期が連鎖する設計を会話と成果物に組み込みます。

「体験の質」を犠牲にした短期成果は頭打ちに。
「綿密な体験」だけでも、事業が続かなければ価値は届け続けられない。

3. ペルソナ解釈の違いを“同じ紙”に揃える

ここは噛み合わせの急所です。
マーケのペルソナは「接点で刺さる条件(属性・興味・行動)」、デザインのペルソナは「使い続ける条件(文脈・感情・期待と不安)」、営業のペルソナは「導入できる条件(稟議・運用・現場の抵抗)」になりやすい。 同じ言葉でも中身が違うので、合意が崩れます。

そこでおすすめは、最初に3視点を同じ紙に並べること。1枚に揃えると、“ズレ”が会話可能になります。

  • 属性(マーケ):誰が/どこで/何に困っているか
  • 体験(デザイン):購入前後の感情の山谷(期待/不安/確信/習慣化)
  • 導入(営業):止まりポイント(稟議/運用/比較軸/価格の妥当性)
  • 生活者ヒアリングの「原文」を追記して、空白を埋める

4. 「届ける」と「使い続けてもらう」を一本の物語にする

価値が跳ねる瞬間は、広告コピー(約束)初回体験(実感)継続理由(習慣化)が一本の物語になるときです。 逆に、どれかが別の物語を語ると、途中で止まります。

だから「届ける」側(マーケ・営業)と「使い続けてもらう」側(デザイン)の間には、必ず受け渡し成果物が必要です。 次章で、そのテンプレを紹介します。

実務ヒント: 訴求は「特徴」ではなく「初回30分の成功体験」を約束する文脈へ。
導入ガイドは“読み物”ではなく“伴走”に。ステップを1つ短縮するだけで継続率が変わる。

5. 噛み合わせの核心:3部門の“受け渡し成果物”テンプレ

部署横断が噛み合わない最大の原因は、「会議」ではなく受け渡しにあります。
口頭合意だけで進めると、次の工程で解釈がズレ、戻り工数が増えます。 そこで、最低限これだけは“形”にして共有しておくと強いです。

成果物
中身(何を書く?)
主オーナー

① 体験カンバス(1枚)

きっかけ→導入→継続→拡散

“約束”と“実感”を一致させる

生活者の原文/成功条件/つまずき3点/次の一歩

デザイン+マーケ

(営業は導入障壁を追記)

② 提案の1行(刺さる定義)

誰に何がどう良いか

営業が“自分の言葉”で言える形

比較軸/言い換え例/NG表現/反論FAQ

営業

(マーケはコピー整形)

③ 導入摩擦リスト(3つまで)

止まる場所を特定

“動かない理由”を先に潰す

稟議/運用/価格の妥当性/最初の手順を短く

企画+営業

(デザインは摩擦削減)

④ 90日ミニロードマップ

何をいつ検証するか

短期→中期→長期を接続

初回体験改善/フォロー導線/30/60/90日の打ち手

企画

(全員で合意)

要点:
・噛み合わせは「会議の回数」ではなく「受け渡しの質」で決まる。
・最低でも “体験カンバス/提案1行/導入摩擦3つ/90日” を形にする。
・この4点が揃うと、部門をまたいでも解釈がズレにくい。

6. 会議が増えるほど遅くなる…を防ぐ「週次15分」の会議体

部署横断は、やり方を間違えると「合意のための合意」で遅くなります。
そこでおすすめは、長い会議よりも短い定例で“受け渡し成果物”だけ更新するやり方です。

6-1. 週次15分の固定フォーマット

  1. 先週:変えたこと(3分):コピー/導入手順/同梱物/FAQなど
  2. 数字:1つだけ見る(4分):短期 or 中期の指標を1つに絞る
  3. 声:原文を1つ読む(4分):生活者/営業現場の一言(要約しない)
  4. 今週:1つだけ直す(4分):摩擦を1つ削る(手順短縮・言い換え・導線改善)
実務ヒント: 「決める会議」にしない。受け渡し成果物(4点)を更新する会にすると速いです。
意思決定が必要なら、その場で“誰がいつまでに決めるか”だけ決めて終えます。

7. 共創ワークショップの進め方(実践テンプレ)

7-1. 推奨アジェンダ(90〜120分)

  1. 目的共有(10分):短期KPIと長期KPIの両立を宣言。成功の定義を一枚に。
  2. 生活者ヒアリング(30分):購入前後の物語を聞き、感情の山谷をメモ。
  3. ズレの可視化(20分):3視点ペルソナ(属性/体験/導入)を同じ紙に揃える。
  4. 受け渡し成果物づくり(30分):体験カンバス/提案1行/摩擦3つ/90日を作る。
  5. 次週のミニ実装(10分):コピー差し替え、FAQ更新、導入手順短縮など“1つだけ”決める。

7-2. 成果の可視化フォーマット

  • 1ページ・体験カンバス:「きっかけ→導入→継続理由→拡散理由」を一枚に。
  • 阻害要因リスト:価格・不安・使用想像の壁を3件以内で特定し、除去策をセット。
  • 90日ロードマップ:オンボーディング/NPS/CRMタッチを連鎖させる簡易ガント。

7-3. よくある落とし穴と回避策

  • “議論メイン”で持ち帰りが増える → 当日中に成果物(4点)を確定し、翌週のミニ実装を決める
  • 生活者の声が一般論化する → “固有名詞の瞬間”を拾い、コピーや手順に直結させる
  • 部門間の責任押し付け → 受け渡し成果物のオーナーを明確にし、更新会で差分を確認する

8. 事例:楽しみ方セグメントで“価値の伝わり方”を統一する

とある飲料メーカーでは、サブスクリプションの伸び悩みと満足度の課題がありました。デザインリサーチで見えたのは、「近すぎるがゆえに深い楽しみ方に気づいていないライト層」と「周辺知識やアレンジで奥行きを楽しむエクストリーム層」の存在です。ここから、“楽しみ方”を軸に4つのセグメントを定義しました。

部署横断で効いたのは、セグメントを“分類”に留めず、コピー・構成・体験導線まで一気通貫で揃えたことです。
その結果、ユーザーは「自分に合った楽しみ方を選ぶこと自体が体験」になり、継続とロイヤリティに寄与しました。

転用のコツ: 属性や購買履歴だけでなく、上位セグメントの物語を移植する。探求の余白を提示し、次の一歩を誘う。

9. 短期KPIと長期KPIの交差点を“やさしく”見える化する

噛み合わせは「雰囲気」だけだと続きません。
そこで、短期(今の反応)長期(使い続けてもらえるか)をつなぐ指標を置くと、会話がぶれにくくなります。
※ここでは難しい話ではなく、「どこで止まっているか」を見つけるための“目安”として使います。

CVR / CPA
短期:出会ってから「やってみよう」と思ってもらえるか。
(申し込み・問い合わせが増えているか/集客にムダが多くないか)
オンボーディング完了率
中期:はじめの一歩でつまずかず、「よかった」が出ているか。
(最初の設定・使い方・導入手順が難しすぎないか)
LTV / 継続率
長期:習慣になり、信頼が育っているか。
(リピート・更新・追加購入・紹介が起きているか)
「約束(コピー/提案の1行)」
「実感(初回成功体験)」
「習慣化(30/60/90日の理由)」
「推奨(人にすすめたくなる)」
  • 約束(伝えたこと)と実感(使った感想)がズレると、短期は取れても途中で離脱しやすくなります
  • 摩擦(手間・不安・分かりにくさ)を1つ減らすだけで、オンボーディング完了率が上がりやすいです
  • 30/60/90日のフォローを“設計”しておくと、「続ける理由」が育ち、継続率・LTVにつながります

10. 共通ゴールを共有するための合意文言

私たちの共通の目的は、ユーザーに長く愛される体験を継続的に提供し、収益性満足度を両立させること。
そのために、短期施策と長期設計を対立させず、相互補完とする。

この一文を、プロジェクトの冒頭と節目で読み合わせるだけで、議論の基調が安定します。
「勝ち方」を揃えた上で進めると、部署横断の意思決定が速くなります。

11. まとめ:噛み合うほど、価値は跳ねる

価値が跳ねるのは、派手なアイデアが出た瞬間ではなく、噛み合わせが取れて“受け渡しが成立した”瞬間です。
企画・デザイン・営業・マーケが生活者の語りを共有し、成果物(4点)を更新し続けると、意思決定の解像度と実装スピードが同時に上がります。

共創は、アイデア出しや調査の上位互換ではなく、ユーザーとビジネスの両輪を回す“運用”です。
「一枚に揃える」「受け渡す」「週次で更新する」――この型が整うほど、価値は一気に跳ねます。

12. よくある質問(FAQ)

Q1. 何名で実施すると効果的?

企業側3~5名(企画/デザイン/営業/マーケ横断)+生活者4〜6名が目安。発言機会が均等に回る規模が望ましいです。

Q2. 生活者はどう選ぶ?

属性だけでなく「使用歴・熱量」でバランスを取り、ライト層とエクストリーム層を混ぜると示唆が濃くなります。

Q3. 部署横断が“会議地獄”になりそう…

長い会議を増やさず、週次15分で「受け渡し成果物(4点)」だけ更新する運用が効きます。意思決定が必要な論点は“誰がいつ決めるか”だけ決め、その場で決め切らないのがコツです。

Q4. 成果評価はどうする?

短期:CVR/CPA、中期:オンボーディング完了率/NPS、長期:継続率/LTV/紹介率。
「約束→実感→習慣化→推奨」の流れで、どこが弱いかを見える化します。

部署横断の共創を、「噛み合う型」に整えたい方へ

企画・デザイン・営業・マーケが同じ言葉を使っているのに、意思決定が遅い——。
そんな時は、会議を増やすより「受け渡し成果物(体験カンバス/提案1行/導入摩擦3つ/90日)」を先に揃える方が速いです。
こらぼたうんは、生活者セッションを軸に“噛み合わせ”を設計し、実践で回る形に落とし込みます。

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