「部署同士がバラバラで、せっかくのアイデアが形にならない」
「営業と開発がお互いを責め合っている」──。
その背景にあるのは、縦割りという“構造”です。
本記事では、縦割りの典型症状と対策の限界を整理し、価値共創マーケティングが
どのように組織に“横ぐし”を通し、社員の本気の参画を引き出すかを解説します。
価値共創は、そのための“横の線”を引く実践プロセスです。
- 縦割りの典型症状と弊害を整理
- 仕組みだけでは戻る理由=共通ゴール不足
- 共創が縦割りに効く3つの理由
- 中小企業でも動く小さな実装ステップ
- 構造原因/静かな退職/30日プラン/KPI
まずチェック:あなたの会社の「縦割り度」
🧭 3つ以上当てはまるなら、縦割りが“静かに”損失を生んでいるサインかもしれません
- ☐ 部署を越える相談が「根回し」扱いになり、動き出しが遅い
- ☐ 会議は多いのに、決まらない/次のアクションが曖昧
- ☐ 「それは◯◯部署の担当です」で顧客対応が分断されがち
- ☐ 改善提案が途中で止まる(誰の仕事かで揉める)
- ☐ 若手の発言が減り、提案より“無難な正解”が増えている
- ☐ 部署ごとに「良い仕事」の基準がバラバラ
※縦割りは「仲が悪い」だけでなく、評価・情報・意思決定といった“構造”で固定化します。
なぜ縦割りが強くなるのか
(根っこは“人”ではなく“構造”)
🧩 縦割りを固定化する4つの構造
- 評価・目標:部署KPIが強いほど、横断貢献が“損”に見えやすい
- 情報:情報共有が“権力”になり、囲い込みが起きる(最後に知らされる)
- 意思決定:承認が縦に長く、横断が“例外対応”になる
- 顧客不在:「顧客にとっての良さ」が共通の軸として機能していない
だからこそ、縦割りを越えるには「会議体」より先に、判断基準の軸(=顧客価値)を揃える必要があります。
1. 縦割り組織とは?よくある状態と背景
縦割り組織とは、部門ごとに権限や責任がはっきり分かれ、「自分の領域」を守る意識が強くなりすぎた状態を指します。
組織論では「セクショナリズム(sectionalism)」とも呼ばれます。
現場でよく聞く声を挙げると、次のようなものがあります。
- 「商品の企画が弱いから、営業がいくら頑張っても売れない」
- 「営業が何もフィードバックをくれないから、開発も改善しようがない」
- 「売上が悪いのは、うちの部署じゃなくてあっちの責任だ」
大企業だけの問題ではなく、数十人規模の中小企業でも、部署や担当ごとの“壁”は生まれます。
縦割り自体が悪いのではなく、「全体最適よりも部分最適を優先する風土」になってしまうことが問題です。
2. 縦割り組織の弊害5つ
縦割りが進むと、次のような弊害が起こりやすくなります。
① 部署間の連携不足と摩擦
情報が部署の中に閉じこもり、大事な情報ほど「共有されない」「最後に知らされる」ことが起きます。
その結果、「あの部署は何もわかっていない」「また丸投げしてきた」といった不信感や摩擦が生まれます。
② 同調圧力が強まり、率直な意見が出ない
部署の中で「空気を読む」ことが優先され、違和感や危機感を口にしにくい雰囲気になります。
表向きは波風が立たなくても、内心では「どうせ言っても変わらない」と諦めムードが広がり、挑戦や改善の芽が摘まれてしまいます。
③ 生産性の低下とムダな仕事の増加
部署ごとに別々に資料を作ったり、同じような会議が乱立したりと、全体で見ればムダな仕事が増えていきます。
「本当は一緒にやったほうが早い」のに、縦割りのせいで遠回りになっているケースは少なくありません。
④ 顧客対応の質の低下
「それは○○部署の担当ですので…」と、たらい回しのような対応になってしまうこともあります。
社内では「うちの部署の範囲外だから仕方ない」で済んでも、顧客から見れば1つの会社です。小さな不信感の積み重ねが、やがて離反につながります。
⑤ 離職の増加と「静かな退職」
部署間の対立やギスギスした雰囲気が続くと、「ここにいても成長できない」「この組織では変わらない」と感じる人から辞めていきます。
縦割りが強い組織ほど、若手や優秀な人ほど早く離れてしまう、という悪循環が生まれがちです。
そして最近は、辞める前段階として「静かな退職(必要最低限の仕事だけをこなす状態)」が増えているとも言われます。
表面的には在籍し続けるため気づきにくい一方で、現場では「提案が出ない」「改善が進まない」「会議が空回りする」といった形で影響が出始めます。
縦割り組織を変えることは、単なる「社内の雰囲気改善」ではなく、
生活者(顧客)の変化にすばやく対応し、新しい価値を生み出すための土台づくりでもあります。
3. よくある「縦割り改善策」と、それだけでは続かない理由
縦割り組織の問題を感じた経営者や管理職が、まず取り組むのは次のような対策ではないでしょうか。
- 部署横断の委員会・プロジェクトをつくる
- 部門長同士の定例ミーティングを増やす
- コミュニケーション研修・チームビルディング研修を実施する
どれも大切な取り組みですが、現場でよく聞くのは、「最初は盛り上がったが、半年後には元に戻ってしまった」という声です。
なぜ続かないかというと、「なぜ一緒にやる必要があるのか」という納得できる共通ゴールが弱いまま、
「会議体」や「仕組み」だけ先に作ってしまうことが多いからです。
部署の壁を越えて本気で動くためには、部署の事情よりも優先したくなる“外側の理由”が必要です。
そこで力を発揮するのが、生活者(顧客)と一緒に価値をつくる価値共創マーケティングです。
🔗 横ぐしの本質
価値共創の強みは、単に「仲良くしましょう」と呼びかけることではありません。
生活者のリアルな声・行動という“一本の軸”を、組織全体に横ぐしを刺すように通し、
部署ごとにバラバラだった判断基準を、同じ方向へそろえていく点にあります。
4. 共創マーケティングが縦割りを打破する
3つのポイント
共創マーケティングは「顧客と一緒に商品をつくる手法」として語られることが多いですが、
実際には組織そのものを変えるプロセスでもあります。
ポイント① 部署横断で「同じ生活者の声」を見る
共創の場には、マーケティング・開発・営業・生産など、普段は同じ現場に行かないメンバーが集まります。
そこで同じ生活者の声や行動を一緒に観察し、聞き、考えることで、立場の違う気づきが持ち寄られます。
「うちの部署の事情」ではなく、「このお客さまにとって本当に良いのは何か」を起点に話せるようになるため、
部署間の対立が共通課題に向かうエネルギーへと変わっていきます。
ポイント② 生活者の言葉が“社内共通言語”になる
顧客インタビューや買い物同行などで出てきた生活者の生の言葉は、部署を越えて共有しやすい「共通言語」になります。
「あのときのお客さまが言っていた“○○”って、まさに今の議論ですよね」といった会話が生まれます。
その結果、「営業 vs 開発」ではなく「お客さまの声 vs いまのやり方」という建設的な対話がしやすくなり、
社内コミュニケーションの質そのものが変わっていきます。
生活者の言葉が部署の境界をまたいで横断的に通る“横ぐし”になることで、
「それ、うちの部署の話?」が「その声にどう応える?」という一本の会話に置き換わっていきます。
ポイント③ 社員が「やらされ」から「自分ごと」の本気モードへ
共創の場で生活者と直接向き合うと、多くの社員が口を揃えてこう言います。
「こんなに真剣に自社のことを考えてくれているとは思わなかった」「もっと良いものを届けたいと思った」と。
机上の会議ではなく、目の前の生活者と対話しながらアイデアを形にしていく体験は、社員の中に「自分ごと」のスイッチを入れます。
その結果、「上から言われたからやる」仕事から、「自分たちの意思で進める」仕事へと変わり、組織が内側から動き出します。
5. 中小企業でも始めやすい「小さな共創プロジェクト」の進め方
「共創」と聞くと大掛かりなプロジェクトをイメージしがちですが、中小企業では小さく試すことがポイントです。
こらぼたうんがご一緒する際も、次のようなステップで進めることがよくあります。
- 1テーマ決める:「このカテゴリーでリピートが伸びない」「このサービスのファンを増やしたい」など、まずは絞ったテーマを決める。
- 部署横断+生活者で場をつくる:営業・開発・企画などのメンバーと、対象となる生活者を少人数で招き、観察・対話・アイデア出しを行う。
- 気づきを社内で共有し、次の一手を決める:共創の場での気づきを持ち帰り、「何を変すのか・何を試すのか」を決めて小さく実行する。
このサイクルを回すうちに、部署横断で動くことが“特別なイベント”ではなく“いつものやり方”になっていきます。
これこそが、縦割り組織を内側から変えていく共創マーケティングの実装プロセスです。
迷わず動ける:最初の30日プラン(小さく始める型)
🗓️ 「完璧に設計してから」ではなく、小さく動かして会話を生み直す
テーマを1つに絞る(勝ち筋を作る)
- “痛み”がある領域から選ぶ
- テーマは顧客の困りごとに言い換える
同じ生活者を、一緒に見る(横ぐしの起点)
- 買い物同行/観察/ミニインタビューを少人数で実施
- 参加者は営業・開発・企画など“立場が違うほど良い”
共有会で「共通言語」を作る
- 生活者の言葉を引用しながら「何が起きていたか」を整理
- 結論より先に「観察した事実」を揃える(対立を防ぐ)
小さく試して、振り返る
- 改善を1つだけ実装(導線/提案トーク/仕様微調整など)
- 短い周期で検証し、次テーマへ
よくある失敗(あるある)と、回避策
- ❌ 会議だけ増える:顧客の声・観察メモを毎回持ち込み、「事実」から話す
- ❌ 旗振りが孤立する:部署を跨ぐ“少人数のコア”を作り、全員巻き込みを急がない
- ❌ 部門長が守りに入る:まずは“予算が少なくても動く”小さな実験にする
- ❌ 結果が見えず飽きる:次のKPI(小さな成果指標)を先に決めておく
成果を見える化するヒント(KPIの考え方)
📈 雰囲気改善で終わらせず、小さな指標で“戻らない状態”を作る
- 横断の改善提案数:部署をまたぐ提案が月に何本出たか
- 顧客接点の回数:同行・観察・対話の実施回数(参加部署数も記録)
- 改善サイクルの速度:気づき→施策→検証までのリードタイム
- 顧客指標:リピート率/指名買い/問い合わせ内容の変化(取れる範囲で)
6. まとめ:縦割り組織を「共創する組織」に変える
✅ 要点 縦割りを越える鍵は、「部署をつなぐ共通の軸=顧客価値」を組織に通し直すこと。
放置すると、競争力が静かに削られる
連携不足/同調圧力/生産性低下/顧客対応の分断/離職増加。
「雰囲気の問題」ではなく、事業の土台が傷んでいきます。
共創は“組織を変えるプロセス”でもある
部署を越えて同じ生活者を見に行き、同じ言葉で語り合い、
「部署都合」ではなく顧客価値で判断できるようになります。
二重の効果:価値創出 × 本気の参画
顧客との共創で新しいアイデアを生み出しながら、
組織が縦割りを越えて動き出し、社員が「自分ごと」で参画する。
これが価値共創マーケティングの大きな強みです。
「縦割りをどうにかしたい」と感じている企業こそ、まずは小さく共創を試すところから。
“横ぐし”が通った瞬間、会議の空気も、意思決定の速さも変わり始めます。
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