クラスタピラー|インサイト発見
インサイト発見法|調査に頼らず“行動の文脈”から本音を見つける
観察・対話・記録を組み合わせて、数字の奥にある“選ばれる理由”を捉えるための核ページです。現場で使える手順とチェックリスト、よくある失敗の回避策までを一つにまとめました。
※ 本ページでいう「調査」は主に定量調査を指します。定量は「広く浅く」に強みがありますが、捉えにくい文脈と感情は、観察・対話(定性)で補完するのが実務的です。
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本記事(インサイト × デザイン思考)は、値下げに頼らず「選ばれる理由」をつくるための実務パートです。全体像や他クラスタは総合ピラーをご覧ください。
この記事は誰向け?(商品企画/マーケ/CS/事業責任者)
- 定量調査では見えない「生活者の本音」を掴みたい
- 現場で試せる観察・対話・記録の最小セットを知りたい
- 小さく検証→改善→展開のサイクルを作りたい
観察・対話で見えた“気づき”を、問題定義→発想→小さな試作→テストの流れに乗せると、 インサイトが機能や体験の設計条件へと変換され、検証が早まります。
- 現場の声を一文の課題に落とせる(ぶれない)
- まず小さく試す前提で、学びが早い
- 数字(再来意向・ミニNPS)と引用で学びを資産化
共感→問題定義→発想→試作→テストを初心者向けに解説。1週間プラン/90分ワーク/指標の見方つき。
📌 関連ピラー記事
1. 調査に頼らない理由
- 定量調査=広く浅く、現場の文脈=深く。
- “選ばれる理由”は行動×感情×状況の交点に現れる。
- まずは小規模で観察と対話を回して仮説を作る。
定量調査は広く浅くを得意としますが、“なぜ選ぶか”という深い理由は、行動と文脈の中で立ち上がります。そこで必要なのが現場観察と、誘導しない対話です。
- 朝の親:片手で食べられる → “素早さ×片手”が選ばれる理由
- 学生のノート:ミスを避けたい → “取りこぼし防止”が価値
- 高齢者の買い物:重くてつらい → “軽い・持ちやすい”が選択を動かす
2. 核フレーム:見る・聴く・記録
- 見る:行動とつぶやきを同時記録(売場/使用シーン)。
- 聴く:事実→気持ち→理由の順で深掘り(半構造化)。
- 記録:行動→感情→文脈の因果線で仮説化。
3. やり方:観察・対話・行動データ
- セットで回す(観察×対話×記録)と仮説が検証粒度に落ちる。
- 観察→対話→整理の順番を崩さない。
- “小さく試す”で学習速度を上げる。
例)買い物同行の共創アプローチ
参考)批判されない環境づくり
参考)拡散では収束させない
4. そのまま使えるテンプレ
🎯 STEP1|準備編
目的を定める・場づくり
- 解決したい課題を具体化する
- 小さく試せるテーマを選ぶ
- 心理的に安心して話せる場を設ける
💡 STEP2|実施編
観察・対話 → アイデア創発
- 生活者の観察・買い物同行を行う
- 批判のないアイデア出し環境をつくる
- 拡散フェーズでは収束させずに広げる
🚀 STEP3|成果活用編
試作 → 検証 → 展開
- 出たアイデアを試作品やサービスに落とし込む
- 小規模で検証し改善を繰り返す
- 成果を社内外に共有して展開する
- 最近その商品(サービス)を使ったのはいつ・どこですか?
- 使う前はどんな気持ち/状況でしたか?
- 最初に手に取った理由は?迷いはありましたか?
- 使ってみて一番“良かった瞬間”はどこでしたか?
- 逆に“小さな不満”はありましたか?
- その場面で他の選択肢はありましたか?なぜ選ばなかった?
- 「もし◯◯だったら良かったのに」という点は?
- 友人にすすめるなら、何と言いますか?
- 次に改善するとしたら、どこから手をつけますか?
- 今日の話で、他に思い出したことはありますか?
※ ポイント:事実のエピソード→気持ち→理由の順に深掘り。
行動(何をした) | 発話(何と言った) | 気づき(仮説メモ) |
---|---|---|
棚の前で成分表示を2回見直す | 「どれが一番カラダに良いんだろう」 | 健康志向だが情報が多く不安 → “迷わない基準”が価値 |
5. よくある失敗と回避策
- 早収束の誘惑に注意(発散の質と量を担保)。
- 誘導質問を避け、事実→感情→理由で聴く。
- 安心できる場を整えて本音を引き出す。
- 定量調査だけで“気持ち”を決め打ち → 現場観察で裏づけ(実践ガイド(デザイン思考))
- 初期にすぐ収束 → 発散期は量×多様性を担保(収束を急がない)
- 場が安心でない → ルール明示と肯定フィードバック(批判されない環境づくり)
6. チェックリスト(現場でコピペOK)
- 対象者・場面・タイミングを明確化(観察計画)
- 観察メモの型(行動・発話・気づき)を用意
- 半構造化でエピソード掘りを優先
- 発散→収束の切替点と判断基準を定義
- 仮説は“行動の変化”で検証可能に落とす
7. このクラスタの記事一覧
8. よくある質問
調査は使わない方が良いの?
いいえ。定量調査は“広く浅く”に有効。本ページの方法(観察・対話)は“深く”を補完します。両輪にすると精度が上がります。
何人から始めれば良い?
まずは1〜3名の観察+対話で十分。パターンが見え始めたら5〜8名に拡張します。
BtoBでも通用する?
通用します。意思決定の流れ(導入前→比較→運用)の行動と合議の文脈を観察します。
時間がない場合、最低限は?
30分でOK:1名の観察→10問インタビュー→3列メモ。小さく試して学びを次へ。
社内で反対されたら?
“いきなり大きくやらない”。小さな検証の成果を示し、前向きな協力者を増やします。
9. 関連リソース
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