なぜ選ばれる? 顧客インサイトの発見と活用

クラスタピラー|インサイト発見

インサイト発見法|調査に頼らず“行動の文脈”から本音を見つける

観察・対話・記録を組み合わせて、数字の奥にある“選ばれる理由”を捉えるための核ページです。現場で使える手順とチェックリスト、よくある失敗の回避策までを一つにまとめました。

※ 本ページでいう「調査」は主に定量調査を指します。定量は「広く浅く」に強みがありますが、捉えにくい文脈と感情は、観察・対話(定性)で補完するのが実務的です。

このページの位置づけ

🧭 総合ピラー: 価値共創マーケティングとは? 基本の全体像
🧭 親クラスタ: 価格競争からの脱却|中小企業のための実践ガイド

本記事(インサイト × デザイン思考)は、値下げに頼らず「選ばれる理由」をつくるための実務パートです。全体像や他クラスタは総合ピラーをご覧ください。

この記事は誰向け?(商品企画/マーケ/CS/事業責任者)

  • 定量調査では見えない「生活者の本音」を掴みたい
  • 現場で試せる観察・対話・記録の最小セットを知りたい
  • 小さく検証→改善→展開のサイクルを作りたい
🎯 目的
“選ばれる理由”を行動で発見
💡 方法
観察・対話・記録をセットで回す
📈 成果
試作→現場検証→展開のループ
💡 インサイトの発見には「デザイン思考」が有効な場合もあります

観察・対話で見えた“気づき”を、問題定義→発想→小さな試作→テストの流れに乗せると、 インサイトが機能や体験の設計条件へと変換され、検証が早まります。

  • 現場の声を一文の課題に落とせる(ぶれない)
  • まず小さく試す前提で、学びが早い
  • 数字(再来意向・ミニNPS)と引用で学びを資産化
はじめてのデザイン思考(やさしいガイド) →
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1. 調査に頼らない理由

要点
  • 定量調査=広く浅く、現場の文脈=深く。
  • “選ばれる理由”は行動×感情×状況の交点に現れる。
  • まずは小規模で観察と対話を回して仮説を作る。

定量調査は広く浅くを得意としますが、“なぜ選ぶか”という深い理由は、行動と文脈の中で立ち上がります。そこで必要なのが現場観察と、誘導しない対話です。

ミニ事例(1〜2行で理解)
  • 朝の親:片手で食べられる → “素早さ×片手”が選ばれる理由
  • 学生のノート:ミスを避けたい → “取りこぼし防止”が価値
  • 高齢者の買い物:重くてつらい → “軽い・持ちやすい”が選択を動かす

2. 核フレーム:見る・聴く・記録

要点
  • 見る:行動とつぶやきを同時記録(売場/使用シーン)。
  • 聴く:事実→気持ち→理由の順で深掘り(半構造化)。
  • 記録:行動→感情→文脈の因果線で仮説化。
👀 見る(観察)
売場・生活シーンで行動とつぶやきを記録
🗣️ 聴く(対話)
決めつけず、エピソード起点で深掘り
📝 記録(整理)
行動→感情→文脈の因果線で仮説化

3. やり方:観察・対話・行動データ

要点
  • セットで回す(観察×対話×記録)と仮説が検証粒度に落ちる。
  • 観察→対話→整理の順番を崩さない。
  • “小さく試す”で学習速度を上げる。
① 観察
売場・生活シーンで行動とつぶやきを記録
例)買い物同行の共創アプローチ
② 対話
決めつけずエピソードを掘る(半構造化)
参考)批判されない環境づくり
③ 整理
行動→感情→文脈の因果線で仮説化
参考)拡散では収束させない

4. そのまま使えるテンプレ

🎯 STEP1|準備編

目的を定める・場づくり

  • 解決したい課題を具体化する
  • 小さく試せるテーマを選ぶ
  • 心理的に安心して話せる場を設ける

💡 STEP2|実施編

観察・対話 → アイデア創発

  • 生活者の観察・買い物同行を行う
  • 批判のないアイデア出し環境をつくる
  • 拡散フェーズでは収束させずに広げる

🚀 STEP3|成果活用編

試作 → 検証 → 展開

  • 出たアイデアを試作品やサービスに落とし込む
  • 小規模で検証し改善を繰り返す
  • 成果を社内外に共有して展開する
半構造化インタビュー:最初の10問
  1. 最近その商品(サービス)を使ったのはいつ・どこですか?
  2. 使う前はどんな気持ち/状況でしたか?
  3. 最初に手に取った理由は?迷いはありましたか?
  4. 使ってみて一番“良かった瞬間”はどこでしたか?
  5. 逆に“小さな不満”はありましたか?
  6. その場面で他の選択肢はありましたか?なぜ選ばなかった?
  7. 「もし◯◯だったら良かったのに」という点は?
  8. 友人にすすめるなら、何と言いますか?
  9. 次に改善するとしたら、どこから手をつけますか?
  10. 今日の話で、他に思い出したことはありますか?

※ ポイント:事実のエピソード→気持ち→理由の順に深掘り。

行動(何をした) 発話(何と言った) 気づき(仮説メモ)
棚の前で成分表示を2回見直す 「どれが一番カラダに良いんだろう」 健康志向だが情報が多く不安 → “迷わない基準”が価値

5. よくある失敗と回避策

要点
  • 早収束の誘惑に注意(発散の質と量を担保)。
  • 誘導質問を避け、事実→感情→理由で聴く。
  • 安心できる場を整えて本音を引き出す。
⚠️ あるある失敗

6. チェックリスト(現場でコピペOK)

  • 対象者・場面・タイミングを明確化(観察計画)
  • 観察メモの型(行動・発話・気づき)を用意
  • 半構造化でエピソード掘りを優先
  • 発散→収束の切替点と判断基準を定義
  • 仮説は“行動の変化”で検証可能に落とす

7. このクラスタの記事一覧

8. よくある質問

調査は使わない方が良いの?

いいえ。定量調査は“広く浅く”に有効。本ページの方法(観察・対話)は“深く”を補完します。両輪にすると精度が上がります。

何人から始めれば良い?

まずは1〜3名の観察+対話で十分。パターンが見え始めたら5〜8名に拡張します。

BtoBでも通用する?

通用します。意思決定の流れ(導入前→比較→運用)の行動と合議の文脈を観察します。

時間がない場合、最低限は?

30分でOK:1名の観察10問インタビュー3列メモ。小さく試して学びを次へ。

社内で反対されたら?

“いきなり大きくやらない”。小さな検証の成果を示し、前向きな協力者を増やします。

9. 関連リソース

💡 無料オンライン相談(小さく始めたい方向け)

※ テーマ整理/インサイト設計/進行の壁打ちまで同席します。