価値共創に効果を発揮する「シェアド・リーダーシップ」──立場を越えて“なんでも言える”チームへ

この記事のポイント:
・共創に必要なのは「地位」ではなく「関係性」
・“さん付け文化”が信頼と創造性を生む
・組織横断で「寄ってたかって考える」から新しい価値が生まれる

“なんでも言える”空気が価値を生む

こらぼたうんが企業と共に共創マーケティングを進める際、まずお願いしていることがあります。「年齢・役職に関係なく全員を“さん付け”で呼び合うこと」です。

このシンプルなルールには理由があります。共創の場では、立場や年齢に関係なく、全員が主体的に意見を出し合うことが求められるからです。一人のリーダーが引っ張るのではなく、全員がそれぞれの視点から力を発揮する。これが、価値共創の基盤となるシェアド・リーダーシップの考え方です。

共創チームの対話シーン
立場を超えた“さん付け”文化が、安心して意見を言い合える土台をつくる。

スピードの早い時代、ひとつの正解を探すよりも、チーム全員で考え、試し、修正していく柔軟さが求められます。上からの指示ではなく、“誰からでも意見が出る状態”をいかにつくれるか。それが共創を成功に導く鍵です。

シェアド・リーダーシップとは何か?

「シェアド(Shared)」とは、“分かち合う”“共有する”という意味。つまり「一人のリーダーに依存せず、全員がリーダーシップを発揮する状態」を指します。

これまでのように、上から下へ命令が流れる「垂直的リーダーシップ」ではなく、メンバー全員が横に並びながら支え合う「水平的リーダーシップ」。そこでは役職よりも、意見・行動・気づきが尊重されます。

垂直型とシェアド・リーダーシップの比較図
従来の“上意下達”型ではなく、全員が影響し合う水平関係。

価値共創の現場では、生活者もチームの一員です。上下関係ではなく“対話”と“信頼”が価値を生む。この関係性の中でこそ、生活者の本音や隠れたニーズが自然と表れてきます。

縦ではなく横──創造が生まれる関係

新しい価値は、異なる意見や視点がぶつかることで生まれます。誰か一人のリーダーが引っ張るよりも、チーム全員がアイデアを出し合う方が、はるかに創造的です。

たとえば、商品企画の会議に営業・開発・広報・カスタマーサポートなどの他部署を加えると、想定外の視点が生まれます。ある人の発言が別の人の気づきを呼び、そこから新しい発想が連鎖的に広がっていくのです。

タコツボ型の組織からは新しい価値は生まれない。
部署や役職を超えて、互いに刺激し合う環境こそが創造の土壌です。

この「横のつながり」を促すのがシェアド・リーダーシップであり、共創マーケティングの真髄です。

組織を越えて「寄ってたかって考える」

こらぼたうんの共創支援では、企業と生活者が一緒に商品を考える場に、あえて企画部門だけでなく営業や開発担当者も参加してもらいます。

価値共創マーケティングのシーン
部署を超えたチームで「寄ってたかって」考えるからこそスピードも納得感も増す。

このような組織横断の取り組みでは、意思決定のスピードが格段に上がり、調整コストが減少します。さらに、部署間の理解が深まり、情報共有もスムーズになるため、顧客の変化に即応できるようになります。

“寄ってたかって”という言葉には、少しユーモアも込めています。でも実際、複数の部署や生活者が一堂に会して真剣に語り合う姿こそが、共創の理想形です。

こうした「寄ってたかって」型の取り組みは、部署や立場を越えて共創を進める際に非常に効果的です。
詳しくは、 「寄ってたかってやってみよう」 もご覧ください。

まとめ:立場を超えて共創するチームへ

「あの部署が考えた商品は売れない」「どうせ上が決める」──そんな言葉が社内で聞こえるうちは、共創は始まりません。

共創マーケティングの現場では、誰か一人がリーダーシップを独占するのではなく、全員が“共創型リーダー”になることが大切です。

立場や年齢、役職を越えて、「なんでも言える」「本音で話せる」関係性を築く。その中で、一人ひとりの想いとアイデアが混ざり合い、組織も商品も変わっていきます。

組織改革と商品改革を並行して進める。
それが共創マーケティングの醍醐味です。

こらぼたうんの共創支援事例や研修プログラムをご紹介しています。
「シェアド・リーダーシップを実践したい」企業様もぜひお気軽に。

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