定義

ソーシャル・マーケティングとは、商品を売ること自体を目的にするのではなく、 健康・防災・環境・安全・福祉などの社会課題に関する「望ましい行動」を広げるために、マーケティングの考え方を応用する取り組みです。
「知ってもらう」だけでなく、実際に行動が変わるところまでを成果として設計します。

ポイント: ソーシャル・マーケティングは「啓発」では終わりません。行動を妨げる壁(面倒・不安・恥ずかしさ・誤解・コスト)を減らし、行動したくなる理由を増やすことが中心です。

商業マーケティングとの違い

商業マーケ: 購入・契約・継続利用など「取引や売上」を成果として設計する

ソーシャル・マーケ: 受診・検診・防災準備・分別・節電・禁煙・運動など「行動変容」を成果として設計する

※どちらも「相手の意思決定を助ける設計」という意味では近いですが、成果指標(KPI)の立て方が変わります。

どんな場面で役立つ?(例)

  • 健康: 検診受診、運動習慣、禁煙、食習慣の改善
  • 防災: ハザードマップ確認、備蓄、避難行動の事前準備
  • 環境: ごみ分別、節電、マイボトル、食品ロス削減
  • 安全: 交通安全、詐欺被害防止、見守り
  • 地域: 町内会・ボランティア参加、公共マナー、観光の分散
現場でよくある課題: 「良いことだと分かっているのに、やらない」。ここにソーシャル・マーケの出番があります。

進め方(現場で使える5ステップ)

  • 1. 行動を1つに絞る: 「防災意識を高める」ではなく「今週中に備蓄を3日分そろえる」など、行動を具体化。
  • 2. 対象者を分ける: 全員に同じ訴求をしない(例:子育て世帯/高齢者世帯/単身世帯)。
  • 3. バリア(やらない理由)を把握: 面倒・時間がない・やり方が不明・不安・費用・恥ずかしい等。
  • 4. 価値(やる理由)を設計: 安心、時短、得、周囲の承認、楽しさ、手軽さ、達成感など。
  • 5. 行動が起きる環境づくり: 申込みを簡単に/必要物の配布/場所・時間の最適化/リマインド設計。
コツ: 「正しい情報」より、“今すぐできる小さな一歩”に落とし込むほど行動は動きます。

施策設計のチェックリスト(失敗しないために)

  • 行動は1文で言える?(誰が・いつ・何をする)
  • やらない理由を「想像」ではなく「観察・対話」で掴んだ?
  • やる理由が、対象者の生活文脈に合っている?
  • 行動の摩擦(手間・手順・時間・心理的ハードル)を減らした?
  • 測る指標は「認知」ではなく「行動」になっている?
こらぼたうん的ヒント: 支援機関・自治体の施策ほど、「正論」だけでは動きません。生活者の本音(不安・面倒・恥ずかしさ)を起点に、現実的な行動設計へ落とすのが近道です。

よくある落とし穴

  • 「啓発=成功」になってしまう: チラシ配布やSNS投稿で満足し、行動KPIがない。
  • 対象者が“全員”: 誰にも刺さらず、結局動かない。
  • やらない理由を軽視: 生活の制約(時間・お金・手間)を無視して「やるべき」を押し付ける。
  • 継続設計がない: 単発で終わり、習慣化しない。

FAQ

Q. 広報・啓発と何が違うの?
A. 広報・啓発は「知ってもらう」ことが中心になりがちです。ソーシャル・マーケティングは、具体的な行動が起きるように設計し、行動KPIで成果を見ます。
Q. 企業でもソーシャル・マーケはできますか?
A. できます。例えば「安全行動の徹底」「健康経営の行動定着」「カスハラ防止」「環境配慮の行動促進」など、社内外の行動変容に応用できます。
Q. どんな指標で効果測定するの?
A. 「参加人数」「実施率」「継続率」「再発率の低下」など、行動そのものを指標にします。認知(閲覧数・配布数)は補助指標として扱うとブレにくいです。

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