「やらされ感」のチームは止まる。「やってみたい人」のチームは提案が止まらない

📌 いちばん言いたいこと

新商品開発や新規プロジェクトは、企画の良し悪しだけで決まりません。
成果を分けるのは、“誰が、どんな気持ちで関わっているか”です。

この記事では、「サイズや色はどう?」のような素朴な違和感を起点に、 商品企画を前に進める巻き込み方進め方の型をまとめます。

こらぼたうんで支援する現場でも、企画・開発担当だけで固めずに、社内から「やってみたい人」に手を挙げてもらうことが多いです。 実際、この方がうまくいきます。理由はシンプルで、“当事者意識の質”がまったく違うからです。

ある案件で印象的だったのは、議論が“仕様の正しさ”に寄り始めたときに、 企画・開発ではないメンバー(女性社員)がふっと投げた生活者目線のひと言でした。

「これ、女性が持つならサイズ感どうなんだろう?」「その色、どうなんだろう?」——。
たった一言で、会議の焦点が「作れるか」から“使われるか”に切り替わり、企画が前に進み始めることがあります。

「やらされ感」があるチームは、表面上は動いているように見えても、意思決定のたびにブレーキがかかります。
失敗を避ける会話が増え、確認が増え、責任の所在が曖昧になり、結果として“前に進むエネルギー”が失われていきます。

反対に「やってみたい人」が集まると、会議の空気が変わります。
目的を自分ごととして捉え、言われなくても気づいたことを持ち寄り、小さく試して学ぶ動きが自然に生まれます。 この“提案の連鎖”こそが、プロジェクトを強くします。

🧩最初に整えるのは「計画」よりも“進み方”です
  • なぜやるのか:目的を短い言葉で共有し、迷ったときの判断軸をつくる
  • いまの課題は何か:「解くべき問い」を揃えて、議論のズレを減らす
  • 小さな参加口:いきなり責任を背負わせず、「一緒に考える」入口を用意する
  • 安心して言える空気:遠慮や忖度ではなく、率直な違和感が出る場を設計する

そして、この“進み方”を現場で迷わず回すために、こらぼたうんではいつもこの順番で整えます。

🧭

こらぼたうん流:支援の型

「計画を詰める」より先に、進め方の土台を揃えると、提案が増え、意思決定が速くなります。

  • 1目的共有
  • 2参加口づくり
  • 3場づくり
  • 4小さく試す
  • 5学びを共有
  • 6次の一手
ポイント: 「完璧に決めてから動く」ではなく、まず小さく試せる形をつくり、学びを共有しながら次の一手へ進めます。 だから、企画・開発以外のメンバー(人事・経理・総務など)の“素朴な違和感”が、強い推進力になります。

たとえそれが人事でも経理でも——。
専門領域が違う人ほど、当たり前を疑う視点を持っています。だからこそ部署の違いが“強み”として働き始めるのです。

まずはこの状態をつくる。ここができると、その先の企画も実行もスムーズになります。
そして次の段階で、「完成したあとにどう広げるか(届けるか)」の設計に進むと、同じプロジェクトでも結果が変わってきます。

🚦チームが「止まりかけている」サイン(当てはまるほど要注意)
  • 会議や資料は増えるのに、意思決定が進まない
  • 「確認しておきます」「持ち帰ります」が増えて、次の一手が曖昧
  • 反対意見が出ない(沈黙が多い)=本音が出にくい空気になっている
  • 「誰が責任を取る?」が先に立ち、試す話が後回しになる
  • 「前例」「過去のやり方」の話が増え、選択肢が狭まる

こういうときは、計画を詰めるより先に、「なぜやるのか」「小さく試す場」を整えると動き出しやすくなります。

🗣️「やってみたい人」を増やす声かけテンプレ(そのまま使えます)
  • 「週1回30分だけ、一緒に眺めてくれる人いませんか?専門知識は不要です」
  • 「正解を出してほしいのではなく、違和感だけ教えてほしいです。1回だけでもOKです」
  • 「まず“ちょっと見て”からで大丈夫です。小さく試して、良さそうなら広げましょう」

入口を小さくすると参加者が増え、参加者が増えると提案が増えます。提案が増えると、前に進む力が戻ります。

企画だけじゃ足りない。差がつくのは「完成したあと」

新商品開発は、製品が完成した瞬間に終わったような空気になりがちです。ですが本当の勝負はそこから。「どう売るか」の設計が曖昧だと、どれだけ良い商品でも伸びません。

🧭販売フェーズで詰めるべき4つ
  • どこで売るか(売り場/チャネル/導線)
  • 誰に売るか(ターゲットの再定義)
  • どんな言葉で伝えるか(POP/コピー/説明資料)
  • どう見せて試すか(体験/テスト→改善→再提案)

販売フェーズで光るのは「営業経験がない人」だったりする

面白いのは、完成後に販売の検討を始めたときです。営業に関わったことのない人が、意外な提案をしてくる。しかも、それが刺さる。 その理由はシンプルで、未経験者は良い意味で「今まで」に縛られないからです。

経験がないからこそ出てくる「素朴な問い」が、販売設計の盲点を突くことがあります。

  • 「そもそも、その説明って伝わりますか?」
  • 「売り場で見たら、意味が分からないかも」
  • 「体験してもらった方が早いんじゃないですか?」
  • 「この価値、別の人には自然に刺さりそう」

経験者ほど「これまでのやり方」を守ろうとします。それ自体は悪いことではありません。ですが、前例に寄りすぎると、新しい売り方は生まれにくい。 だからこそ、販売フェーズに入ったら、“未経験者の視点”を意図的に混ぜるのが効きます。

「売る」は営業だけの仕事ではない

売れるかどうかは、営業トークだけで決まりません。言葉・見せ方・試し方・運用——これらは部署を越えた視点が入るほど強くなります。

🤝部署が違うほど「売れる形」に近づく理由

人事は現場の温度感を読み、経理は数字に落ちる設計を見抜き、総務・管理は運用を回す形に整える。CSや現場は生活者の困りごとを知っている。
つまり、巻き込むほどに商品は“完成品”から“売れる形”へ進化していきます。

巻き込む力は「説得」ではなく「参加したくなる入口」をつくること

巻き込む力は、誰かを説得して動かす力ではありません。「自分も関わりたい」が自然に生まれる入口を用意する力です。 こらぼたうんの現場で効果が高いのは、次の3つ。

① 想いを言葉に

「何をやるか」より先に、なぜやるのかを短い言葉で共有する。納得が生まれると、関わり方が変わります。

② 小さな参加

いきなり大きく巻き込まない。「ちょっと見てほしい」「一緒に考えてほしい」など、入りやすい参加口をつくります。

③ 場を開く

部署を越えた対話の場、顧客と試せる機会を設計。人が動くのは「巻き込まれる」ではなく、関わりたくなる瞬間です。

まとめ:完成後こそ、巻き込むと商品は伸びる

  1. 「やらされ感」のチームは止まる。一方、「やってみたい人」のチームは提案が止まらない
  2. 差がつくのは「完成したあと」——販売設計(言葉・見せ方・試し方)で結果が決まる。
  3. 営業未経験者の「素朴な問い」が、前例の壁を越える突破口になることがある。
  4. 巻き込みは説得ではなく、参加したくなる入口と場をつくること。

関連: 👉 寄ってたかってやってみよう。組織横断し寄ってたかって
部署を越えて“寄ってたかって”取り組むと、なぜ前に進みやすくなるのか——実例ベースでまとめています。

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