変化の激しい時代に、モノよりも「共感」が人を動かすキーワードになりました。
本記事では、共創マーケティングを通して“共感力”を育む方法を、時代背景と実践の両面から解説します。
価値観が揺れ動く時代──「共感」が選ばれる基準になった
新型コロナをきっかけに、私たちの生活や価値観は大きく変わりました。 外出や対面の消費が減る一方で、「自分の心が納得できる選択」を重視する人が増えました。
巣ごもり消費・ネット通販・動画配信サービスの普及は、単なるライフスタイルの変化ではなく、 「何に時間とお金を使うか」への哲学的な問いを生んだのです。
コロナが変えたのは“行動”ではなく、“価値の感じ方”でした。
いまの生活者は、「安い」「便利」だけでは動きません。 そこに共感できるストーリーや想いがあるか──それが選ばれる決め手になっています。
人口データでは捉えきれない「心の多様化」
これまでのマーケティングでは、年齢・性別・所得などのデータで市場を分類してきました。 しかし今や、同じ30代でも「旅に生きる人」「地元を守る人」「推し活に情熱を注ぐ人」など、 価値観の軸そのものが無数に分かれています。
もはや「平均的な生活者像」は存在しません。 重要なのは、“誰の共感を得るか”を見極めることです。
つまりマーケティングの焦点は、「どんな人が共感してくれるか」へと移りました。
これまでの「正解探し型」では、変化のスピードに追いつけません。 共感力をもって相手の立場に立ち、想像力を働かせることが求められています。
共感力を育む──共創マーケティングというアプローチ
従来のマーケティングでは、企業がニーズを調査し、商品を一方的に開発していました。 しかし、変化の早い時代にはそのやり方では生活者の心をつかめません。
そこで注目されているのが「共創マーケティング」。 商品づくりの初期段階から生活者と対話を重ねながら、 “ともに考え、ともに形にする”プロセスです。
対話の中で、自分も生活者も気づいていなかった本当のニーズが見えてきます。 その過程で自然に磨かれていくのが「共感力」です。
共感力は、机の上では育たない。 人と人の対話の中で、初めて芽を出す。
これはデザイン思考の「共感ステージ」とも重なります。 “相手を理解する努力”が、創造の出発点になるのです。
SNS時代における“共感”の力
情報が溢れる現代では、人々は「自分が共感できる情報」しか受け取らなくなっています。 つまり、共感されない情報は届かない時代です。
SNSの“いいね”やシェアの背景には、「この考えに共感する」「この姿勢が好き」という感情があります。 企業がどんなに発信しても、共感を得られなければ拡がりません。
マーケティングとは、顧客の共感を得るための活動。 共感力のある企業ほど、人の心を動かす発信ができるのです。
共感は単なる感情移入ではありません。 他者の視点で世界を見ようとする「想像力」であり、 それが結果としてブランド信頼を育てる源になります。
まとめ──“共感”から始まる新しい価値づくり
- データではなく、心を理解すること
- 対話を通じて、共感力を磨くこと
- 共感が企業と生活者の橋になること
現代の「共感」は、感情的でありながらも利他的です。 エシカル消費や社会貢献を通して、 「共に良くなりたい」という気持ちが購買行動の中心にあります。
企業が「自社さえ良ければいい」という発想を捨て、 お客様の幸せや社会の課題解決に共に向き合うとき、 本当の意味で“共感されるブランド”が生まれます。
共感とは、相手を理解しようとする勇気。 そして、共創とはその勇気を行動に変える力です。
共感力を育てることは、ビジネスを超えて、人と人が信頼でつながる社会をつくること。 それが、こらぼたうんが目指す“価値共創”の原点です。
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