「モニター調査じゃ見えなかった!」共創セッションが教えてくれた意外なニーズ

どれだけ丁寧にモニター調査を重ねても、なぜかヒットに結びつかない──。
そんな袋小路のような状況を変えたのは、意外にも“共創”という対話の場でした。
本記事では、企業と生活者が向き合い、雑談の中から生まれた「思いがけないニーズ」と「商品の変化の物語」をお届けします。


■ モニター調査の“限界”に直面した瞬間

健康志向の波に乗って新商品を開発していた食品メーカーB社。
発売直前、複数回にわたるモニター調査を実施し、アンケートには「おおむね満足」「味も悪くない」「価格も妥当」という高評価が並びました。

しかし、いざテスト販売を行うと結果は伸び悩み。
数値的には悪くない評価を得ているのに、購入率が上がらない。この「見えない壁」に、担当チームは頭を抱えました。

そこで試みたのが、生活者との共創セッションです。
従来型の「質問と回答」に終始する形式ではなく、参加者同士が自由に話し、互いの意見を重ね合える対話型の場を設計しました。

自然体で話す参加者たちの笑顔のセッション風景
▲ セッション中、笑顔で意見を交わす生活者たち──安心感のある空気が本音を引き出す

■ 思わぬニーズは「雑談」からこぼれ落ちた

セッションも中盤に差しかかった頃、何気ない会話の中で参加者の一人がぽつりと漏らしました。

「これ、子どもが食べても大丈夫なんですか? 体には良さそうだけど、子どもってこういう味や匂いを嫌がるじゃないですか」
「うちの娘なんて、袋を開けた瞬間『くさい!』って言って食べなかったんですよ」

その瞬間、場の空気が変わりました。
「うちもそう」「見た目が“健康食品すぎる”と子どもが手を伸ばさない」──そんな声が次々と飛び交い、テーマは「匂い」「子どもの食べやすさ」へと広がっていきました。

これらは、従来のモニター調査の質問項目には一切なかった視点です。
数字では表れない、暮らしの中の“リアルな不便”が、雑談の中から顔を出した瞬間でした。

■ 「評価」は得ても、「共感」は得られていなかった

共創の場を通じて明らかになったのは、商品の品質そのものには問題がなくても、「誰の、どんな日常に寄り添うのか」という文脈が欠けていたという事実です。

  • 親子で安心して食べられることが購買の後押しになる
  • 部屋に置いてあっても生活感を損なわないパッケージデザイン
  • 匂いや見た目が“健康食品すぎない”工夫が必要

B社が想定していた「健康食品としての高品質」という価値よりも、実際の購買基準は“暮らしに自然になじむかどうか”だったのです。

■ 図解:モニター調査 vs 共創セッションで得られる情報の違い

この事例は、同じ「生活者の声」を集める場でも、アプローチが違えば得られる情報の質が大きく異なることを示しています。
下の図は、モニター調査と共創セッションの特徴を比較したものです。

モニター調査 共創セッション
定型の質問に沿って回答を集めるため、「用意された選択肢の範囲」に収まる情報が中心。 自由な会話や雑談から生まれるため、想定外の視点・感情が引き出されやすい。
回答は短く、理由や背景が見えにくい。 エピソードや生活シーンと結びついた文脈情報が得られる。
数値や割合で比較しやすいが、本音や感情のニュアンスは薄い。 参加者の表情・声のトーンなど、非言語のヒントも拾える。
調査後に分析者が解釈するため、一方通行になりがち。 その場で相互理解が進み、次のアイデアや改善策が即時に生まれる
主に「評価」を得る場。 主に「共感」を育てる場。

■ 対話が生んだ変化、そして成果

この発見を受け、B社はパッケージ表現・販促コピー・ターゲット設定を大幅に見直しました。
「働くママと子どもが一緒に楽しむ姿」を思い描き、匂いや見た目の工夫を加えたほか、「子どもと一緒に」というメッセージを前面に押し出しました。

その結果、再販売時にはターゲット層の購入率が2.3倍に向上
SNS上では「こういうのを探していた!」「親子で食べられるのがうれしい」という投稿が相次ぎ、商品の存在意義が明確になったのです。

▶ 共創は、数値では見えない「暮らしの奥深く」に触れるきっかけです。
本音が交わされる場には、商品を飛躍させるヒントが必ず眠っています。

共創事例ギャラリー|こらぼたうん
こらぼたうん代表 中間祥二

中間 祥二(なかま・しょうじ)

株式会社こらぼたうん 代表取締役

2001年の創業以来、農業からサービス業まで幅広い分野で「共創型マーケティング」を支援。
生活者とともに“選ばれる仕組み”をつくり、売上向上や市場創出をサポートしています。

💻右下に現れる「生成AI」が、いつでもご質問にお答えします(パソコン版のみ対応)。

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リアルな共創の記録。

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