顧客参加型の商品企画・商品開発とは? 価値共創マーケティングの実践ガイド

顧客参加型の商品企画・商品開発とは?|価値共創マーケティングの実践ガイド

Customer Participation × Co‑Creation

顧客参加型の商品企画・商品開発とは?
価値共創マーケティングの実践ガイド

顧客の声を“聞く”だけでなく、“いっしょに作る”。顧客参加型(参加型開発)価値共創マーケティングの実務に接続し、小さく始めて成果へつなげる進め方をテンプレート付きで解説します。

この記事は価値共創マーケティングの全体像(基本・ポイント・導入法)のクラスターピラーです。

この記事の要点(3行)

用語ミニ辞書(3つの言葉をシンプルに)

顧客参加型
お客さまが企画や開発の段階から関わるやり方。アイデア出し・試作品づくり・オンラインでの共創など。
価値共創(共創マーケティング)
会社とお客さまが力を合わせて価値を作る考え方。参加の設計、学びの回し方、社内の進め方まで含む枠組み。
共創ワークショップ(共創WS)
観察→体験→対話でお客さまの言葉を引き出し、小さな試作につなげる場。会議ではなく“学びの場”。

1. 顧客参加型と価値共創の関係

同じ現場でも呼び名が違うだけ——手段名(顧客参加型)考え方(価値共創)をひとつの流れとして扱います。

顧客参加型を探す人

やり方・事例・期間・人数・ざっくり費用。現場の担当者。

価値共創を探す人

考え方・効果・導入の順番・社内の巻き込み。責任者/経営層。

つなぎ方(本稿)

小さく試し、学びを製品や体験に反映する手順を提示。

本文中に「顧客参加型」「価値共創」「共創ワークショップ」「生活者参加」の語を同じ段落で自然に使うと、検索エンジンにも関係が伝わります。

顧客参加型(やり方) → 共創の場(ワークショップ) → 学び → 試作 → 改善
       ↑                                             │
       └────────── 価値共創(考え方) ──────────┘
    

2. 向いているテーマ/向かないテーマ

まずはやりやすい土俵を選ぶのが近道。成功しやすい場面と注意が必要な場面を先に共有します。

◎ 向いている

  • 使い心地や気分が差を生む(日用品、食品、雑貨)
  • 使い方が人によって違う(BtoBツール、SaaS、家電)
  • “価格以外の選ばれる理由”を作りたい新製品

△ 向かない(留意)

  • 法規や安全規格で自由度がほぼないもの
  • 情報秘匿が必須で外部参加が難しいもの
  • 完成度が高く検証余地が少ない微修正案件

3. 進め方(HowTo)5ステップ

悩んだらこの順で。目的→参加者→セッション→試作→改善のミニサイクルで“まず1周”。

① 目的と仮の答えを決める(2h

「誰の・どんな場面・何を良くするか」を1文で。数の目標(例:購入率)と感じ方の目標(例:使用後の安心感)をセットで置く。

② 参加者を設計・募集(1〜2週

既存のお客さま+まだ使っていない人を混ぜて異なる視点を確保。募集文は「期待する役割」と「NG(売り込みなし)」を明記。

③ 共創セッション実施(1日×1〜2回

観察→体験→対話の順で、“気になったことメモ”と“気づきカード”で発言を可視化。中立進行でお客さまの言葉を採掘。

④ 小さく試作・検証(1〜3週

アイデアを簡易な試作品に。アンケートに頼らない観察視点で行動を再確認。

⑤ 改善・展開(継続)

うまく働いた点・直したい点を1枚に整理。次のラウンドに反映。

[目的・仮の答え] → [参加者設計・募集] → [共創セッション] → [試作・検証] → [改善・展開]
       │                    │                    │                 │
       └──── 数の目標と感じ方 ───┴── 視点の違い ───┴─ 観察→体験 ───┴── 行動で確かめる
    

4. 共創ワークショップ設計のコツ(現場の型)

安心して話せる場の宣言

否定しない・点数をつけない・完成を求めない。最初にルールを言葉で伝える。

観察→体験→言葉にする

“先に会議”は避ける。行動を見て、小さく体験してから言葉にする。

中立進行

社内の進行でもOK。お客さまの違和感を言葉にする力を重視。

可視化ツール

気になったことメモ/気づきカード/価値マップなど、判断材料を見える化。

設計の詳細は共創ワークショップ設計テンプレートも参照。

5. 事例フォーマット(匿名で見せる工夫)

具体商品名を出せない場合でも、“プロセスと学び”で伝わります。以下の型で統一を。

  1. 背景:市場状況/課題(価格競争・機能訴求の限界 など)
  2. 目的:数の目標+感じ方の目標
  3. 実施:参加者構成/観察と体験/ワークの流れ
  4. 気づき:お客さまの言葉(匿名引用)
  5. 打ち手:パッケージ・体験・コピーの変更点
  6. 結果:売上・申込・満足度などの変化
  7. 学び:再現できる“効いた要因”

6. つまずきやすいポイントと対策

× 話し合いだけで終わる

小さく試作し、行動で確かめる。口頭合意で終わらせない。

× 同じタイプの人ばかり

→ 既存顧客+まだ使っていない人を混ぜ、視点の違いを入れる。

× すぐ“売れるか”判定

→ 早い段階では学びの獲得を重視(理解・好意・使ってみたい気持ち)。

× 事例を外に出せない

匿名フォーマットでプロセスと学びを示す。

7. よくある質問(FAQ)

顧客参加型と価値共創の違いは?
ほぼ同じ現場を指しますが、顧客参加型はやり方の名前価値共創は考え方の名前。本文のように一緒に扱うと分かりやすいです。
BtoBでも有効ですか?
有効です。顧客企業の現場と一緒に改善を進めることで、継続率の向上・解約の抑止につながります。試作は業務フロー単位でもOK。
期間の目安は?
最短で3〜6週間のミニサイクルを推奨。5ステップを1周し、学びを次へ活かします。
社内の進行役でも大丈夫?
可能です。前提が強いと偏りやすいので、中立進行言葉にする型(気になったことメモ等)を用意しましょう。
費用感は?
設計・募集・1回の共創セッション・簡易試作・レポートまで含む小規模プランが一般的。詳細は目的・人数で変わります。

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