商工会議所青年部が挑戦した商品企画──座学から実践へ、楽しく続ける取り組み

この記事は価値共創マーケティングの全体像(基本・ポイント・導入法)で紹介しているテーマの一部を掘り下げた内容です。実務で使えるコツや事例を中心に解説します。

座学から飛び出せ!商工会議所青年部が笑いと情熱でつくり上げた「会津イケ麺」プロジェクト

商工会議所青年部(YEG)の活動といえば、勉強会や経営セミナー、異業種交流会など「学びの場」としての印象が強いもの。
しかし、「せっかく集まっているなら、もっとワクワクすることをやろうじゃないか!」──そんな声がある年、自然と高まりました。

座学で得た知識も大切ですが、それを「実践」に移すことでこそ、本当の力になります。
そこで立ち上がったのが、地域資源を活かしたオリジナル商品をゼロから企画し、大都市の展示会で披露するプロジェクトでした。 この挑戦の裏にあったのは、堅苦しさを吹き飛ばす「楽しさを最優先にする」という合言葉です。

■ 真面目な会議から生まれた“爆笑ネーミング”

企画のテーマは「地元の食材を使った商品づくり」。
そこで候補に上がったのが、地元産の米粉を活かした麺でした。モチモチの食感とやさしい味わいが特徴で、健康志向の流れにも合っています。
しかし、ただ「米粉麺」と呼ぶだけでは面白みがない。
「せっかくなら人の記憶に残る名前をつけよう」と、メンバーは本気と冗談を交えながらネーミング会議を始めました。

そんな中、ふと一人のメンバーが隣を見てニヤリ。そこには、青年部きっての爽やかイケメンが。 誰かが「このイケメンと麺、かけたら面白くない?」と口にした瞬間、全員が笑い出し、机を叩いて賛同。

「もう『会津イケ麺』しかないな!」

冗談半分で始まったこのアイデアは、その場の雰囲気を一気に和ませ、全員のテンションを上げるきっかけに。
後日、試作品と新パッケージが完成すると、「これは本当に売れるぞ!」と笑いながらも本気で販促計画が立てられました。

■ 「楽しいから続く」現場の空気

商品づくりは簡単ではありません。原価計算、製造業者との打ち合わせ、試食会、パッケージデザイン、販路開拓──やることは山積みです。
それでも続けられたのは、毎回の集まりが笑いにあふれていたから。
試食会では「この麺はイケメンが作ったからうまい!」などと冗談が飛び交い、打ち合わせが夜遅くまで延びても疲れを感じないほどでした。

青年部メンバーの一人はこう語ります。

「楽しいとアイデアがどんどん出る。笑いながら作った商品は、必ずお客さんも笑顔にするんです。」

■ 大都市の展示会での“イケメン探し”

いよいよ完成した「会津イケ麺」を引っさげて、大都市の食品関連展示会へ出展。
会場に着くと、巨大な会場の一角に「会津イケ麺」の看板が堂々と掲げられました。

すると早速、「あの…イケメンはどこですか?」と聞かれる場面が続出。
実物の“イケメン”メンバーがブースに立つと、来場者が一気に集まり、試食コーナーには長蛇の列。
ネーミングのインパクトが、商品の魅力を知ってもらう最高のきっかけとなりました。

会津イケ麺の展示会ブース。米粉麺の試食を楽しむ来場者と青年部メンバー。
大都市の展示会で来場者と交流する商工会議所青年部のメンバーと「会津イケ麺」ブース

試食した人からは「モチモチでおいしい!」「名前に惹かれたけど、味でファンになった」という嬉しい声が寄せられました。

■ 楽しさがもたらした4つの効果

  • チームの士気が常に高く保たれ、最後までやり遂げられる
  • 笑いのある現場は、創造的なアイデアを引き出す土壌になる
  • お客様にも笑顔が伝わり、会話が生まれやすい
  • ポジティブなエネルギーが次のプロジェクトへの原動力になる

このプロジェクトを通して、メンバーは「楽しさは継続力になる」という実感を共有しました。
それは、商品づくりに限らず、どんな活動にも通じる大切なポイントです。

■ とりあえずやってみたら大成功!──行動が生む可能性

実は今回の取り組みは、本格的な事業化を目指したものというより、「まずはテストとしてやってみよう」という軽い気持ちから始まりました。
しかし、蓋を開けてみれば予想以上の反響があり、展示会でも注目を集める大成功に。
この経験から、完璧な準備よりも、まずは動いてみることの方が次のチャンスを生むと実感しました。

最後に、このプロジェクトが教えてくれたのはシンプルなこと。
「とりあえずみんなでやってみる」──その一歩が、思いがけない成果や新しい可能性を連れてくるのです。

まとめ

「会津イケ麺」プロジェクトは、地域の魅力と青年部の遊び心が見事に融合した成功例でした。
真面目さだけでは続かない。笑いと楽しさが加わることで、仲間の絆は深まり、商品はもっと魅力的になる──そのことを、この挑戦が教えてくれました。

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