顧客は商品の機能や性能だけでなく、その商品を使うことで暮らしや仕事がどう変わるかも見ています。商品そのものと、その先にある体験価値を一緒に考えることが、選ばれる理由を見つける手がかりになります。
顧客は、商品を使って何を実現したいのか
商品を選ぶとき、品質、性能、価格、デザインはもちろん重要です。しかし、それだけでは説明しきれない選択もあります。
例えば、ある洗剤を買う理由は、汚れを落とす性能だけとは限りません。短時間で掃除を終えたい、失敗したくない、気持ちよく新しい一日を迎えたい。こうした使用する場面と、その先にある目的も選択に関わります。
企業が商品説明を工夫しても伝わらないときは、「何が優れているか」に加えて「誰の、どんな場面で、何の役に立つか」を確かめてみる価値があります。
例えば「上履き」を洗う場面で考えてみる
新学期や行事の前日。子どもの上履きを洗ってみたものの、思うように汚れが落ちない。店頭には洗剤や漂白剤などが並び、成分や用途が詳しく書かれています。
でも、その人が本当に知りたいのは「今の上履きにはどれが適しているのか」「手間をかけすぎず、安心して準備できるのか」ということかもしれません。
商品の特徴から伝える
成分、洗浄力、容量、使用方法など、商品そのものの情報を紹介する。
生活者の場面から伝える
新学期前の準備、使える素材、洗い方への不安など、選ぶときに必要な情報も伝える。
例えば、こんな案内ならどうでしょう「新学期の準備を、少しでも気持ちよく。子どもの上履きをきれいにしたい。できれば時間も手間もかけたくない。そんな毎日の小さな困りごとに寄り添う商品です。」
これは説明用に考えた表現です。実際の店頭では、共感を呼ぶ言葉だけでは十分ではありません。素材への適合性や使い方、期待できる効果など、商品として確かめられた事実も合わせて伝える必要があります。
ここで大切なのは、生活者の目的を企業側で決めつけないことです。同じ上履きでも、汚れ落ちを優先する人、手間を減らしたい人、素材への影響が気になる人がいます。
「商品」と「実現したいこと」を一緒に考える
商品・サービスは、生活者が何かを実現するための手段になり得ます。一方で、目的がわかっても、商品の品質や価格、買いやすさが伴わなければ選ばれるとは限りません。目的と手段の両方を確かめることが重要です。
「価値は使う中で生まれる」という考え方(SDL)商品を使う場面と体験価値の関係を、もう少し深く知りたい方へ。
生活者と一緒に考えると、企業側の見方も変わる
企業が考える「商品の良さ」と、生活者が感じている「助かる理由」は、必ずしも一致しません。
だからこそ、生活者の使用場面を観察したり、実際に使いながら話し合ったりすることに意味があります。対話の中で、企業にとって当たり前だった特徴が、実は大切な価値だったと気づくこともあります。逆に、自信を持っていた機能が、それほど重視されていないとわかる場合もあります。
共創は、生活者の言葉をそのまま商品や広告に反映する作業ではありません。生活者と企業が一緒に考える中で、新しい気づきを得て、商品・サービスの企画、使い方、伝え方を見直していく取り組みです。
そこで企業担当者自身の考え方や判断が変われば、今回の一商品だけでなく、次の商品・サービスを生み出すときにも、その経験が生きてきます。
生活者インサイトの発見方法言葉だけでなく、行動や状況から気づきを見つける考え方を紹介しています。
商品が選ばれる理由を考える3つの視点
1. どんな場面で役に立つのか
「誰が、いつ、何に困っているのか」を具体的に捉えます。企業が想定していた用途と、実際の使われ方に違いがないかを確かめます。
2. 選ぶ前にどんな不安があるのか
「本当に使える?」「失敗しない?」「手間は増えない?」など、購入をためらう理由を探ります。説明不足だけでなく、商品自体の改善が必要なこともあります。
3. 使い始めから使い終わりまでどう感じるのか
購入して終わりではありません。準備、使用、片付け、再購入までの体験をたどり、負担や喜びが生まれる瞬間を確かめます。
こうして見えてきたことを、商品仕様やサービスの仕組み、パッケージ、POP、説明方法などに反映していきます。どこを変えるかは、生活者と企業が確かめた内容によって異なります。
自社の商品・サービスを見直すための問い
- 私たちは、商品の特徴ばかり説明していないだろうか。
- 生活者が実際に使う場面を、最近見たり聞いたりしただろうか。
- 購入前の迷いや、使用後の小さな不満を把握できているだろうか。
- 生活者との対話で得た気づきを、社内で検討する機会があるだろうか。
- 「企業が伝えたい価値」と「生活者が感じる価値」の違いを確かめているだろうか。
すべてを一度に変える必要はありません。まずは一つの商品・サービスについて、生活者がどんな場面で利用しているのかを確かめるところから始めてもよいと思います。
共創マーケティング、まず何から?(入口ガイド)生活者と一緒に考える取り組みを、具体的に検討したい方へ。
まとめ:商品の先にある価値を、一緒に確かめる
商品の機能や性能は大切です。それと同じように、その商品・サービスが生活者のどんな場面で役立ち、どのような体験につながるのかを理解することも大切です。
企業だけでは気づきにくいことも、生活者と一緒に考えることで見えてくる場合があります。その気づきが、商品・サービスだけでなく、企業担当者のものの見方を変えていく。そこにも共創の価値があると考えています。
商品の良さが、なかなか伝わらないと感じていませんか?
「商品の特徴には自信があるのに、なかなか選ばれない」「生活者が本当に求めている価値を知りたい」。そんな課題も、生活者の視点から一緒に考えることができます。
商品・サービスの企画や改善、伝え方の見直しなど、まだ方向性が決まっていない段階でもご相談いただけます。
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