共創ワークショップ設計|生活者視点の学びを“企画に落とす”進行台本と準備チェック

実践ガイド④ ワークショップ設計(進行台本・準備チェック・質問集) 親ページ:総合ガイド

社内合意が進まない時、議論が「意見のぶつかり合い」になっていることが多いです。
そこで効くのが場の設計。事実(観察・検証)を揃え、判断軸を揃え、決めるべきことを揃える。
ここでは、生活者視点の商品企画・開発に使える90分ワークショップをベースに、目的設計・進行台本・準備チェックをまとめます。


1. ワークショップで解決したいこと(会議との違い)

  • 会議:意見が出る/決まらない/宿題が増える
  • ワークショップ:材料(事実)を揃える/判断軸を揃える/その場で決める

ワークショップの目的:生活者の文脈に基づいて、企画の“芯(価値仮説)”と“次の検証計画”を決めること。

事実の材料は 実践ガイド①、 検証の材料は 実践ガイド②、 合意の型は 実践ガイド③ が土台です。

2. 開催前に決める5点(設計の肝)

目的

今日、何を決める?

例:価値仮説を1文で確定/検証の最重要リスクを1つ決める/次のテスト計画を作る。

参加者

決める人+やる人+現場の人

決裁者/企画/営業/CS/製造・開発。少人数(6〜10人)が回しやすい。

材料

事実ログを揃える

観察ログ/学びログ/クレーム・問合せ/レビュー。意見より“事実”を持ち込む。

判断軸

文脈/不安/継続

「使う状況に合うか」「迷い・不安が消えるか」「続けられるか」で評価する。

5点目(重要):“やらないこと”を決めます。
例:今日は価格や細かい仕様は決めない/ブランド名は次回/機能追加は後回し、など。

3. 90分版:進行台本(タイムライン)

  • 0:00–0:10 オープニング(目的・ルール確認) 成果物:本日のゴール共有
    • 今日決めること(価値仮説/検証計画)を明確化
    • 議論ルール:事実→解釈→次アクションの順で話す
  • 0:10–0:30 事実共有(観察・検証ログの共有) 成果物:共通の事実3〜5件
    • 迷い/不安/面倒/代替の“具体場面”を出す
    • 意見ではなく、見たこと・起きたことを優先
  • 0:30–0:50 仮説づくり(価値仮説を1文に) 成果物:1文仮説(候補3→1)
    1文仮説の型 (状況)で(困り/ためらい)がある人が、 (価値)を得られるなら、(行動)が起きるはず。
  • 0:50–1:10 最重要リスクを特定(外れたら崩れる点) 成果物:検証すべき論点1つ
    • 文脈が違う?/不安が消えない?/継続できない?
    • 最初の検証は「最小プロト」でOK
  • 1:10–1:25 検証計画づくり(誰に/どこで/何を見る) 成果物:1枚の検証計画
    検証計画の型 対象(状況): 場所: プロトタイプ: 観察ポイント(迷い/不安/面倒/代替): 成功条件: 撤退条件(上限コスト/判断期限):
  • 1:25–1:30 クロージング(役割・期限の確定) 成果物:役割分担+次回日程
    • 誰が作る/誰が試す/誰がまとめる
    • 次回は学びログを持ち寄り、改善案を決める

4. 質問集:議論が深まる問い(迷い・不安・継続)

事実を揃える問い

  • 具体的に「いつ・どこで・誰が」起きた話?
  • その場面で、迷いはどこで起きた?
  • “やめた理由”は何だった?(言いにくい本音含む)

仮説を強くする問い

  • この企画が刺さるのは、どんな状況の人?
  • その人の最大の不安(失敗・面倒・周囲の目)は?
  • 代替行動(いつものやり方)に勝つ条件は?

検証計画に落とす問い

  • 外れたら全部崩れる“最重要リスク”はどれ?
  • 最小で確かめるなら、何を作ればいい?
  • 成功条件と撤退条件をどう決める?

5. 成果物テンプレ(そのまま使える)

ワークショップ成果物テンプレ(コピペ用) 【共通の事実(3〜5件)】 - 1) - 2) - 3) 【1文仮説(確定版)】 - (状況)で(困り)がある人が、(価値)を得られるなら(行動)が起きるはず。 【最重要リスク(1つ)】 - 文脈/不安/継続/代替 のどれ?: - なぜそれが最重要?: 【検証計画】 - 対象(状況): - 場所: - プロトタイプ: - 観察ポイント: - 成功条件: - 撤退条件: - 役割分担(作る/試す/まとめる): - 期限:
補足:学びログ(事実→解釈→次アクション)のテンプレは 実践ガイド② にあります。

6. 準備チェックリスト(前日まで)

  • 参加者(決める人/やる人/現場)を揃えた
  • 観察ログ・学びログなど“事実”を持ち寄る準備をした
  • 今日決めること/やらないことを明確にした
  • 判断軸(文脈/不安/継続)を共有した
  • 成果物テンプレを用意した(1枚で書ける)
  • 撤退条件(上限コスト/期限)を仮で置いた
  • 次回日程(学び共有→改善決定)を仮押さえした

7. よくある失敗と回避策

  • 失敗:意見が強い人に引っ張られる → 回避:事実ログから話すルールにする
  • 失敗:議論が広がりすぎる → 回避:「今日やらないこと」を最初に宣言
  • 失敗:結論が出ない → 回避:成果物テンプレに必ず“確定欄”を作る
  • 失敗:次のアクションが曖昧 → 回避:役割分担と期限を最後に確定

ワークショップは“魔法”ではなく“設計”です。
事実・判断軸・成果物テンプレ。この3点が揃うと、短時間でも決まります。

8. 総合ガイドへ(全体像)

ワークショップを「やっただけ」で終わらせたくない方へ

「目的がぼやける」「議論が散らばる」「結論が出ない」など、 現状に合わせて 成果が出る場の設計を一緒に組み立てます。

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