あなたの会社にもできる!共創マーケティングで見つける新たな価値

実務の進め方(顧客参加型の商品企画・商品開発)は こちら(5ステップ+WS設計)に集約。 本ページでは「共創の基本・背景・効果」をかんたんに整理します。

はじめに:なぜ今、共創なのか?

「最近、顧客との関係が以前よりも浅くなった気がする」「新しい商品を出しても反応が鈍い」。そんな声を多くの中小企業から聞きます。

これは、単に商品の魅力が足りないという問題ではなく、時代そのものが「企業が作ったものを売る」というモデルから、「生活者と一緒に価値をつくる」モデルへ移行している兆しかもしれません。

近年、企業と顧客の関係性に変化が起きています。これまでのようにテレビCMやチラシで一方的に情報を発信するだけでは、もう人の心を動かすことが難しくなってきています。

SNSの浸透、レビューサイトの増加、コミュニティの台頭。こうした環境の変化のなかで、顧客が発信者であり、価値の共創者になっているのです。

このような背景から、いま改めて注目されているのが「共創マーケティング」という考え方です。企業と生活者、企業とパートナー、企業と地域が協力し、対等な関係のなかで新しい価値を生み出す仕組みです。

たとえば昔は、お客さんの声を聞いて改善していくのは当たり前でした。商店街の八百屋さんが「今日は大根が安いよ」と会話しながら販売し、お客さんから「この前のカボチャおいしかったよ」と感想をもらい、それを次の仕入れに活かす。これも立派な共創です。

つまり、共創というのは新しいものではなく、昔ながらの商売の“人との関係性”を、現代のビジネスに再構築する考え方でもあるのです。

さらに最近では、テクノロジーの発展によって、地理的・時間的な制約を超えて共創ができるようになっています。ZoomやSNS、クラウド上のアイデアボードなど、さまざまなツールが共創の可能性を広げています。

共創マーケティングは、売るための手段ではなく、“誰と、どんな関係を築きながら、何を生み出していくか”を大切にするマーケティングです。これからの時代、企業規模を問わず、その発想は欠かせないものになっていくでしょう。

共創マーケティングとは?

一緒につくる、新しい価値のかたち

共創マーケティングとは、顧客、社員、地域、取引先など、企業を取り巻くさまざまな人々とともに価値を創り上げていくマーケティングの手法です。

従来のマーケティングは「企業が調査→企画→製造→販売」という一方通行の流れでした。それに対し共創マーケティングでは、企画段階から顧客を巻き込み、アイデアを一緒に考えるという点が大きな違いです。

顧客は単なる“買い手”ではなく、“参加者”であり、“共犯者”であり、時に“提案者”でもあります。

その結果、商品やサービスは、企業目線ではなく顧客の視点と融合したものになり、強い納得感と愛着をもたらします。

共創の具体的なアプローチ

  • アイデア段階からのユーザー参加(インタビュー・共創ワークショップ)
  • プロトタイプへのフィードバックを通じた製品改善
  • SNSを使ったネーミング募集やアイデア投票
  • 地域や団体との共同開発(地域創生×企業の知見)
  • 新入社員や学生など、社外の“まだ気づいていない視点”の活用

また、BtoBの分野でも、得意先企業と共に「業務効率改善ツール」を共同開発し、自社製品として展開するケースもあります。

“共創”と“共感”の違い

しばしば混同されるのが「共感マーケティング」との違いです。

共感は、あくまで“理解し寄り添うこと”ですが、共創は“実際に一緒に作り上げること”です。アクションの有無が最大の違いです。

共創マーケティングは、「つながる」ことだけでは終わらず、「行動する」「生み出す」「変えていく」ことを通じて、より深い価値の創出につながります。

なぜ共創が必要なのか

市場環境の変化と「選ばれない時代」

大量生産・大量消費の時代が終わりを迎え、今は「選ばれる理由」がなければ生き残れません。

その選ばれる理由の1つが、顧客との共感やストーリー性、参加型の体験にあるのです。

商品やサービスの機能が似通ってきた現在、単なるスペック競争だけでは差別化が難しく、顧客が選ぶ基準も「何を買うか」から「誰から買うか」「どう共感できるか」へとシフトしています。

顧客が“価値の共創者”になる時代

スマートフォンとSNSの普及により、誰もが発信者となれる現代。企業だけが情報を発信するのではなく、顧客自身がブランドの体験を語り、広める存在となっています。

特にミレニアル世代やZ世代は、「自分が関われるか」「自分らしさが表現できるか」に敏感であり、共創的な取り組みに強く反応します。

商品開発に参加したい、アイデアをシェアしたい、キャンペーンの舞台裏に触れたい――そんな気持ちに応えられる企業だけが、信頼と共感を勝ち取れるのです。

内向きから外向きへ:組織変革のきっかけ

共創の必要性は、顧客との関係だけでなく、社内文化の観点からも重要です。

縦割りの部署間連携が取れない、現場と企画の温度差がある、経営と現場が乖離している──こうした課題を抱える企業は少なくありません。

共創的な取り組みは、部門や役職を越えた「目的共通化」を生み出し、社員同士の対話と協働の機会を生み出します。

ビジネスだけでなく社会課題の解決にも

気候変動や少子高齢化、地域の過疎化など、現代社会には複雑な課題が山積しています。

これらを解決するには、企業だけの力では不十分。自治体、NPO、市民などとの「共創的な連携」が求められています。

共創は社会的意義と経済的成果を両立する新しいビジネスのあり方でもあるのです。

共創のメリットと現場の変化

メリット1:顧客ロイヤリティの向上

共創に参加した顧客は、「自分もその商品を作った一員だ」と感じ、より強い愛着を持つようになります。

これはロイヤリティ(継続購入意向)を高める効果があり、ファンコミュニティづくりにもつながります。

「自分の意見が反映された」と感じる顧客は、その商品を周囲に語り、自然な口コミを発生させてくれます。これは広告以上の影響力を持ちます。

メリット2:ニーズに即した商品開発

開発段階から顧客の意見を取り入れるため、市場とのギャップが小さく、売れ筋商品が生まれやすくなります。

実際にある家電メーカーでは、ユーザーから直接「使いにくいポイント」を集めて改良したところ、再購入率が大幅に上昇しました。

共創は、直感や仮説ではなく、リアルな声をもとに進められるため、市場性の高い製品開発に直結します。

メリット3:社員のエンゲージメント向上

社内においても、共創による現場参加型の取り組みは、社員の主体性を引き出します。

商品企画担当者だけでなく、販売員、サポートスタッフ、製造現場の社員までが、共創のプロセスに関わることで、自社の顧客をリアルに感じられるようになります。

これは「自分たちが作っているのは単なる製品ではなく、お客様との信頼だ」という意識を芽生えさせ、離職率の低下にもつながります。

メリット4:企業文化の変革

共創を継続していくと、社内の風通しや意思決定のスピードにも良い影響が出てきます。

部署を超えた連携が必要になることで、部門間の壁がやわらぎ、「うちの部署には関係ない」という考えが減っていきます。

共創は、単なる外向けの施策ではなく、企業文化の“見直し”を自然に促す起爆剤にもなるのです。

共創をどう始める?(要点まとめ)

  • 小さく始めて試す(30–60分の小さな対話)
  • 参加者の選定と心理的安全性の設計
  • 試作→検証→改善の反復を素早く

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まとめと次の一歩:共創をはじめるために

ここまで読んでくださったあなたは、すでに共創に対する意識が芽生えているはずです。共創マーケティングとは、ただの戦略ではありません。それは「誰と一緒に価値をつくっていくか」という企業姿勢の現れです。

もちろん、共創には時間も手間もかかります。一方通行の販促活動よりも労力は必要です。しかし、その分、顧客との信頼関係や深いつながり、企業としての“らしさ”が確実に育まれていきます

まずはここから始めましょう

  • ✅ 自社の商品・サービスに「共創できそうな余地」があるかを考える
  • ✅ 社員や取引先、顧客との“雑談の機会”を意識的に増やしてみる
  • ✅ 試作品やアイデアを見せて、フィードバックをもらう機会をつくる
  • ✅ 小さな共創でも、社内で共有し「うまくいった体験」として残す

最初は一人でも、あなたの行動が周囲を変え、組織を変え、顧客との関係を変えていきます。たった一人の挑戦が、企業と社会の未来を変える力になる。それが共創マーケティングの本質です。



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あなたの会社は“共創型”?それとも“旧来型”?

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こんなお悩みに当てはまる方へ

  • 顧客との関係が“売る・買う”だけで終わっている
  • リピーターやファンが定着しない
  • 競合との差別化に限界を感じている
  • 新しい商品やサービスのヒントが社内から出てこない

この診断でわかること

あなたの会社に共創マーケティングを活用できる素地があるのか、全10問で「共創の成熟度」を診断します。

結果に応じて、3つのタイプに分かれ、どのようなアクションを取るべきかが明確になります。

▼ 診断スタート

1. お客様の声を商品やサービスに反映していますか?




2. 社員が自社の商品・サービスに誇りを持っていますか?




3. 部署を越えた顧客視点の議論は社内で行われていますか?




4. お客様の声を定期的に収集し、改善につなげていますか?




5. 顧客と一緒に商品やサービスをつくるような取り組みがありますか?




6. 競合他社と差別化できていると感じますか?




7. 開発段階で社外の声を取り入れる仕組みがありますか?




8. 自社ファンやリピーターとのつながりを活かしていますか?




9. 現場や顧客の声が経営判断に活かされていますか?




10. お客様と“楽しみながら一緒に何かをつくる”体験がありますか?




診断結果

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中小企業の「共創マーケティング導入」や「成果活用」に役立つ資料を複数ご用意しています。必要なテーマだけを選んでダウンロードできます。

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自社の状況をお聞きしながら、「共創マーケティングをどう取り入れるか」を一緒に整理します。10分だけの相談でも大歓迎です。

📘 全体像を体系的に学ぶなら

価値共創マーケティング(ピラー記事)
共創の基本・導入ステップ・実践事例をまとめた解説ページです。

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