共創マーケティングの本質に触れた瞬間
私たち「こらぼたうん」では、日々さまざまな企業とともに価値共創マーケティングの実践を支援しています。そのプロセスは決して平坦ではなく、ときに厳しい壁にぶつかることもあります。しかし、そんな瞬間こそが、企業の本気の姿勢を映し出し、未来を大きく変えるきっかけとなるのです。
あるメーカーとの取り組みで、私たちは特定のコンセプトを基にプロトタイプを開発し、消費者を交えた検討会を行いました。準備を重ね、自信を持って臨んだものの、結果は決して芳しいものではありませんでした。参加者からは厳しい声が相次ぎ、企画チーム全体に重い空気が流れました。

▲ 社長が直接消費者の声に耳を傾けるセッションの様子
そんな折に届いたメーカーの社長からのメールは、私たちにとって忘れられない一文となりました。
企業姿勢が導く成功 ― リーダーの覚悟と共創の真価
📩 社長からのメールより
「今回の結果につきまして、安易で甘い自分の判断で持参した試作品が残念でならず、自身に腹立たしく、この商品への執念の希薄さに反省しきりです。
造り手側の妥協が無く、本当に消費者に満足して頂ける仕上がりに再度チャレンジに取り組む所存です。」
この言葉には、単なる謝罪や言い訳ではなく、顧客に真摯に向き合う「覚悟」が宿っていました。トップ自らが自分の判断を省み、執念を燃やし直す姿勢は、まさに共創の根幹を成すものです。
共創マーケティングは、企業と顧客が双方向で価値を生み出していく取り組みです。その成功のカギは、戦略や手法だけではありません。最後に物を言うのは、企業トップの姿勢であり、顧客の声を受け止める覚悟があるかどうかなのです。
失敗から学び、改善へつなげる ― 成長のサイクル
共創のプロセスでは、必ずしもすべてがうまくいくわけではありません。むしろ、最初から顧客の期待を完璧に超えることは難しく、挑戦の中で「失敗」を経験するのが常です。
大切なのは、そこで立ち止まらず、失敗を糧に成長のサイクルを回すこと。今回の社長のように、自らの甘さを認めつつも、次の挑戦への決意を示す姿は、共創に生きる企業の理想像でした。
その姿は、参加者や社員の心をも動かします。なぜなら、リーダーの真剣な姿勢は組織全体に伝播し、「もう一度挑戦しよう」「もっと良いものをつくろう」という前向きなエネルギーを生み出すからです。
信頼と挑戦 ― 顧客とのパートナーシップの礎
共創は、一方的な「商品提供」ではなく、顧客とのパートナーシップに近い関係性を築くことです。信頼を得るには、企業が失敗や課題に対して誠実に向き合い、改善への姿勢を見せることが不可欠です。
顧客もまた「この企業なら信じられる」と感じることで、共創の輪に積極的に参加してくれます。挑戦を恐れず、顧客と共に歩む姿勢こそが、共創マーケティングを「一時的な施策」から「持続的なブランドの力」へと育てていくのです。
価値共創に生きる ― 喜びを感じた瞬間
今回のエピソードを通じて私たちが改めて感じたのは、共創マーケティングの真価は「顧客とともに歩もうとする姿勢」にあるということです。
その姿勢がある企業は、たとえ一度つまずいても、何度でも立ち上がります。そして、その姿を見た顧客は、単なる消費者ではなく「共にブランドを育てる仲間」へと変わっていきます。
私たちにとっても、その変化の瞬間に立ち会えることは大きな喜びであり、この仕事を続ける意味そのものです。共創は、単なるマーケティング手法ではなく、人と人が信頼を築き、新しい価値を共に生み出していく“生き方”なのだと実感します。
まとめ ― 企業姿勢が未来を決める
- 失敗を恐れず挑戦し続ける姿勢
- 顧客に誠実に向き合う姿勢
- 自らの判断を省みて改善に取り組む姿勢
この3つが備わったとき、共創は単なる施策ではなく、企業の文化として根づきます。
共創の道は決して平坦ではありません。しかし、その道を選び歩み続ける企業こそが、顧客と共に強いブランドを築き、持続的な成長を実現していくのです。