共創ワークショップ完全ガイド|設計・進行・心理的安全性・アイスブレイク・評価【アイデアWS10選つき】
🔍 この記事でわかること
- 共創ワークショップの定義・使いどころ・効果(総論)
- 設計と進行の型(課題再定義/発散/合意形成の時間割)
- 心理的安全性の作り方・声の拾い方・よくある失敗と対策
- アイスブレイク20選・ふりかえり&記録テンプレ
はじめに|共創が求められる背景
近年、企業に求められているのは「創造力」だけではなく「共創力」です。市場の変化が早まり、顧客ニーズが多様化する中で、ひとつの部署や限られたチームだけで画期的なアイデアを生み出すことが難しくなってきました。
そこで注目されるのが「共創ワークショップ」。社員や顧客、外部の協力者などを巻き込み、対話と協働を通じて新しい価値を生み出す場の設計です。本記事では、共創の場をより実践的に活用するためのアイデア出し手法を10個紹介します。
共創ワークショップ設計の基本視点
共創型ワークショップの成功は、実施そのものよりも「事前の設計」にかかっていると言っても過言ではありません。以下の3視点を押さえることで、参加者の創造性と主体性を引き出し、実りある共創の場をつくれます。
- ● 目的の明確化: 発散か、課題の可視化か、合意形成までか——到達ゴールで手法・時間配分・参加者属性が変わります。
- ● 対象者の選定: 社員/顧客/パートナー/地域などの混成で多様性を確保。上下関係が強い場は設計に配慮。
- ● プロセス設計: 発散→収束→可視化の流れを明確化。見える化は共有知となり、次アクションの足場になります。
生活者に寄り添う対話から

化粧品メーカー × 生活者
“自分らしく輝く”をテーマに、共感と試作を重ねて。

家庭用品メーカー × 生活者
日常の声をヒントに、“使いやすさ”と“安心感”をカタチに。

学習塾 × 地域住民
子どもたちの未来を支える学びの場を、地域と一緒に設計。

工業用製品 × 主婦
家事・育児の知見を活かし、BtoC製品のヒントに。

家電メーカー × 消費者
“ちょっとした不便”から、使い勝手の良い家電へ。

日用品メーカー × 生活者
“あったらいいな”を丁寧に掘り起こし、共感設計へ。
共創を活かすアイデア出しワークショップ10選
- 1. ブレインライティング: 無言でアイデアを書き出し、他者が発展。発言の得意・不得意に左右されず多様性を確保。
- 2. KJ法: カード化→グルーピングで構造化。潜在的なつながりの発見に有効。
- 3. 未来新聞: 架空の新聞で理想の未来を描く“バックキャスト”。ビジョン共有に効果的。
- 4. オズボーンのチェックリスト: 転用・結合・代用…9視点で既存案を拡張。
- 5. インサイトスケッチ: 行動や感情を絵で可視化して“気づき”を促す。
- 6. ストーリーボード法: 体験を時系列の絵で共有し、課題発見と認識合わせ。
- 7. アイデアスピードラウンド: 短時間で量を出すラピッド発散。評価は後半に分離。
- 8. ヒーロージャーニー: 主人公の物語構造で感情とモチベーションを伴う発想へ。
- 9. デザインスプリント・ダイジェスト: 1日凝縮で課題明確化→発想→選定→検証まで。
- 10. ChatGPT共創法: AIを“参加者”化して異質刺激を得る。人×AIで発想幅を拡張。
実施時の注意点と成功のコツ
✅ 出てきたアイデアを必ず可視化
- 発言は付箋やボードに即時可視化
- グルーピング/優先順位づけで構造化
- 記録係を別配置し、進行と分離
✅ 上下関係や部署を越える構成
- 席は役職ミックス/呼称はニックネーム
- 「立場ではなく意見を尊重」の明文化
✅ 記録と振り返りの仕組み化
- 終了時にKPT/ふりかえりシート
- 当日中に要点共有(写真・原文カードTop)
- 次回に向けた改善点を明文化
導入事例|テーマ別 共創ワークショップの実践と成果
● 素材を製品に ──「素材の活かし方」から一緒に考える
地元の農家と中小メーカー:生活者と「どんな暮らしで使いたいか」を共創。お菓子等の複数案から製品化に成功し、販路拡大。
● パッケージをリニューアル ──「第一印象」を共に再設計
家庭用品メーカー:購入者・店舗スタッフと“手に取りたくなる”を共創。色・素材・開けやすさを検討し刷新。初回購入が増加。
● ゼロからのアイデア出し ──「こんな商品あったらいいな」を共創で
雑貨系スタートアップ:生活者参加の妄想商品会議で複数の種を創出。“欲しいから生まれた商品”を原点に再設計。
💡 共通の成功要因
- 生活者と一緒に“意味づけ”(使い方・価値・体験の文脈)
- プロトタイピング×対話で直感的な意見を引き出す
- 当事者意識の醸成で社内巻き込みと実装へ接続
まとめ|共創ワークショップがもたらす変化
共創ワークショップは「組織の対話文化を育て、創造力を開く仕組み」です。まずは小さく始め、目的と相手を明確にしながら継続することが、未来の価値創造につながります。
📚 深掘りガイド
テーマ別に“実務で使える型”をまとめています。