守秘義務が強すぎると、共創は“安全”になる代わりに“弱く”なります。
この記事では、オープンイノベーションとしての共創を成立させるための「線引き」と「段階管理」を、企業×生活者の実務目線で整理します。
企業×生活者の共創は、基本はオープンイノベーションであってほしい。
生活者の発想は“日常で育つ”。家庭や友人との会話が、アイデアの解像度を上げる。
「全部開く/全部閉じる」ではなく、情報の線引きと段階管理で両立する。
1. 守秘義務が共創を“冷やす”瞬間
「生活者の本音がほしい」「現場のリアルを知りたい」——そう言って共創を始めるのに、契約段階で強すぎる守秘義務(NDA)が前に出ると、場の空気は一気に変わります。
よくある“冷却”サイン
- 参加者が「これは言っていいのかな?」と様子見になる
- 家庭や友人に相談できず、気づきが育たない
- 結果として“無難な意見”だけが残り、創発が起きない
共創の現場で必要なのは、正解探しのコメントではなく、少しラフで体温のある生活の言葉です。過度な守秘は、その一番大切な部分を削いでしまうことがあります。
- 強いNDAは、参加者の発言を慎重にしやすい
- 「日常で育つ」アイデアの伸びしろを奪う
- 共創が“安全”になる代わりに“弱く”なる
2. 価値共創の本質はオープンイノベーション
価値共創マーケティングは、社内だけでは見えない“外の知”を取り込み、価値へ育てていく取り組みです。つまり、根っこはオープンイノベーションの実践にあります。
共創とNDAの“矛盾”をどう扱うか、背景整理と現実的な解き方がまとまっています。
ここで大事なのは、「秘密を軽視しよう」という話ではありません。 ポイントは、全部開く/全部閉じるの二択にしないこと。
鍵はこの一文
“線引き(何を開き、何を守るか)”と、“段階管理(いつ開き、いつ守るか)”で両立する。
- 価値共創はオープンイノベーションの実践
- 守るべき情報はあるが、閉じすぎると共創が止まる
- 「線引き」と「段階管理」で矛盾を解く
3. 企業×生活者の共創は、なぜオープンが強いのか
こらぼたうんでは、生活者と共創を行う際、企業側に「参加者へ強い守秘義務を約束させる」よりも、できるだけオープンに設計することを提案することがあります。
アイデアは“その場”より“日常”で育つ
生活者の強みは、専門知識よりも生活の文脈にあります。
家庭での会話、友人との雑談、買い物の現場での気づき……その積み重ねが、アイデアを具体化・現実化します。
主婦のネットワークが「現実の買い方」を連れてくる
持ち帰りOKにすると、参加者は家族や友人に自然に相談します。
主婦のネットワークは広く、さまざまな場で「本音」や「実際の買い方」を聞くことができます。
その“生活の中で集まった声”を次のセッションで共有してもらうと、仮説が現実に接続され、企画の方向が一気に定まりやすくなります。
- その場の意見 → 日常で検証された“行動の事実”へ
- 「誰が・どこで・どう買うか」が見えると、意思決定が速くなる
オープン設計が生む、いい連鎖
- 「話していい範囲」がある → 参加者の思考が日常に広がる
- 雑談や相談で視点が増える → アイデアの解像度が上がる
- “生活者の言葉”が増える → 企画・売り場・コピーに転用しやすい
マーケティングの勝負は「アイデアの断片」では決まりません。 誰が、どの文脈で、どう解釈し、どう実装するか。価値に変えるプロセス設計こそが差になります。
- 生活者の発想は“日常で育つ”
- 共有可能な余白が、気づきの量と質を増やす
- 勝負は断片ではなく“実装までの設計”
ここで大事なのは、「オープン=何でも話していい」ではないという点です。
NDA(守秘義務)は“全部を閉じるため”ではなく、コアだけを守って「安心してオープンにする」ために使います。
その線引きを、まず“2つの軸”で整理します。
ポイントは、探索〜検証フェーズは「素材(本音・文脈・アイデア)」を開くこと。
その代わり、事業化検討以降は「中核(コア技術・機密数値・未発表計画)」を必要最小限でクローズします。
「全部クローズ」でも「全部オープン」でもなく、線引きして“開きながら守る”のが共創を前に進めます。
実務で迷わない「運用ルール」3つ
- 個人が特定される情報は共有しない(体験談は匿名化/属性はぼかす)
- 数値は“レンジ化”する(原価・価格・売上などは範囲で扱う)
- コアは最後まで出さない(詳細仕様・技術・未発表計画は原則クローズ)
※この3つを先に合意すると、参加者は安心して本音を出しやすくなり、企業側もリスクをコントロールできます。
5. 「基本オープン」を成立させる線引き(マトリクス)
企業×生活者の共創で扱う情報は、最初から全部を同じ“秘密”として扱わない方がうまくいきます。 何をオープンにし、何を段階開示にし、何をクローズにするかを整理するだけで、共創の自由度は大きく上がります。
日常に持ち帰って育ててほしい領域
- 体験(使い方/買い方/迷い方)
- 困りごと/不満/期待
- アイデア(仮説・改善案・こうだったら嬉しい)
事業化検討で必要な範囲だけ
- 一部の仕様情報(理解に必要な範囲)
- 価格・原価に関わる情報(抽象化して共有)
- 数値情報(匿名化・範囲化した形)
競争優位のコア情報
- コア技術/詳細仕様
- 機密数値・社外秘資料
- 特定可能な情報(社名、案件名、未発表計画)
さらに効く:段階管理(フェーズで公開レベルを変える)
着想〜探索はオープン寄りに。
事業化見込み以降は必要最小限でクローズへ。
この切り替えがあるだけで、企業側の安心感と、共創の熱量を両立しやすくなります。
- 情報は「共有OK/段階開示/クローズ」に分ける
- 着想期は開き、事業化期は必要最小限で守る
- 線引きがあると、心理的安全性が上がる
6. 実務で回る:オープン共創の6ステップ
「理念としては賛成。でも、どう運用すれば?」という声に対して、現場で回りやすい形に落とすと、次の6ステップが基本になります。
- 目的を一文化:何を明らかにし、何を決める共創なのか
- 情報分類:共有OK/段階開示/クローズを簡易マトリクス化
- 開示ポリシー(A4一枚):共有範囲・禁止事項・記録方法・持ち帰り可否を明文化
- 共創の心得:尊重・傾聴・非難しない・無断転用しないを冒頭3分で共有
- 契約/同意の現実化:生活者の責任限定/段階開示/成果物の扱いを適正化
- 事後ケア:採用アイデアの報告・謝意・次回招待で関係性を循環
ここまで用意できると、守秘は「縛る」道具ではなく、安心して開ける場を守る道具になります。
- 目的→線引き→A4ポリシーで、現場は動きやすくなる
- 心得の共有で、心理的安全性を担保できる
- 最後は事後ケアが“共創の文化”をつくる
7. コピーして使える:開示ポリシー(A4一枚)
企業×生活者の共創では、「長い契約書」よりも、参加者が迷わない短いルールの方が効くことがあります。
以下は、そのままコピーして微調整しやすい雛形です。
▶ 雛形をひらく(コピーOK)📋 そのまま使える
※社名・商品名・具体数値など、特定につながる情報は「クローズ」扱いにするのがおすすめです。
- 長い契約書より「迷わない短いルール」が効く場面がある
- 持ち帰りOK領域を明確にすると、日常でアイデアが育つ
- クローズ情報は“特定性”と“中核性”で整理する
8. チェックリスト:共創の熱量を守る5つの観点
この5つを満たすと、共創が強くなります
- 共創と企業秘密を切り分けているか(体験・課題・アイデア中心/技術・数値は段階開示)
- 過度な損害賠償条項が入っていないか(生活者の善意参加に“萎縮”を生まない)
- フェーズごとに公開レベルを変えられる設計か(探索は開く/事業化は守る)
- 共創の心得(行動規範)を共有したか(尊重・傾聴・無断転用しない)
- フィードバックと謝意が仕組み化されているか(採用時の報告・謝意・次回招待まで)
参加者を「リスク」ではなく「共創パートナー」として扱う。
その姿勢が、発言の質を変え、成果の伸びを変えます。
9. まとめ:契約は“縛る”ためではなく“安心して開く”ために
守秘義務(NDA)は必要です。けれど、強すぎる守秘は共創を“冷やし”、価値の芽を摘むことがあります。 企業×生活者の価値共創マーケティングは、基本はオープンイノベーションであってほしい。なぜなら、生活者の発想は日常で育つからです。
結論(覚えておきたい一文)
“全部開く/全部閉じる”ではなく、線引きと段階管理で、共創の熱量と企業の安心を両立する。
「開きながら守る」共創設計を、一緒に整えます
NDAで萎縮する/法務で止まる/参加者が本音を出さない…という場合、
線引き(情報分類)とA4ポリシーを整えるだけで、共創が前に進むことが多いです。
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