セッションリプレイ(Session Replay)
定義
セッションリプレイとは、訪問者のサイト内での一連の行動(クリック、スクロール、マウス移動、入力、画面遷移など)を、
後から動画のように再現して確認できる仕組みです。
どの要素で迷い、どこで離脱したかを可視化できるため、UX改善・CVR向上・バグ追跡に有効です。
仕組み
- イベント記録型: クリック・入力・スクロール等のイベントをログ化し、DOMやCSSの再現で「擬似動画」を生成。
- マスキング: 入力フォームや個人情報フィールドは初期設定でマスク(記録しない)するのが基本。
- パフォーマンス計測: コンソールエラーやネットワーク遅延、UX指標(CLS/LCP等)も併記できる製品が多い。
※ 画面キャプチャの“動画録画”ではなく、イベント再構成のため容量効率とプライバシー配慮がしやすいのが一般的です。
活用シーン
- フォーム最適化: 項目ごとの滞在/離脱、エラーメッセージの見落としを特定。
- カート離脱の原因特定: クーポン入力・送料表示・在庫切れ等の躓きを把握。
- UI/UX改善: 押しづらいボタン、ファーストビューの情報過多、モバイルのタップ誤りなど。
- 不具合/再現性問題: ユーザー環境依存のバグや、特定ブラウザでの崩れを映像的に共有。
- オンボーディング: SaaSの初回体験で迷う箇所を可視化し、ガイドやツアー改善に反映。
導入・運用の注意点
- 個人情報保護: 入力値は原則マスク。住所・カード情報・パスワード等は記録禁止を徹底。
- 同意管理(Consent): クッキー同意バナーやプライバシーポリシーで、目的・範囲・オプトアウト方法を明示。
- アクセス権限: 閲覧権限を最小化し、社外共有は匿名化した上で。
- サンプリング設計: 全記録ではなく、デバイス/ページ/離脱イベントなどで絞り込み。
- 数値と併読: CVR・CTR・CPAなどKPIと突き合わせ、“映像で見えた課題”→“数値改善”へ繋げる。
- サイト速度への影響: 計測スクリプトの遅延読み込みや軽量設定を確認。
よくある誤解
- 「全部見れば正解がわかる」:単体では断片的。ヒートマップ、アンケート、ABテストと併用が前提。
- 「録画=すべての入力を保存」:適切なマスキング設定があれば、個人情報は記録しない運用が可能。
- 「違反になりやすい」:法域に応じた同意・告知・設定を守れば適法に活用できる。
FAQ
- Q. セッションリプレイとヒートマップの違いは?
- A. ヒートマップは集計可視化、セッションリプレイは個別ユーザーの行動再生です。併用すると、傾向(ヒートマップ)と具体(リプレイ)の両面から原因特定が進みます。
- Q. プライバシーは大丈夫?
- A. 入力フィールドのマスキング、同意取得、匿名化、アクセス権限の最小化を徹底すればリスクを下げられます。社内規程や法令に沿って運用しましょう。
- Q. どのページから始めるべき?
- A. 影響が大きい順に、フォームページ → カート/決済 → LPのファーストビューから始めるのがおすすめです。
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