更新日:2026.01.21
共創マーケティングは、企画・開発で盛り上がった瞬間よりも、発売後に“売り方が変わるか”で勝負が決まります。
その分かれ道が、営業を共創チームに入れるかどうか。たった1〜数人でも、立ち上げのスピードと浸透の深さが変わります。
この記事でわかること
- 営業を共創チームに入れると、発売後の動きがなぜ変わるのか
- 営業が抱えがちな「本音の抵抗」をどう扱うとスムーズか
- 営業を“共創パートナー”に変える3ステップ(現場で使える)
- 導入時に営業部門と決めておきたい3つの合意ポイント
- 最初の一歩を切るための「初動テンプレ(質問・段取り)」
1. なぜ営業を巻き込むと、発売後の動きが変わるのか
共創プロジェクトは、発売してからが本番です。
企画会議で生まれた価値を、実際の顧客に届けるのは営業の言葉と段取りだからです。
「誰に」「どのタイミングで」「どんな言葉で」──この3点の精度が、立ち上がりを左右します。
営業を共創に入れると、アイデアが“提案できる形”に変わります。
さらに参加した営業が、発売後に当事者として動くエンジンになります。
つまり「企画→販売」への橋が、最初から架かる。
1-1 共創で生まれた価値は、営業の“現場翻訳”で売れる
共創セッションで出てくるのは、生活者の文脈・感情・ちょっとした不満です。これはそのままだと「良い話」で終わりがち。
しかし営業が入ると、その場でこうした翻訳が起こります。
翻訳の例(売れる形に変わる瞬間)
- 「この価値は、どの業種・どの担当者に刺さる?」
- 「導入時に止まるのは、稟議?現場オペ?価格?」
- 「先方の一言で言うと、どう言えば伝わる?」
企画の“良さ”が、商談の“通り方”に変換されるのがここです。
1-2 関わった営業は「自分ごと」になる(発売後の牽引役に)
こらぼたうんの現場でも、企画・開発だけでなく営業を1〜数人だけ参加してもらうと、発売後の動きが明らかに変わります。 参加した営業は、こんな状態になります。
✅ 当事者化が起きる“3つの実感”
- 生活者と一緒にアイデアを出し、背景のストーリーを知っている
- 試作や仕様の議論に触れ、「なぜこうなったか」を語れる
- 「自分の一言が、商品のポイントになった」という手触りがある
この状態になると、営業は発売後に“自分の言葉で”提案しはじめます。
そしてそれが、周囲の営業メンバーの空気を変えます(「その商品、何が違うの?」への説明役になる)。
1-3 人数は少数でいい。火種があれば、浸透は始まる
全営業を巻き込む必要はありません。中小企業ほど、少数精鋭で初速を作る方が現実的です。 おすすめは次の形です。
-
1代表1〜数人を“プロジェクトメンバー化”
部門・エリア代表でOK。名前を出し、参加の意味を明確にします。
-
2発売後は「説明役・旗振り役」を担ってもらう
営業会議で5分プレゼン/FAQ回答役/提案資料の改善など、役割を持たせます。
-
3周囲に波及する導線を作る
成功した商談の型を共有し、「次は自分も参加したい」を生みます。
要点3行まとめ
・共創は「発売後」に効く。だから営業が鍵になる。
・営業が入ると価値が“現場翻訳”され、提案に落ちる。
・人数は少数でOK。火種が周囲へ波及していく。
2. 営業の「本音の抵抗」を理解する(巻き込みの前提)
営業が乗ってこないとき、よくあるのは「やる気がない」のではなく、営業側の合理が働いているケースです。 ここを理解しておくと、巻き込みは格段に楽になります。
「お客様、そんな時間取れませんよ」
背景は「嫌われたくない」「関係を壊したくない」。 依頼の言い方と、負担の設計が見えないと止まります。
「そんなことより、今月の売上が…」
共創=中長期、評価=短期のギャップ。 “目先の数字”を否定すると反発が起きます。
「現場の声なんて、どうせ活かされない」
以前の「協力したのに報告なし」が原因。 次に協力するには、反映の証拠が必要です。
「うまくいっても、自分の評価にならない」
静かな本音。ここを放置すると“様子見”になります。 「関わること自体が評価される」仕組みが必要です。
ここがポイント(先に“安心”を作る)
営業の抵抗は「反対」ではなく、事故回避のサインであることが多いです。
だから巻き込みの第一歩は、説得ではなく不安の設計を潰すことから始めます。
要点3行まとめ
・営業の抵抗は“合理”として理解すると解けやすい。
・「負担」「短期評価」「反映されない経験」「評価不安」が主因。
・説得より先に、“安心の設計”を作るのが近道。
3. 営業を“共創パートナー”に変える3つのステップ
抵抗を踏まえたうえで、こらぼたうんでは次の3ステップをおすすめしています。 ポイントは「営業を説得する」のではなく、営業が自分から動ける構図を作ることです。
ステップ1:営業がすでに持っている“現場の知恵”を取りに行く
最初にやるべきは「共創の説明」ではありません。
営業が日々の現場で感じていることを取りに行き、「それが企画のスタート地点になる」構図を作ります。
✅ 最初の30分で使える質問例
- 最近、お客様の反応で「ひっかかった一言」は?(嬉しい/困る/違和感)
- 比較される相手は誰?そのとき、お客様は何を基準にしてる?
- 値引きに寄ってしまう商談は、どこで“決め手”を失ってる?
- 「うちならではだな」と思う瞬間は?(現場・納品・対応・運用)
コツ:営業の言葉を“そのまま”残す
「要約」より、まずは原文で書き出します。
「この一言が大事ですね」と返すと、営業は“理解された”と感じ、協力モードに入ります。
ステップ2:「売上」ではなく「お客様の成功体験」を共通ゴールにする
共創の目的を「売上アップ」で語ると、営業の頭には「値引きやキャンペーンで良いのでは?」が浮かびやすくなります。
そこでゴールを、営業の日常にある“喜び”に置き換えます。
売上 → 成功体験
「ありがとうが増える」「提案が通る」「紹介が起きる」など、営業の実感に接続します。
値引きで勝つ → 体験で選ばれる
“勝ち方”を変える取り組みだと伝えると、共創は「手間」ではなく「武器」に変わります。
ステップ3:少数の営業に“当事者体験”をしてもらい、発売後の牽引役にする
最後はここです。少数でもいいので、営業に当事者体験をしてもらう。
具体的には、次のいずれかを「一回でも」踏ませます。
-
A生活者セッションに同席
「現場のリアル」を一緒に聞く。営業の“肌感”が変わります。
-
B試作品・仕様の議論に参加
「なぜこの仕様なのか」を語れるようになると、提案の強さが変わります。
-
C提案トークを一緒に作る
“刺さる1行”と導入の段取り(稟議・運用)を先に潰します。
ここが肝心(少数でOKな理由)
最初から全員を巻き込む必要はありません。
1〜数人が本気で動く → 成功の型が共有される → 次が増える。この順番が一番速いです。
要点3行まとめ
・ステップ1は説得ではなく、営業の“知恵”を取りに行く。
・ステップ2は売上ではなく「成功体験」を共通ゴールにする。
・ステップ3は少数に当事者体験を作り、発売後の牽引役にする。
4. 導入時に営業部門と決めておきたいこと(事故を防ぐ)
共創導入でつまずきやすいのは「良い場ができたのに、日常業務に吸収されて消える」パターンです。
それを防ぐために、営業部門と次の3点を先に言語化しておくとスムーズです。
✅ 事前に決めておく3つの合意
- 役割分担:顧客候補の選定/セッション設計/検証・提案をどこまで誰が持つか
- 負担設計:参加回数・期間の上限(例:プロジェクト期間中に2回だけ)を最初に決める
- 反映と見える化:「出た声がどう活かされたか」を社内に必ず返す(報告の型を作る)
営業が嫌がるのは“共創”ではなく、終わりの見えない追加業務です。
期間と回数を区切るだけで協力が得やすくなります。
「関わっても評価されない」が残ると様子見になります。
関与者の名前を出す/社内発信する/面談の話題にするの3点は効きます。
要点3行まとめ
・共創は“日常に吸収されて消える”事故が起きやすい。
・役割分担/負担設計/反映の見える化を先に合意する。
・特に「評価につながる」設計があると、参加が続きやすい。
5. すぐ使える:初動テンプレ(質問例・30分打ち合わせ)
「営業を巻き込む」と決めたら、まずは30分の打ち合わせを一本入れてください。
目的は“共創の説明”ではなく、現場の知恵を集め、最初の参加設計を決めることです。
-
10分|現場の事実を出す
「最近の商談で止まった理由」「比較される相手」「刺さった一言」を箇条書きで。
-
10分|“成功体験”を言語化
値引き以外で勝てた商談は何が起きた?「ありがとう」が出た瞬間は?
-
10分|参加設計を決める
代表者(1〜数人)/参加回数/やること(同席・試作・提案トーク作り)を決める。
ミニ宿題(次回までに集める3点)
- 営業が覚えている「顧客の一言」3つ(できれば原文)
- 値引きに流れた商談の“止まりポイント”(稟議/運用/比較軸)
- 勝てた商談の“勝ち筋”(誰/何が決め手/どう伝えた)
これだけで、共創セッションの設計精度が一段上がります。
要点3行まとめ
・初動は“共創の説明”ではなく、現場素材を集める。
・30分で「事実→成功体験→参加設計」を決める。
・次回までの素材が増えるほど、共創の精度は上がる。
6. まとめ:まずは「一人の営業」と「一つのテーマ」から
結論
共創マーケティングを“売れる活動”に変える最短ルートは、営業を少数でもいいから仲間にすることです。
企画・開発の熱量が、発売後に現場で伝わる言葉と動ける段取りへ変換されます。
✅ 本記事のポイント
- 共創は発売後に効く。だから営業が鍵になる。
- 営業の抵抗は“合理”。負担設計・短期評価・反映・評価不安を潰す。
- 巻き込みは「知恵を取りに行く→成功体験を共有→当事者体験」の3ステップ。
- 最初は1〜数人で十分。火種が周囲へ波及していく。
いきなり全社を巻き込む必要はありません。まずは、信頼できる営業を1人、そして一つの共創テーマから。
それだけでも、営業会議の空気や、商談の“勝ち方”は少しずつ変わっていきます。
共創を「現場で売れる」まで伴走します
企画と営業が分断される/発売後に動きが鈍い/提案が値引き頼み…という場合、
営業を共創チームに入れる設計と発売後の立ち上げ運用を整えるだけで、成果が出やすくなります。
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