消費者調査(Consumer Survey)とは
定義
消費者調査とは、生活者(消費者)のニーズ・購買行動・選択理由・不満・価値観などを把握し、
商品企画・改善・販促・ブランド戦略の意思決定に活かすための調査です。
アンケート(定量調査)やインタビュー(定性調査)、観察・行動データなどを組み合わせて、
「どれが多いか」だけでなくなぜそうなるのか/どの場面で起きるのかまで理解することが重要です。
消費者調査は「答え」を集めるだけでなく、購買の文脈(迷い・比較・感情)を捉えたときに、 実務で使える“意思決定材料”になります。
価値共創マーケティングとの関係
価値共創マーケティングでは、消費者調査を「結論を出すための最終回答」として扱うのではなく、
共創(対話・観察・試行)へつなぐための“仮説づくり”として活用します。
たとえばアンケートで見えた傾向や、インタビューで得た言葉を出発点にしながら、
実際の利用場面や売り場など同じ文脈の中で一緒に確かめ、更新していくことで、
「言っていること」と「していること」のズレや、言語化されていない価値(文脈価値)を捉えやすくなります。
その結果、調査で得た“知見”が、企画・改善・コミュニケーションへ実装できる形に落ちていきます。
実務での活用例
- 商品企画: 生活者の困りごと(未充足ニーズ)と、代替行動(今どう解決しているか)を把握し、開発の優先順位を決める。
- 訴求開発: 「選ぶ理由/やめる理由」を整理して、コピーやパッケージの訴求軸(安心・実感・時短など)を定める。
- 顧客体験(CX)の改善: 購入前後の不安・つまずき(比較、理解、初回利用)を特定し、導線や説明・サポートを改善する。
- セグメント設計: 属性だけで分けず、利用文脈(場面・目的・価値観)で層を捉え、届け方を変える。
具体例
例)健康志向のナッツ商品を検討する消費者調査で、アンケート上は「無糖・低カロリー」が重視される結果が出た。
しかし、売り場での観察・対話を加えると、実際には
・「どれが自分に合うかわからない」という迷い
・「毎日続けられるか」という習慣化の不安
・「食べ方のイメージが湧かない」という具体性不足
が購入の壁になっていることが判明。
そこで、栄養訴求だけでなく「続けやすさ」を支える提案(食べ方・量の目安・生活導線)を実装すると、
購入率やリピートが改善するケースがあります。
FAQ
- Q. 消費者調査と市場調査の違いは何ですか?
-
A. 簡単に言うと、市場調査は「市場の外形(規模・競合・価格帯など)」、消費者調査は「生活者の選び方(理由・文脈・不満など)」を掴むのが主目的です。
実務では、両方を組み合わせて意思決定に落とします。 - Q. アンケートだけで消費者の本音はわかりますか?
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A. 一部は把握できますが、アンケートは「説明できる回答」に寄りやすく、迷い・矛盾・その場の感情などが取りこぼされることがあります。
重要判断ほど、インタビューや観察、共創(対話・試行)で文脈を補うのがおすすめです。 - Q. 消費者調査で気をつけるべきバイアスは?
-
A. 代表的なのは、誘導質問、選択肢の偏り、想像回答(実体験ではなく推測で答える)、社会的望ましさバイアスなどです。
設問設計と、反証視点(都合の良い解釈を疑う)をセットで持つことが大切です。
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