インフルエンサーよりも「ファンと共に」

価値共創マーケティングの常識

SNSの普及により、企業はインフルエンサーを活用したマーケティング施策を数多く展開してきました。確かに、フォロワー数の多いインフルエンサーに商品やサービスを紹介してもらえば、一時的な話題や売上の向上は期待できます。

しかし、これからの時代に本当に必要なのは「一過性の拡散」ではなく、「顧客との持続的な価値づくり」です。その中心にあるのが、価値共創マーケティングという考え方です。

インフルエンサー施策の限界とは?

インフルエンサーは、確かに影響力のある存在です。企業が依頼し、報酬と引き換えに商品を紹介してもらう「PR投稿」は、短期的な認知拡大に有効です。

しかし近年、生活者の間では「これは広告だな」と見抜かれるケースも増え、共感や信頼を得にくくなっているという声も多く聞かれます。発信の内容に真正性(オーセンティシティ)が感じられないと、購買にはつながりません。

ファンと共に価値を創る「共創型アプローチ」

インフルエンサーが「一方的に伝える存在」だとすれば、ファンは「一緒に創り上げる存在」です。企業のブランドや商品に深く共感し、自分自身の言葉で紹介してくれるファンの声には、広告では生まれにくい信頼感熱量があります。

ファンが発信するメッセージには、企業から依頼されたものにはない「生活者のリアルな視点」が宿っており、それが周囲の共感を呼びます。こうしたファンの存在は、共創型マーケティングにおいて極めて重要なパートナーであり、単なる「応援者」ではなく、価値づくりの共同制作者なのです。

では、ファンとの共創は具体的にどのように行えばよいのでしょうか。代表的な手法として、以下のような取り組みが挙げられます。

  • 商品開発の初期段階からファンの声を取り入れる
    多くの企業は、開発後の「最終確認」としてモニター調査を行いますが、共創型では構想段階からファンに意見を求めます。例えば、生活者座談会やオンラインディスカッションを通じて、「本当に必要とされる機能」や「購入の決め手になる要素」を共に探ります。

  • 共創ワークショップやアンバサダー会議の開催
    ファンと社員が一緒に参加するワークショップを定期的に開催することで、ブランドに対する理解や参加意識が深まります。企業は開かれた姿勢で意見を取り入れ、ファンは「私たちの声がブランドを動かしている」という実感を得ることができます。

  • ファンのリアルなストーリーや活用アイデアを発信
    SNSやオウンドメディアで、ファンの実体験を取り上げた記事や動画を紹介します。たとえば、「この商品を使って変化が起きた瞬間」や「日常に根付いた使い方の工夫」などは、他の生活者の共感を呼び、口コミとして波及していきます。

  • 「あなたの声がブランドをつくる」実感を提供
    ファンの提案が実際に採用された場合は、それをしっかりと伝え、感謝の気持ちを表すことで、長期的な関係性が築けます。「自分が選んだものが世に出る」という体験は、非常に強い愛着とロイヤルティを生み出します。

こうしたファンとの取り組みは、単なる販促施策ではなく、ブランドの文化や価値観そのものを共有・共創するプロセスといえます。これにより、ファンは「応援している」から「一緒につくっている」というフェーズへと移行し、その関係性は一層強固になります。

また、共創を通じて得られるインサイトは、単なる「データ」ではなく、「背景にあるストーリーや動機」を含んだ、企業にとって本質的な気づきをもたらします。これは、従来のアンケートやリサーチでは得にくい価値であり、商品やサービスの独自性を高める原動力となります。

企業側のメリットとしても、

  • ・プロモーションにかかる広告費の削減
  • ・自然な拡散による信頼性の高い情報伝播
  • ・ユーザー視点に基づいた改善サイクルの実現
  • ・社内における顧客志向・共創志向の定着

など、数多くの成果が期待できます。

このように、生活者と共にブランドを育てていく姿勢が、これからの企業にとって競争優位を築く鍵となります。共創型アプローチは、単なるファンづくりやマーケティング手法ではなく、企業と社会の関係性を再構築する“未来志向のあり方”なのです。

「伝える」より「共に創る」ことで育つ信頼

インフルエンサーは「伝える人」、ファンは「共に創る人」。この違いは非常に大きいと言えます。

価値共創マーケティングでは、生活者の声に耳を傾けるだけでなく、一緒に考え、創り、広めていくことが重要です。そこには、企業と顧客がパートナーとなる関係性が生まれ、単なる商品ではなく「共感されるストーリー」が積み重なっていきます。

■ 共創に向くのは誰か? インフルエンサーとファンの比較

項目 インフルエンサー ファン
役割 情報を拡散する 一緒に考え、育てる仲間
関係性の深さ 一時的・契約的 継続的・自発的
共創との親和性 低い(受け手としての関与) 高い(当事者としての関与)
ストーリーの発生源 企業側から提供 共に紡ぐ体験から生まれる
信頼性・共感性 演出感・広告感が残る 等身大の声で共感を呼ぶ

▶ 共創を進めるなら、「拡散」ではなく「共感と参加」を軸に──“ファン”との対話が未来を創ります。

まとめ:ファンとの共創が、ブランドの未来を育てる

インフルエンサーを活用する施策は、あくまで一手段に過ぎません。本当に信頼され、長く愛されるブランドを築くには、顧客やファンとともに歩む姿勢が不可欠です。

企業がファンと共に価値を共創することで、生活者の本音が商品やサービスに活かされ、自然な支持と持続的なファンベースを育てることができるのです。

今こそ、「伝えるマーケティング」から「共に創るマーケティング」へ。価値共創の一歩を、始めてみませんか?

共創事例ギャラリー|こらぼたうん
こらぼたうん代表 中間祥二

中間 祥二(なかま・しょうじ)

株式会社こらぼたうん 代表取締役

2001年の創業以来、農業からサービス業まで幅広い分野で「共創型マーケティング」を支援。
生活者とともに“選ばれる仕組み”をつくり、売上向上や市場創出をサポートしています。

💻右下に現れる「生成AI」が、いつでもご質問にお答えします(パソコン版のみ対応)。

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共創が生んだ価値あるストーリー

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リアルな共創の記録。

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