「対話」が起こすパラダイムシフト──共創の原点を見つめなおす

🗓️ 更新日:2026年1月22日 テーマ:対話 × 共創

私たちこらぼたうんが実践する「共創マーケティング」の中心には、いつも企業と生活者の“対話”があります。
ここで言う対話は、アンケートや一方向のヒアリングではありません。相手の価値観や感情に触れ、自分たちの前提を揺さぶり直しながら、新しい意味を一緒に見つける時間です。
その瞬間、企業の意思決定や戦略は「改善」ではなく、別の世界へ移るような転換(パラダイムシフト)を起こします。

🧭 3行で結論(忙しい方向け)

  1. 共創の対話は「意見を集める」ではなく、前提を揺らし“意味”を更新する営み
  2. 議論は勝ち負け、対話は理解と探索。共創では差異こそが発想の材料になる
  3. 対話が深まると、商品・戦略・組織の“見方”が変わり、選ばれる理由が育つ

共創における「対話」の本当の力

日常会話と、共創の場で行う対話は似ているようで別物です。共創の対話は、情報や知識に“新しい意味”を与える創造的コミュニケーション。 意味が変わると、意思決定が変わり、戦略が変わり、やがて組織の行動まで変わっていきます。

🧪 会話・ヒアリングで止まると…

  • 「便利」「いいね」で終わり、次の打ち手が見えない
  • 生活者の言葉が評価コメントとして棚に並ぶだけ
  • 結果:企画が“既存の延長”から抜け出しにくい

🔥 対話になると起きること

  • 「なぜ?」を重ねて、背景の価値観が見えてくる
  • “行動の理由”が分かり、設計の焦点が定まる
  • 生活者も企業も、前提を更新できる

例えば生活者が「この商品、便利なんです」と語ったとき。そこで止まれば満足度情報です。 しかし対話を深めて「なぜ便利?」「その便利さは何を助けてる?」「それが叶うと何が変わる?」を掘ると、 背景には“家事を短縮して、家族との時間を増やしたい”のような価値観が立ち上がってきます。

この瞬間、企業が向き合うべき問いは「機能を足すか?」ではなく、“その人の暮らしの何を守り、何を増やすか?”へ変わります。 ここに、共創の対話が生む転換があります。

ポイント: 対話は「答え」を集めるのではなく、問いの質を変える力を持っています。問いが変われば、戦略も商品も変わります。

「議論」と「対話」は似て非なるもの

共創を語る上で、まず整理しておきたいのは「議論」と「対話」の違いです。どちらも必要ですが、共創の原点は“対話モード”にあります。

議論(ディスカッション) 対話(ダイアログ)
目的は「正しさを示す」「意思決定する」 目的は「理解する」「意味を更新する」
結論ありきで進みやすい 結論は開かれていて、探索が中心
相手の主張に反論し、自分の正当性を示す 相手の視点を受け入れ、自分の前提も開く
勝ち負けが残りやすい 共感と納得が残りやすい

議論は「正しさの競争」になりやすい一方、対話は「可能性の探索」です。共創の場では、意見の違いこそが新しい発想の源泉。 違いを“潰す”のではなく、“材料に変える”姿勢が重要です。

💡 共創の現場で起きていること

「相手を説得する」より先に、相手の世界を理解する
その上で、自分の前提も揺らしてみる。
ここから、企業にも生活者にも“見えていなかった価値”が立ち上がります。

対話が生むパラダイムシフトの瞬間

共創の場では、双方の意見を足し合わせただけでは生まれない、まったく新しい視点が誕生します。 それは、対話の中で感情の奥にある価値観が言葉になり、企業の前提が揺らぐからです。

例えば、ある家電メーカーの場で「見られると恥ずかしいから隠す」という声が出たことがきっかけで、 “家電は機能があれば良い”という前提が崩れ、生活空間と調和するデザイン家電という発想が生まれた。 こうした飛躍は、議論よりも、安心できる対話の場で起きやすいのです。

🔍 シフトの前(企業の前提)

  • 価値=機能・性能
  • 売れる理由=スペックの優位
  • 改善=足りない機能を足す

🌱 シフトの後(価値の再定義)

  • 価値=暮らしの中で“どう見られるか”
  • 選ばれる理由=空間と心理の安心
  • 改善=体験のストレスを減らす

この転換は、企業にとって「本当に届けるべき価値とは何か?」という問いを立ち上げます。 対話は、正解を“探す”のではなく、正解の定義を“作り直す”営みでもあるのです。

共創の対話を“起こす”ための設計

対話は、偶然に任せるほど難しくなります。共創マーケティングでは、対話が起きる条件を設計しておくことが大切です。 ここでは、現場で効くポイントを5つにまとめます。

1「結論を急がない」場を宣言する

最初に「今日は決めない。探索する日」と共有すると、発言の質が変わります。

2評価・採点をいったん止める

「それは違う」を封印し、まず「そう感じた背景」を聞きます。安心が生まれます。

3“場面”から入る(いつ・どこで・誰が)

抽象論より、具体の生活シーンから始めると、言葉が立ち上がりやすくなります。

4「なぜ?」を3回、丁寧に

1回目は理由、2回目は価値観、3回目で“守りたいもの”が見えてきます。

5最後に“言葉を一緒に整える”

生活者の言葉を企業側が勝手に翻訳せず、本人と一緒に表現を磨くとブレません。

コツ: 対話が深まると、生活者の言葉は「感想」から企画の判断基準へ変わります。ここまで行くと、企画は強くなります。

対話による“共創価値”の創発

こらぼたうんでは、生活者との対話を通して、単なる「声」ではなく、次のような“設計に使える情報”を引き出します。

🧩 対話で見えてくる3つの要素

  • 使い方のストーリー:購入前後の行動・つまずき・工夫(体験の流れ)
  • 選ぶ意味:なぜそれを選ぶのか/何を守りたいのか(価値観の核)
  • 隠れたインサイト:本人も言語化していなかった“本音”(転換点)

対話によって引き出されたストーリーは、商品企画やブランドコミュニケーションの軸になります。さらに重要なのは、 それが企業だけの発見ではなく、生活者と一緒に見つけ出した価値であること。だから、言葉が強く、伝わり、ぶれにくいのです。

🔁 対話は“関係性の資産”にもなる

共創の対話がもたらすのは、アイデアだけではありません。
「この会社は私たちの暮らしを見てくれている」という信頼が積み上がり、継続的な関係へつながります。

最後に──共創の出発点は「対話」から

かつては「商品を作り、売る」だけで関係が終わっていました。ですがこれからは、企業と生活者が継続的な関係性の中で価値を育てていく時代です。

求められるのは「聞く力」だけではありません。共に考える力、そして気づきを交換する力が、ブランド価値を根底から変えていきます。

対話が創る、関係性から生まれる価値。

それこそが、これからの時代に求められる共創マーケティングの真髄です。

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