Field Stories|CASE 024
企業は購入の瞬間を見ていました。
生活者は、手放す日まで見ていました。
企業が考えていたのは、どうすれば商品を手に取ってもらい、 購入してもらえるかということでした。 ところが生活者から出てきたのは、 「どこに置けばよいですか」 「使わなくなったら、どうやって捨てるのですか」という言葉でした。 生活者は、買った瞬間だけではなく、 商品を家へ迎え入れてから手放す日までを想像していました。
Prologue
商品を選んでもらうための話をしていたとき、生活者は捨てる日のことを尋ねました。
企業側が見せたのは、 新しく開発した商品の試作品でした。
機能、使いやすさ、デザイン、価格。 手に取ってもらうために考えてきたことを説明し、 生活者の反応を確かめていました。
その途中、一人の生活者が商品を眺めながら、 少し申し訳なさそうに尋ねました。
企業側が想定していた質問ではありませんでした。
Scene 01
企業が見ていたのは、売り場から購入まででした。
社内では、 どうすれば商品が目に留まるか、 どうすれば手に取ってもらえるかが議論されていました。
売り場で目立つデザインにしたい。
商品の良さが短時間で伝わるコピーが必要だ。
競合商品と並んだときに、違いが分かるようにしたい。
購入を迷わせない価格にしたい。
どれも、選ばれる商品にするために必要な視点です。
ただし、企業側が描いていた時間は、 商品を見つけてから購入するまでで止まっていました。
Scene 02
生活者は、商品を家に持ち帰った後を想像していました。
「捨て方が気になる」という一言をきっかけに、 ほかの参加者からも購入後の話が出てきました。
家のどこに置くかを考えてしまいます。
出したままにすると、部屋の中で目立ちそうです。
使わないときに収納できる大きさでしょうか。
分別が複雑だと、最後に困りそうです。
粗大ごみになるものは、買う前に少し考えます。
生活者は、 商品の機能だけを見ているわけではありませんでした。
その商品が暮らしの中へ入ったとき、 自分の時間や空間にどのような影響を与えるのかを考えていました。
Scene 03
生活者が選んでいたのは、商品だけではありませんでした。
商品を買うことは、 暮らしの中へ新しい物を迎え入れることでもあります。
置き場所をつくり、 ときには家族へ説明し、 手入れをしながら使い、 最後には自分で手放さなければなりません。
売り場、見た目、価格、訴求方法など、 商品を選んでもらうまでの接点を中心に考えていました。
置き場所、見た目、収納、手入れ、処分まで含め、 商品と暮らす時間全体を想像していました。
生活者にとっては、そこから始まるのですね。
Scene 04
「捨てるのが大変」は、環境意識だけの話ではありませんでした。
捨て方について尋ねる生活者を見て、 最初は環境への関心が高い人なのだろうと考えていました。
しかし、話を聞き続けると、 そこにはもっと日常的な負担がありました。
使わなくなった物が残り続けることへの抵抗が、 購入前の迷いにつながっていました。
分解、分別、回収日の確認など、 将来発生する作業まで想像していました。
年齢や住環境によっては、 家の外へ運び出すこと自体が負担になります。
買うことよりも、 自分で納得して手放せることが安心につながっていました。
Scene 05
商品の大きさや形は、使うときだけの問題ではありませんでした。
企業側は、 機能を実現するために必要なサイズや構造を考えていました。
生活者は、 その大きさが部屋の中でどう見えるか、 収納できるか、 使わなくなったときに運び出せるかまで見ていました。
置いてある間、生活感が出すぎないでしょうか。
部品を分ければ、小さくして捨てられますか。
箱を残しておかないと、処分するときに困りますか。
回収や引き取りの仕組みがあると安心です。
置いたときの見た目と、 捨てるときの扱いやすさは、 別々の話ではありませんでした。
どちらも、 商品を暮らしの中へ迎え入れてよいかを判断する材料でした。
Scene 06
商品開発の時間を、購入後まで伸ばして考えました。
対話のあと、 企業側が見直したのは販促の言葉だけではありませんでした。
「どう売るか」だけでなく、「どう暮らしに入り、どう手放せるか」を考える。
商品が届いた後の置き場所、 使わないときの収納、 部品の外しやすさ、 素材ごとの分別、 回収や引き取りの可能性まで、 商品体験の一部として見直しました。
すべてを一度に変えられるわけではありません。
それでも、 捨て方を説明書の最後に小さく書くだけではなく、 購入前の安心材料として伝えられないか。
分解しやすい構造にできないか。 梱包材を減らせないか。 長く使うための部品交換や修理を用意できないか。
商品開発の中に、新しい問いが生まれました。
Scene 07
購入を迷わせていたのは、商品の魅力不足とは限りませんでした。
商品の機能やデザインを気に入っていても、 暮らしの中へ迎え入れた後の負担が見えないと、 生活者は購入をためらうことがあります。
その迷いは、 「欲しくない」という拒否ではありません。
自分の暮らしに無理なく入れられるかを、 最後まで考えているからこそ生まれる慎重さでした。
どこに置かれる商品なのか。
使わない時間は、どう過ごす商品なのか。
長く使い続けるために、何ができるのか。
使い終えた後、生活者だけに負担を残していないか。
手放す日までの安心の中にもありました。
What We Found
生活者は、商品ではなく、その商品が加わった後の暮らしを選んでいました。
生活者にとっては、 商品を家へ持ち帰り、置き場所を決めるところから体験が始まります。
分別、運び出し、回収などの負担が見えることで、 購入前の不安を減らせる可能性がありました。
売り場や使用中だけでなく、 収納、修理、再利用、廃棄まで見ることで新しい改善点が生まれました。
企業は、商品の魅力を高め、 手に取ってもらう方法を考えます。 生活者は、その商品が自分の家へ入り、 日常の風景の一部になり、 いつか手放すところまでを想像しています。 こらぼたうんは、購入の前後にある生活者の時間を対話からたどり、 商品の中だけでは見つからない選ばれる理由を一緒に探します。
Free Consultation
購入後の暮らしまで含めて、商品やサービスを見直してみませんか。
商品の機能やデザインには自信がある。 それでも購入を迷われる理由が分からない。 そのようなときは、置き場所、収納、家族との関係、 手入れ、修理、手放し方まで、生活者の時間を一緒にたどることで、 社内では見えていなかった改善の手がかりが見つかることがあります。