はじめてのデザイン思考|“共感→実装”まで
デザイン思考は、専門家だけの道具ではありません。相手の立場でものを見る(共感)→ 本当に困っていることを一文にする(問題定義)→ たくさん考えて小さく作り、反応で学ぶ(発想・試作・テスト)──この流れを、やさしい言葉と身近な例で解説します。
1. デザイン思考ってなに?(やさしい定義)
ひとことで:相手の立場になって観察・対話し、本当に解くべきことを見つけ、 たくさん考えて小さく作って試す考え方です。
やさしい言い換え
共感=ていねいに相手の立場で想像する
問題定義=何を先に直すかを一文にする
発想=正解探しではなく材料集め
プロトタイプ=“まず作ってみる”小さな試作品
テスト=実際の反応から学ぶ
2. どんなとき役立つ?(身近な例)
- 新しいメニュー・機能を作るとき(何から作れば良いか迷う)
- 改善点が多すぎて優先順位が決められないとき
- アンケートでは理由が分からないとき(数字の裏側の気持ちを知りたい)
- 小さく試して、早く学びたいとき
3. 5つの流れをやさしく解説
① 共感(見る・聴く)
相手の行動と小さなつぶやきを観察し、その場で何が起きているかを記録します。インタビューでは 事実→気持ち→理由の順で聞きます(誘導しない)。
- 観察メモ3列:行動/発話/気づき
- 質問のコツ:なぜ?を2〜3回、直近の具体例をもらう
② 問題定義(意味の核を一文に)
フォーマット:誰が/どんな場面で/なぜ困る。例:「平日朝の親が、片手でこぼさず食べられるものを求めるのは、 遅刻の不安と家事ストレスを減らしたいから。」
③ 発想(まずは量→束ねる)
- 批判は保留。まずは枚数を出す(心理的安全性が命)
- 似た案を束ねてコンセプト見出しをつける
- 「顧客の言葉」をキャッチコピーではなく設計条件に落とす
④ プロトタイプ(小さく作る)
紙モック・簡易試作品・クリックモデルでOK。2〜4週間で回すのが目安です。
⑤ テスト(現場で学ぶ)
- まずは少人数で反応を見る(Yes/No/Maybeなどの軽い指標)
- よかった瞬間/つまずいた瞬間を引用で記録(数字とセットで残す)
4. 最初の1週間プラン(コピペOK)
- Day1:対象者・場面を決める(誰/いつどこ/何に困る)
- Day2:観察1名+10問インタビュー(30〜45分)
- Day3:3列メモで共有 → “意味の核”を一文化
- Day4:発想(量を出す→束ねる)
- Day5:紙モック作成(1〜2パターン)
- Day6:ミニテスト(5〜8名の反応をメモ)
- Day7:学びの整理 → 次の仮説と改善点を決める
5. 90分ミニワーク(型付き)
- 目的共有(10分)
- 観察メモ共有&違和感出し(15分)
- 深掘り質問ミニセッション(15分)
- アイデア発散(15分)
- 束ね&仮タイトル(15分)
- 最小プロト紙出し&次アクション(20分)
観察・質問テンプレは インサイト発見(テンプレ集) をどうぞ。
6. 効果の見方(数字と“声”)
短期の目安
- 初回オンボーディング完了率(タスク3つ)
- 再来意向(Yes/No/Maybe)
- ミニNPS(0〜10、自由記述は引用で保存)
中期の目安
- 再購入率・紹介数・離脱率(4層:行動→体験→心理→LTV)
- 「印象に残った一言」「つまずいた瞬間」の蓄積
コツ:数字だけ追わず、なぜを残す。引用は1枚に集めると共有が速い。
7. よくある誤解と落とし穴
- ❌ デザイン=見た目のこと → ✅ 使う人の体験全体を設計すること
- ❌ 先に正解を決める → ✅ 小さく作って反応で学ぶ
- ❌ 機能の言い換えを“インサイト”と呼ぶ → ✅ 行動変化と結びつくかで評価
- ❌ アンケートだけで完結 → ✅ 観察と対話をセットに
8. 短い事例(4つ)
家庭用品(スポンジ)
「よく落ちる」よりも「終わりが気持ちいい」体験を設計。触感や泡切れへ反映。
地域資源
“笑顔になる楽しさ”を核に、素材・色・コピー・パッケージ体験を統合。
SaaS
導入直後の学習不安を解消する「初回タスク3つ完了体験」を実装。翌月継続率が改善。
教育サービス
継続要因は「仲間の存在」。受講前交流と相互チェックインで完了率向上。
9. 関連ガイド(タイトル表示)
まずは1週間プランから。観察・質問・評価まで伴走します。
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