企画がヒットしないのは“想定顧客”が間違っているから|共感リサーチで「伝わる企画」へ

この記事は価値共創マーケティングの全体像(基本・ポイント・導入法)の実践パートです。全体像を押さえてから実践に進みたい方は上記をご覧ください。

🕒 更新日:2025-10-29
共感リサーチ × 企画の伝達力

「良い企画のはずなのに、なぜか響かない」「会議は通るのに市場で動かない」──。
その原因は、アイデアの質ではなく“想定顧客”のズレかもしれません。
本記事では、属性ではなく“状況(文脈)”で顧客を捉え直し、共感リサーチで「伝わる企画」へ変える実務の流れを整理します。

1. 企画が外れる本当の理由:想定顧客のズレ

企画がヒットしないとき、つい「コンセプトが弱い」「差別化が足りない」と言われがちです。
でも現場でよく起きているのは、もっと手前の問題──「誰の、どの瞬間を助ける企画なのか」がズレていることです。

起きがちなこと

“理想の顧客”で企画してしまう

会社にとって都合のいい顧客像(理解が早い/品質を分かってくれる/高くても買う)で設計すると、現実の棚前で置いていかれます。

見落とし

“買う人”と“使う人”が違う

B2Cほど多いズレです。購入者・使用者・意思決定者がズレると、訴求がぼやけます(例:家族・職場・ギフト)。

要点3行まとめ

・企画のズレは、アイデアより先に「誰のどの瞬間」がズレていることが多い。

・属性ターゲットではなく、状況(文脈)ターゲットを押さえる。

・買う人/使う人/決める人のズレがある前提で設計する。

2. よくある“想定顧客”の勘違い(ズレ診断)

想定顧客は、きちんと設定している“つもり”でもズレます。
ここでは、企画が迷子になる典型パターンを診断表にしました。

ズレの兆候
会議で「それ、誰向け?」が何度も出る/訴求が増えていく(全部盛り)
原因
属性で止まっていて、状況(いつ・どこで・何が困る)が特定できていない
対処
「困っている瞬間」を1つ決める(例:朝の支度/帰宅直後/片付け中/棚前で迷う瞬間)
ズレの兆候
商品説明は伝わるのに、購入理由が弱い/「いいね」で終わる
原因
顧客の代替(今どうやって解決しているか)を押さえていない
対処
代替(我慢・工夫・別商品・人に頼む)を書き出し、「なぜ今それを選ぶのか」を聞く

コツ:想定顧客は“人物像”より“状況像”から作る

「30代女性」より、「帰宅後に子どもがぐずり、夕飯を急いで作りたい瞬間」の方が、企画も言葉も具体になります。

3. 共感リサーチとは何か:アンケートで埋まらない穴

アンケートや定量データは、全体傾向を掴むのに便利です。
ただし、企画を「伝わる形」にするには、数では拾えないものが残ります。

アンケートで拾いにくい

言葉になっていない不便

本人も「困っている」と自覚していないストレス。だから質問しても出てこない。

共感リサーチが拾う

行動・順番・ためらい

棚前で迷う順番、手に取って戻す、家での手間、家族とのやりとり。ここに“伝わる企画”の材料があります。

✅ 共感リサーチで見る4点(現場で使える)

  • 状況:いつ・どこで・誰と・何をしている最中?
  • 代替:今はどうやって凌いでいる?(我慢・工夫・他商品・人に頼む)
  • 感情:イラッ/ホッ/罪悪感/嬉しい…どこで動いた?
  • 言葉:本人の口から出た“そのままの一言”(ここが訴求の核)

要点3行まとめ

・共感リサーチは「質問」より「状況×行動×感情」を掴む。

・代替を押さえると、購入の成立条件が見える。

・本人の“そのままの一言”が、刺さる訴求になる。

4. 「伝わる企画」へ変える3ステップ

ステップ1:顧客を「人物」ではなく「困っている瞬間」で切り取る

まずは、商品が助けるべき瞬間を1つに絞ります。
棚前/使用中/片付け/再購入など、“動きが出る場面”が起点です。

ステップ2:「代替」と「ためらい」を見つける

その瞬間、顧客はすでに何かで凌いでいます。ここを押さえると、何を越えれば買われるかが見えます。
さらに「迷い(ためらい)」を掘ると、訴求の順番が決まります。

ステップ3:刺さる1行を作り、現場で小さく確かめる

最後に、顧客の言葉をベースに“刺さる1行”を作ります。
そして小さく検証(POP/説明トーク/簡易サンプル/価格)して、反応を見ながら磨きます。

この一文が作れると強い

(誰が) (どの瞬間に) (何に困っていて)、これなら(どう助かる)
──この“状況の文章”が、企画と訴求を同時に強くします。

5. 社内で詰まりやすい論点と、突破のコツ

想定顧客の見直しは、正しいほど社内で摩擦が起きます。
よく詰まるポイントと、現場で効く処方をまとめます。

詰まり

「ターゲットを絞ると市場が小さくなる」

絞るのは市場ではなく「困っている瞬間」です。瞬間が刺さると、結果的に広がります。

処方

まず“立ち上がる瞬間”を決める

立ち上がった後に横展開(別シーン/別ターゲット)する順番が、最短ルートです。

✅ 会議で効く問い(このまま使えます)

  • その人は、いつ・どこで困っている?(場面を言える?)
  • 今は何で代替してる?(我慢/工夫/別商品/人に頼む)
  • 棚前で迷うなら、何が怖い?(失敗・損・手間・家族の反応)
  • 買った後に「続く理由」は何?(習慣化の条件は?)

6. まとめ:想定顧客を直すと、企画は自然に強くなる

企画がヒットしないとき、答えは「もっと尖らせる」ではなく、“誰のどの瞬間”を正しく捉えることにあるケースが少なくありません。
共感リサーチで生活文脈を取り戻すと、企画は自然に「伝わる形」に整っていきます。

要点3行まとめ

・ズレるのは顧客像ではなく「困っている瞬間」。そこを特定する。

・アンケートでは拾えない“行動・感情・代替”が、刺さる企画の材料。

・最後は刺さる1行を作り、小さく検証して磨き上げる。

「想定顧客のズレ」を直す共感リサーチを、一緒に設計できます

企画は良いのに響かない/訴求が増えて“全部盛り”になる/会議で「誰向け?」が止まらない…という場合、
状況ターゲット(困っている瞬間)と、刺さる1行の作り方を整えるだけで、企画の通り方と売れ方が変わることが多いです。

※ 既存企画の「想定顧客の再設計」だけでもご相談できます(企画を捨てずに、当てにいく方向へ)。

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