縦割り組織の弊害を共創で乗り越える──価値共創マーケティングが組織を変える理由

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「部署同士がバラバラで、せっかくのアイデアが形にならない」「営業と開発がお互いを責め合っている」──。
多くの企業で聞かれるこの症状の背景には、縦割り組織の弊害があります。

この記事では、縦割り組織の基本とよくある弊害、ありがちな対策の限界を整理したうえで、
私たちこらぼたうんが実践してきた価値共創マーケティングが、どのように縦割りを打破し、 社員の「本気の参画」を引き出していくのかを解説します。

部署の壁を越えて同じ顧客価値でつながる組織を象徴するイメージ
部署ごとに分断された情報や視点を、ひとつの「顧客価値」でつなぎ直す。
価値共創は、そのための“横の線”を引く実践プロセスです。

🔍 この記事でわかること

  • 縦割り組織とは何か、その典型的な症状と弊害
  • 組織図の変更や研修だけでは縦割りがなくならない理由
  • 価値共創マーケティングが縦割り打破に効く3つのポイント
  • 中小企業でも始めやすい、小さな共創プロジェクトの進め方

1. 縦割り組織とは?よくある状態と背景

縦割り組織とは、部門ごとに権限や責任がはっきり分かれ、「自分の領域」を守る意識が強くなりすぎた状態を指します。
組織論では「セクショナリズム(sectionalism)」とも呼ばれます。

現場でよく聞く声を挙げると、次のようなものがあります。

  • 「商品の企画が弱いから、営業がいくら頑張っても売れない」
  • 「営業が何もフィードバックをくれないから、開発も改善しようがない」
  • 「売上が悪いのは、うちの部署じゃなくてあっちの責任だ」

大企業だけの問題ではなく、数十人規模の中小企業でも、部署や担当ごとの“壁”は生まれます。
縦割り自体が悪いのではなく、「全体最適よりも部分最適を優先する風土」になってしまうことが問題です。

2. 縦割り組織の弊害5つ

では、縦割りが進むと具体的にどんな弊害が起こるのでしょうか。代表的な5つを整理します。

① 部署間の連携不足と摩擦

情報が部署の中に閉じこもり、大事な情報ほど「共有されない」「最後に知らされる」ということが起きます。
その結果、「あの部署は何もわかっていない」「また丸投げしてきた」といった不信感や摩擦が生まれます。

② 同調圧力が強まり、率直な意見が出ない

部署の中で「空気を読む」ことが優先され、違和感や危機感を口にしにくい雰囲気になります。
表向きは波風が立たなくても、内心では「どうせ言っても変わらない」と諦めムードが広がり、挑戦や改善の芽が摘まれてしまいます。

③ 生産性の低下とムダな仕事の増加

部署ごとに別々に資料を作ったり、同じような会議が乱立したりと、全体で見ればムダな仕事が増えていきます。
「本当は一緒にやったほうが早い」のに、縦割りのせいで遠回りになっているケースは少なくありません。

④ 顧客対応の質の低下

「それは○○部署の担当ですので…」と、たらい回しのような対応になってしまうこともあります。
社内では「うちの部署の範囲外だから仕方ない」で済んでも、顧客から見れば1つの会社です。小さな不信感の積み重ねが、やがて離反につながります。

⑤ 離職の増加と人材の流出

部署間の対立やギスギスした雰囲気が続くと、「ここにいても成長できない」「この組織では変わらない」と感じる人から辞めていきます。
縦割りが強い組織ほど、若手や優秀な人ほど早く離れてしまう、という悪循環が生まれがちです。

縦割り組織を変えることは、単なる「社内の雰囲気改善」ではなく、
生活者(顧客)の変化にすばやく対応し、新しい価値を生み出すための土台づくりでもあります。

3. よくある「縦割り改善策」と、それだけでは続かない理由

縦割り組織の問題を感じた経営者や管理職が、まず取り組むのは次のような対策ではないでしょうか。

  • 部署横断の委員会・プロジェクトをつくる
  • 部門長同士の定例ミーティングを増やす
  • コミュニケーション研修・チームビルディング研修を実施する

どれも大切な取り組みですが、現場でよく聞くのは、
「最初は盛り上がったが、半年後には元に戻ってしまった」という声です。

なぜ続かないかというと、「なぜ一緒にやる必要があるのか」という納得できる共通ゴールが弱いまま、
「会議体」や「仕組み」だけ先に作ってしまうことが多いからです。

部署の壁を越えて本気で動くためには、部署の事情よりも優先したくなる“外側の理由”が必要です。
そこで力を発揮するのが、生活者(顧客)と一緒に価値をつくる価値共創マーケティングです。

価値共創の強みは、単に「仲良くしましょう」と呼びかけることではありません。
生活者のリアルな声・行動という“一本の軸”を、組織全体に横ぐしを刺すように通し、 部署ごとにバラバラだった判断基準を、同じ方向へそろえていく点にあります。

4. 共創マーケティングが縦割りを打破する3つのポイント

共創マーケティングは、「顧客と一緒に商品をつくる手法」として語られることが多いですが、
実際には組織そのものを変えるプロセスでもあります。ここでは、縦割り打破に効く3つのポイントを紹介します。

ポイント① 部署横断で「同じ生活者の声」を見る

共創の場には、マーケティング・開発・営業・生産など、普段は同じ現場に行かないメンバーが集まります。
そこで同じ生活者の声や行動を一緒に観察し、聞き、考えることで、 それぞれの立場からの気づきが持ち寄られます。

「うちの部署の事情」ではなく、「このお客さまにとって本当に良いのは何か」を起点に話ができるようになるため、
自然と縦割りの弊害が薄れ、部署間の対立が共通の課題に向かうエネルギーへと変わっていきます。

ポイント② 生活者の言葉が“社内共通言語”になる

顧客インタビューや買い物同行などで出てきた生活者の生の言葉は、部署を越えて共有しやすい「共通言語」になります。
「あのときのお客さまが言っていた“○○”って、まさに今の議論ですよね」といった会話が生まれます。

その結果、「営業 vs 開発」ではなく「お客さまの声 vs いまのやり方」という建設的な対話がしやすくなり、
社内コミュニケーションの質そのものが変わっていきます。これは、心理的安全性の向上にもつながります。

ここでも重要なのが、生活者の言葉が部署の境界をまたいで横断的に通る“横ぐし”になることです。
「それ、うちの部署の話?」という分断が、「その声にどう応える?」という一本の会話に置き換わっていきます。

ポイント③ 社員が「やらされ」から「自分ごと」の本気モードへ

共創の場で生活者と直接向き合うと、多くの社員が口を揃えてこう言います。
「こんなに真剣に自社のことを考えてくれているとは思わなかった」「もっと良いものを届けたいと思った」と。

机上の会議ではなく、目の前の生活者と対話しながらアイデアを形にしていく体験は、
社員の中に「自分ごと」としてのスイッチを入れます。
その結果、「上から言われたからやる」仕事から、「自分たちの意思で進める」仕事へと変わり、組織が内側から動き出します。

5. 中小企業でも始めやすい「小さな共創プロジェクト」の進め方

「共創」と聞くと大掛かりなプロジェクトをイメージしがちですが、中小企業では小さく試すことがポイントです。
こらぼたうんがご一緒する際も、次のようなステップで進めることがよくあります。

  1. 1テーマ決める:「このカテゴリーでリピートが伸びない」「このサービスのファンを増やしたい」など、 まずは絞ったテーマを決める。
  2. 部署横断+生活者で場をつくる:営業・開発・企画などのメンバーと、対象となる生活者を少人数で招き、 観察・対話・アイデア出しを行う。
  3. 気づきを社内で共有し、次の一手を決める:共創の場での気づきを持ち帰り、 「何を変すのか・何を試すのか」を決めて小さく実行する。

このサイクルを回すうちに、部署横断で動くことが“特別なイベント”ではなく“いつものやり方”になっていきます。
これこそが、縦割り組織を内側から変えていく共創マーケティングの実装プロセスです。

6. まとめ:縦割り組織を「共創する組織」に変える

縦割り組織の弊害は、「部署の仲が悪い」という表面的な問題に留まりません。
部署間の連携不足、同調圧力、生産性低下、顧客対応の質の低下、離職の増加──。
放置すればするほど、企業の競争力そのものをむしばみます。

一方で、生活者と共創するプロセスを通じて、部署を越えて同じ顧客を見に行き、同じ言葉で語り合い、
社員自らが「自分ごと」として動き出すようになると、組織は確実に変わり始めます。

顧客との共創で新しいアイデアを生み出すと同時に、組織が縦割りを越えて動き出し、社員が本気で参画する。
この二重の効果こそが、価値共創マーケティングの大きな強みです。
「縦割りをどうにかしたい」と感じている企業こそ、共創マーケティングを一度体験してみていただきたいと考えています。

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