子育てに学ぶ「共創の力」
―育てるって、共に育つことだった―
「子育て」と「ビジネス」。この2つを並べると、まったく違う世界のように思えるかもしれません。
しかし、どちらも「人と向き合い、信頼を築き、未来を共につくる営み」である点では、深い共通点があります。
こらぼたうんが企業のマーケティングにおいて注目している「価値共創(Co-Creation)」という考え方も、 実は子育てに通じるヒントが数多く含まれているのです。
子育ては、親が“教える”だけでなく、“共に学び、変化し、成長する”過程そのものです。
本記事では、子育てという身近な営みを通じて、「共創」のヒントや可能性を考えてみたいと思います。
1. 答えを与えるのではなく、問いを一緒に考える
子どもは日々、さまざまな疑問を投げかけてきます。
「なんで雲は浮かんでるの?」「どうして働かないといけないの?」――その問いに、大人はつい“正解”を与えようとしてしまいます。
しかし、共創的な子育てでは、正解を押し付けるのではなく「どう思う?」と問い返すことが大切です。
子どもの内面から出てくる思考や感情を尊重することで、探究心や主体性が育ちます。
💡「正解を与える教育」から「問いを共に考える対話型教育」へ。
これは、企業が生活者と一緒に価値を探る“共創マーケティング”にも通じる発想です。
2. 子どもは“観察”によって理解される
赤ちゃんは言葉で気持ちを伝えることができません。親は、泣き声や顔色、体の動きなどを手がかりに、子どもの「今」を読み取ろうとします。
このときに発揮されているのが、観察力と共感力です。
子どもの状態を注意深く観察し、何を求めているのかを想像し、関わっていく。この姿勢は、生活者インサイトを探るマーケティングにも非常に似ています。
🔍 アンケートや数字では見えない“心の声”を感じ取るためには、観察と共感の力が必要です。
3. 失敗を責めず、“挑戦できる安全な場”をつくる
子どもがチャレンジしようとする姿を見ると、親はつい「危ないからやめなさい」と止めたくなるものです。
ですが、子どもは自ら試して、失敗し、そこから学ぶことで、次の一歩を踏み出します。
大切なのは、転んでも立ち上がれる「安心できる場」をつくること。
同じように、企業と生活者の関係でも、失敗や未完成を共有し合える場があると、より豊かな共創が生まれます。
4. 遊びと余白から生まれる創造力
子どもの創造性は、“やらされる学び”ではなく、“自分で選んだ遊び”の中で伸びていきます。
目的や制限がない「余白」があるからこそ、自分なりの工夫やアイデアが生まれるのです。
この自由さは、共創の現場にも必要不可欠です。
顧客の声を一方的に取り入れるだけでなく、「ちょっと試してみる」「やってみよう」と思える“余白”があることで、新たな価値が共に生まれます。
5. 子育てから学べる共創のエッセンス
子育ての視点 | ビジネスでの共創に通じる学び |
---|---|
正解よりも「問い」を共有する | 生活者と共に価値の種を探る |
言葉にならない気持ちを観察する | 行動・表情・文脈からインサイトを読み取る |
失敗しても大丈夫な安心感を提供する | 実験や試行錯誤を受け入れる文化をつくる |
遊びや自由な時間から創造性が育つ | 顧客の余白や発想を活かす共創設計 |
編集後記:共に育ち、共に創るという視点
「育てる」とは、一方通行ではありません。
子どもと向き合うなかで、親自身が成長するように、顧客と向き合う企業もまた、学びながら変化していく必要があります。
子育てという営みには、対話、観察、共感、信頼といった、共創の核心が詰まっています。
日常の中にある共創のヒントを見つけながら、生活者と企業が“共に変わる”関係性を築いていけたらと願っています。