事業者の“本音”が出ない…を変える:支援機関のための「対話設計」実務(事業性評価にも効く)
面談や伴走支援で「核心が出てこない」「計画は作れるが実行が続かない」——。
これは担当者の能力不足というより、“本音が出るように場が設計されていない”ことで起きるケースが多いです。
支援機関の現場で再現できる形で、対話の設計を整理します。
「本音が出ない面談」に起きがちな3つのこと
① “正解”を求められている空気がある
事業者は「評価される」「否定される」を感じると、無難な答えに寄ります。結果、課題が浅くなります。
② 質問が“課題”から入ってしまう
いきなり「課題は何ですか?」だと、事業者は“整っていない言葉”を出しにくいです。
③ 目標が大きすぎて、実行が止まる
計画は立派でも、次の一歩が大きいと止まります。“小さな実験”に落とす工夫が必要です。
✅ まずここだけ押さえると変わります
面談の序盤で「結論を出す会」になってしまうと、本音は出にくくなります。
“整理する会”として設計し直すと、会話の質が一段上がります。
解決のカギは「聞き方」ではなく「順番(設計)」
本音を引き出す技術は確かに役立ちます。ですが、現場で再現性を出すには“順番”のほうが効きます。 面談を次の流れで組み立てると、安心→可視化→行動がつながりやすくなります。
1安心(5分)
「今日は“結論を出す会”ではなく、“状況を整理する会”です」と宣言し、評価・否定の空気を外します。
2状況の棚卸し(15分)
事実→感情→引っかかりの順で聞くと、“奥の悩み”が自然に言語化されます。
3見立ての共有(15分)
担当者が仮説を短く返し、「そう、それです」を作る。ここで信頼が生まれます。
4小さな実験(10分)
次の一歩は“計画”ではなく“試す”に落とす。負荷が下がり、実行が続きます。
5次回につなぐ(5分)
「次回までに何を観察してくるか」を渡すと、伴走が自然に続きます。
💡 コツ
「結論」より先に「見立て」を共有する。ここが入ると、面談が“前に進む会”になります。
事業性評価・経営改善にも効く「問い」の置き方
事業性評価は数字だけでなく、「なぜその事業が続くのか」を掴む必要があります。 そこで、問いを“評価の問い”から“共創の問い”に少しだけ寄せると、情報の質が上がります。
| 評価の問い(出にくい) | 強みは何ですか?/課題は何ですか?/なぜ売れないのですか? |
|---|---|
| 共創の問い(出やすい) |
最近「うまくいっている瞬間」はどんな時ですか? お客様が喜んだ出来事を一つ思い出すとしたら? 逆に「やりたくない仕事」が増えたのはいつ頃からですか? |
| 次の一歩につなぐ問い |
1週間で“試せること”にすると何ができますか? お客様に1つだけ聞くなら、何を聞きますか? |
ポイント
本音は「正しい答え」ではなく、具体的な出来事から出てきます。
出来事→感情→意味づけ、の順に言語化されると、事業者自身の納得が深まり、実行が続きやすくなります。
“伴走”が続く支援に変える:小さな実験の作り方
面談で決めるアクションは、立派な計画より「小さな実験」が強いです。
例えば次のように、負荷を下げて確実に動く形にします。
小さな実験の例(そのまま使えます)
- 「販促を強化する」→「既存客に“選んだ理由”を1つ聞く」
- 「新商品を検討する」→「店頭で迷う瞬間を3回観察する」
- 「価格を上げたい」→「“高いと言われた時の言葉”を3件記録する」
※“大きな計画”より“確実に動く小さな一歩”が、結果的に成果を早めます。
実務で便利な一言
「今日は“決める”ではなく、“試す”を一つ作りましょう」——この言葉だけで、面談の空気が柔らかくなります。
まとめ:本音が出ると、支援の質も成果も上がる
支援機関の現場では、制度・施策・メニューの充実だけでは埋まらない“壁”があります。
その壁を越えるのは、事業者が「自分で納得して動ける」状態を作ること。
そして、それを再現性をもって実装するのが「共創」の考え方です。
🔎 この記事の要点まとめ
- 本音が出ない原因は「聞き方」より「順番(設計)」
- 安心→棚卸し→見立て→小さな実験→次回、の型が効く
- 共創の問いに寄せると、事業性評価の情報の質も上がる
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