調査がしたいなら、調査会社でいい。価値共創は“情報収集”じゃない

✅ 結論から:調査と価値共創は別物

マーケティングリサーチはとても有効です。目的が「実態把握」なら、調査会社の活用は最適解になります。
ただし、価値共創はリサーチの延長ではありません。
生活者と関係を育て、意思決定と行動を変え、新しい価値を一緒につくる取り組みです。
「情報が欲しい」のか、「一緒につくりたい」のか。ここを混同すると、共創は始まりません。

調査(マーケティングリサーチ)と価値共創は、目的が違う

3行で定義します

調査:事実や意見を集め、判断材料を得る。
価値共創:対話を通じて仮説を育て、試し、変え、価値を一緒に形にする。
決定的な違い:得たいのは「データ」か、「関係と変化」か。

調査を否定しているのではありません。「調査で足りる課題」と「共創が必要な課題」は別——ただそれだけです。

補足:ここだけ押さえればOK ポイントは「目的」です

調査は、「今どうなっているか」を把握するのが得意です。
一方、価値共創は、「これからどう良くするか」を一緒に試しながら決めるのが得意です。

つまり、調査は答えの“材料”を集める。共創は、材料をもとに意思決定と行動を変え、価値を形にしていく
この違いをハッキリさせると、取り組みがブレず、成果が出やすくなります。

調査会社を使うべき時(=調査で十分に答えが出る)

📌 目的が「実態把握」のとき
  • 市場規模・認知・満足度などの現状把握
  • 仮説のスクリーニング(当たりをつける)
  • 施策の効果検証(KPI追跡)
  • 社内稟議・説明責任のための「数字」が必要なとき

こうした場面では、設計・回収・分析の専門性を持つ調査会社が頼りになります。

逆に言えば——ここを「共創」と呼び始めると、生活者は一気に“作業モード”に入ります。

価値共創が必要な時(=データでは埋まらない“ズレ”がある)

🎯 典型的なサイン
  • 価値提案が刺さらない(理由がわからない)
  • 改善しても続かない/リピートが増えない
  • 「選ばれる理由」が言語化できていない
  • 社内の納得が揃わず、動きが止まる
🧩 ボトルネック
  • データ不足ではなく「解釈の不足」
  • 一度きりではなく「関係の不足」
  • 把握ではなく「変化の不足」
  • 数字ではなく「意思決定の不足」

価値共創は、生活者の声を集めることがゴールではありません。
対話から得た気づきが、企画・表現・提供のしかたに反映され、現場の意思決定と行動が変わる。ここまで含めて、初めて「共創」です。

※この「共創の成否を左右する企業側の姿勢」については、こちらの記事でも体系的に整理しています:
価値共創マーケティングの成否を左右する:企業姿勢の重要性

生活者が本気になる3つのスイッチ

生活者が「ただ答える」から「一緒に考える」へ切り替わる瞬間があります。
それはインセンティブだけでは生まれません。企業の本気が、体験として伝わったときに起きます。

実際、こらぼたうんでは協力会員である こらぼれーたー の皆さんにご協力いただき、パイロット的に共創を試すことがあります。その際、企業側が「何を良くしたくて」「この対話をどう活かしたいのか」を熱意と誠意をもって投げかけると、報酬(インセンティブ)に関わらず参加が集まり、対話の質が一段上がることが少なくありません。

※ポイントは「報酬(インセンティブ)だから集まる」ではなく、参加が“貢献”や“参画”として実感できる設計になっているかどうかです。

① 実感と誇り

自分の声が「形」になった痕跡を見つけたとき、参加は“作業”から“誇り”に変わります。

  • 結果や学びを返す(短くてもいい)
  • 採用/不採用に関わらず「どこに効いたか」を示す
  • 次の参加導線を用意する(継続対話)
② 共感と責任

「この企業は本気だ」と伝わると、人は自然に“ちゃんと答えたい”モードになります。

  • 問いの“なぜ”を添える(何の意思決定に使うか)
  • 主語の曖昧さや引っかけを避け、敬意が伝わる文章にする
  • ありがとう+扱い方の説明(インセンティブより態度が効く)
③ 貢献と参画

自分の声が製品やサービスを通じて還元され、暮らしが少し良くなると感じたとき、協力は長く続きます。

  • 「誰の何を良くしたいか」を最初に共有する
  • 参加がどう反映されたかを、短くても返す
  • “協力者”として扱い、データ扱いしない
まとめ

生活者の本気は、報酬で買うものではない

企業姿勢が「体験」として伝わったときに育ちます。
そして、その体験は設計できます。

共創の成否を分けるのは「企業姿勢が伝わる設計」

共創を掲げながら失敗する多くのケースは、熱意が足りないのではなく、熱意が“伝わらない設計”になっています。

✅ 企業姿勢を「行動」に落とす3つ
  • 受け止める:聞いて終わらせず、解釈し、次の一手に繋げる
  • やり切る:途中でやめず、一定期間“継続”して学びを積む
  • 共有する:結果・学び・変化を返し、参加者の誇りを育てる

さらに深掘りしたい方は、こちらもどうぞ:
価値共創マーケティングの成否を左右する:企業姿勢の重要性

結論:あなたが欲しいのはデータか、関係か

目的が「実態把握」なら、調査会社の活用が最適解です。
でも、目的が「選ばれる価値を一緒に育てたい」なら、必要なのは共創です。

判断基準は、これだけです

「情報が欲しい」のか、「一緒につくりたい」のか。
前者なら調査、後者なら共創。

「自社の場合、どこから着手すべき?」を一緒に整理します
施策の優先順位は、業種・客層・販売チャネルで変わります。
まずは現状(行動×心理)を見立てて、最短ルートを設計しましょう。

🗒️ コラム・運営視点 一覧へ

人気の記事
おすすめ記事
最近の記事
  1. 「ゴリラの鼻くそ」はなぜ売れたのか?|ネーミング×文脈で価格競争を超える方法

  2. 共創アイデア出しワクショップ10選──社員・顧客と価値を生み出す実践手法

  3. 共創マーケティングとは何か|分断の時代を乗り越える鍵──AI×対話×顧客参加で価値を育てる

  4. 顧客が欲しいのは商品じゃない?成功体験から考える価値共創

  5. 縦割り組織の弊害を共創で乗り越える──部署の壁を「顧客価値」でつなぎ直す方法

  6. マスを見ずに深く刺さる!N=1発想で世の中に広がるヒットを生み出す方法

  1. 調査がしたいなら、調査会社でいい。価値共創は“情報収集”じゃない

  2. オンライン共創は便利。でも対面が効く場面が多い理由|本音・腹落ち・実行力

  3. 雑談はムダじゃない。本音・学び・アイデアが生まれる「非公式な対話」の力

  4. 価値共創やってて良かったな──現場で心が動いた瞬間

  5. 営業を巻き込むと共創は加速する──現場発のアイデアで売れるチームに変える

  6. 中小企業が大手に勝つ共創戦略|「企画」に資源を集中して選ばれる理由をつくる

  1. 調査がしたいなら、調査会社でいい。価値共創は“情報収集”じゃない

  2. 顧客は「ターゲット」ではなく「共創パートナー」へ:関係性が変わる瞬間

  3. オンライン共創は便利。でも対面が効く場面が多い理由|本音・腹落ち・実行力

  4. 雑談はムダじゃない。本音・学び・アイデアが生まれる「非公式な対話」の力

  5. 企画×デザイン×営業が噛み合うと、価値は一気に跳ねる

  6. 美味しい”だけでは選ばれない。食品のキャッチは「気分」で決まる

よく読まれている記事
  1. 1

    「ゴリラの鼻くそ」はなぜ売れたのか?|ネーミング×文脈で価格競争を超える方法

  2. 2

    共創アイデア出しワクショップ10選──社員・顧客と価値を生み出す実践手法

  3. 3

    共創マーケティングとは何か|分断の時代を乗り越える鍵──AI×対話×顧客参加で価値を育てる

  4. 4

    顧客が欲しいのは商品じゃない?成功体験から考える価値共創

  5. 5

    縦割り組織の弊害を共創で乗り越える──部署の壁を「顧客価値」でつなぎ直す方法

よろしければこちらも