定量調査と定性調査の違い|使い分けと「組み合わせ」で判断精度を上げる方法

📌 実務で迷わない「使い分け」ガイド

調査でよく起きるのが、「数は集まったのに、意思決定が進まない」という状態です。
その原因の多くは、定量/定性の役割の違いが整理できていないこと。
ここでは、違い・使いどころ・失敗パターン、そして組み合わせの鉄板まで、現場で使える形にまとめます。

定量調査と定性調査は「得意な仕事」が違う

定量調査(Quant) 「どれくらい」「どっちが多い」を把握するのが得意。
例:認知率、購入経験率、満足度、比較される要素の優先順位、セグメント差など。
定性調査(Qual) 「なぜそうなるか」「どんな文脈か」を掘るのが得意。
例:迷いの理由、言葉にならない不安、選ばれない真因、生活の流れ(シーン)など。
結論 「広さ(定量)」と「深さ(定性)」は役割分担。
どちらか一方で完結させようとすると、判断が止まりやすいです。
要点3行まとめ:
① 定量は“全体像”、定性は“理由と文脈”。
② 片方だけだと「わかった気」か「声の強さ」になりやすい。
③ 組み合わせると、意思決定が進む材料になる。

よくある失敗:結果は出たのに、決められない

⚠️ 定量だけで止まる

「Aが60%で人気」とわかったが、なぜAなのかが不明。
そのまま企画に落とすと、ズレたコピーや改善につながりがちです。

⚠️ 定性だけで迷う

いい話は聞けたが、それがどれくらい一般的かが不明。
社内で「一部の声では?」となり、意思決定が止まります。

ポイント:「意思決定が進む調査」とは、(1)優先順位が決まる + (2)納得できる理由が揃う状態です。
そのために “広さ” と “深さ” を役割分担します。

使い分けの目安:どんな時にどちらを使う?

✅ 定量が向く場面
  • 優先順位(どの要素が効いているか)を決めたい
  • ターゲットの違い(属性・利用頻度)で差があるか見たい
  • 施策案を比較し、意思決定の材料にしたい
  • 改善前後の変化(指標)を追いたい
✅ 定性が向く場面
  • そもそも「何が課題か」仮説をつくりたい
  • 迷い・不安・言語化しにくい理由を掴みたい
  • 売り場・利用シーンなど、文脈を理解したい
  • 言葉(コピー)や体験の違和感を発見したい
要点3行まとめ:
① まず定性で「論点」を掴むと、定量が鋭くなる。
② 定量で優先順位を決め、定性で“理由”を揃えると決まりやすい。
③ 目的が曖昧なまま着手すると、どちらでも迷子になる。

使い分けの鉄板:よくある目的別に“最適セット”を決める

  1. STEP 1

    意思決定を1文で決める(ここが曖昧だと失敗する)

    例:「誰に」「何を」「どの順で」改善するかを決めたい、など。
    目的が「知りたい」だと、結果が出ても決められません。

  2. STEP 2

    仮説を3つ出す(“当たり前”ほど危ない)

    例:価格が原因/安心感が不足/比較対象が強い、など。
    ここで定性(対話・観察)を入れると、仮説の質が上がります。

  3. STEP 3

    定性で「理由と文脈」を掴む(迷いの正体)

    「なぜそう答えたのか」「どの場面で迷うのか」を具体化。
    言葉にならない不安選ばれない真因がここで見えます。

  4. STEP 4

    定量で「広さ」を確認(どれくらい一般的か)

    定性で見えた論点を、全体に当てて優先順位を確定。
    “一部の声”で終わらせず、意思決定の材料にします。

  5. STEP 5

    施策に落とす:テスト→改善で精度を上げる

    調査は“結論”ではなく仮説
    試作・売り場・導線などで小さく試し、改善サイクルで判断精度を上げます。

コツ:定量と定性の正解は「比率」ではなく、意思決定が進むかどうかです。
決まらない時は、“理由(定性)”が足りないか、“優先順位(定量)”が足りないのどちらかが多いです。

アンケートだけで完結させない(バイアス対策としても有効)

アンケートは便利ですが、設問や回収の条件で偏り(バイアス)が入りやすいのも事実です。
だからこそ、対話・観察で「なぜ」を補ってから、定量で「どれくらい」を確認する流れが安定します。

📌 あわせて確認

アンケートの失敗を減らすチェックポイントは、こちらで整理しています:
アンケートのバイアスとは?「当たらない調査」を防ぐチェックポイントと対策

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こらぼたうんは調査代行ではなく、価値共創マーケティングの実践支援として、
“現場で確かめながら”意思決定の精度を上げ、施策へ落とし込む伴走をしています。

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  • 調査結果は「仮説」として扱う
  • 対話・観察で理由と文脈を掴む
  • 小さく試して反応で確かめる
  • 改善して“選ばれる理由”に仕上げる
📚 用語の整理(必要な方へ)

※言葉は短く整理し、実務は「判断が進む形」に落とすのがポイントです。

FAQ(よくある質問)

Q. 定量と定性、先にやるならどちらが良いですか?
A. 多くのケースで先に定性がおすすめです。論点(何を確かめたいか)が固まると、定量の設問が鋭くなり、結果が施策に繋がりやすくなります。
Q. 定性って「主観的」で怖くないですか?
A. “主観”が怖いのは、一般化しようとする時です。定性は「理由と文脈」を掴むために使い、一般性は定量で確認すれば安定します。
Q. アンケートで「買いたいですか?」はダメですか?
A. 未来の意向はズレやすいです。おすすめは「直近の購買」「迷った点」「比較対象」「決め手」を聞くこと。詳しくは アンケートのバイアス対策 も参考にしてください。
Q. 予算が限られている場合、最低限どう設計すべき?
A. 目的(意思決定)を1文にし、定性で論点を掴んでから、必要最低限の定量で優先順位を決めるのが現実的です。 “完璧な調査”ではなく、“決まる設計”を目指します。

「調査はした。でも意思決定が進まない」を一緒に解消します

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まずは現状の整理からどうぞ。

📌 総合ガイド

マーケティングリサーチ・市場調査・消費者調査の違いと限界|価値共創で精度を上げる方法
全体像に戻って、位置づけと次の打ち手を整理したい方はこちら。

👉 関連(もう1本)

アンケートのバイアス(当たらない調査を防ぐ)
設問設計やサンプルの偏りで結論がズレる…実務での防止策をチェック。

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